米国の連邦準備制度理事会(FRB)は2020年8月13日に、分散型台帳技術(DLT)を活用した決済システムを構築するためのテストプロジェクト「FooWire Project」で得られた結果の詳細を公開しました。
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FRB「FooWire Project」の結果を報告
連邦準備制度理事会(FRB)は2019年に、世界中の企業などで活用されている分散型台帳(DLT)のフレームワーク「Hyperledger Fabric」を活用した決済システムの小規模なテストプロジェクト「FooWire Project」を実施していましたが、今回の発表ではこの「FooWire Project」で得られた結果に関する報告が行われています。
「FooWire Project」で「Hyperledger Fabric」を活用した理由としては、参加者を限定することができる「許可型ブロックチェーン」の仕組みを採用していることや、技術面で成熟していること、企業向けに設計されていることなどといった複数の要件を満たしていたためだと説明されています。
なお「FooWire Project」のネットワークに参加したのは中央銀行・政府機関・商業銀行の3つだとされており、ノード間で転送できる唯一の資産は「ファンド」と呼ばれる人工資産だけだったと報告されています。
潜在的な可能性はあるが、複数の課題も
FRBは今回の実験によって「特定の支払い用途におけるDLTの可能性、システムを実装できるスピード、スマートコントラクトのシンプルさ、プラットフォームによって提供される機能の範囲」などが明らかになったと述べており、『分散型台帳技術を用いた支払いに潜在的な用途があることを発見した』と報告しています。
今回の報告では『組織はこれらの技術を活用して機能的な決済システムを立ち上げることができ、チェーンコードは比較的シンプルで、機能面でカスタマイズすることができる』とされているものの、それと同時に『DLTベースの決済システムを大規模に採用して使用するには、テクノロジーのセキュリティ・スケーラビリティ・プライバシー機能を厳密に評価する必要がある』とも指摘されています。
FRBは今回のプロジェクトが「範囲が限定されたものであること」を強調しており、具体的には『スケーラビリティ、セキュリティ、プライバシー機能をテストしていない』と説明していますが、テストで得られた発見としては以下の4点が挙げられています。
- 分散型台帳技術は特定の支払い用途で活用可能な技術である
- DLTネットワークは比較的素早く実装することができる
- 「Hyperledger Fabric」によるスマートコントラクトの作成は比較的簡単であった
- 「Hyperledger Fabric」には様々な拡張機能があり、その一部にはトレードオフが関連付けられている
このように報告しているFRBは「分散型台帳技術は特定の決済分野で活用できる可能性を秘めているが、まだ課題も多く残されている」としており、今後もこのような技術の機能を研究し続け、技術活用に関連するリスクと弱点を特定し続けていくと説明しています。