暗号資産取引所「KuCoin(クーコイン)」で発生した大規模なハッキング事件に関する新しい情報が複数明らかになりました。今回のハッキングで盗まれた暗号資産の総額は2億ドル(約210億円)近くにのぼると推定されていますが、現在は他の暗号資産取引所やコミュニティの協力によって、資金凍結などといった複数の対応措置が取られています。
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「暗号資産2億ドル相当」盗難の可能性
KuCoin(クーコイン)で2020年9月26日に発生したハッキングでは、当初の報道で1億5,000万ドル(約158億円)相当の暗号資産が盗難された可能性があると報じられていましたが、最新の報道ではこの金額がさらに増加し『推定2億ドル(約210億円)近くの暗号資産が盗まれた可能性がある』と報告されています。
暗号資産流出の原因に関しては『KuCoinホットウォレットの秘密鍵が漏洩したため』だと説明されていますが、このホットウォレットはすでに再デプロイされていると報告されています。
今回のハッキングで被害を受けたユーザーの資産に関しては、最初の発表時点で報告されていた通り「KuCoin」と「同社の保険ファンド」が全額賠償するとのことです。
「疑わしいアドレス」と「流出した可能性のある暗号資産」
盗まれた暗号資産の詳細は明らかにされていませんでしたが、その後KuCoinから正式に「疑わしいアドレスのリスト」が公開されたため、現在はこのアドレスの取引履歴などを元にして「流出した可能性のある暗号資産の数量」が以下のように報告されています。ただし、この暗号資産や数量は正確なものではなく、これよりも多くの暗号資産が盗まれた可能性があると伝えられています。
疑わしいアドレスのリスト
【ビットコイン(BTC)】
・1NRsEQRg5EjmJHbPUX7YADVPcPzCQBkyU7
・12FACbewf5Fy9nmeaLQtm6Ugo5WS8g2Hay
・1TYyommJW3uhjhcnHhUSuTQFqSBAxBDPV
【イーサリアム(ETH)】
・0xeb31973e0febf3e3d7058234a5ebbae1ab4b8c23
【ライトコイン(LTC)】
・LQtFoidy5TmLrPP77MZzgMRffqPsmRfMXE
【エックスアールピー(XRP)】
・r3mZvvHVLPtRWAujzBsAoXqH11jhwQZvzY
【ビットコインSV(BSV)】
・15mC7zKbLyErSKzGRHpy6gyqS7GyRpWjEi
【ステラ(XLM)】
・GBM3PJWNB5VKNOFXCDTTNXPMUNBMYTLAAPYDIIKLHUGMKX7ZGN2FNGFU
【テザー(USDT)】
・1NRsEQRg5EjmJHbPUX7YADVPcPzCQBkyU7
【トロン(TRX)】
・TB3j1gUXaLXXq2bstiSMfjQ9R7Yh9DdDgK
流出した可能性のある暗号資産の数量
BTC | 1,008 BTC |
ETH | 11,480 ETH |
BSV | 14,713 BSV |
XRP | 18,495,798 XRP |
LTC | 26,733 LTC |
USDT | 999,160 USDT |
XLM | 9,588,383 XLM |
TRX | 199,038,936 TRX |
外部との協力ですでに複数の対応も
KuCoin(クーコイン)はすでに「Huobi、Binance、OKEx、BitMax、Bybit」などといった主要な暗号資産取引所や、プロックチェーンプロジェクト・セキュリティ機関・法執行機関と協力して問題解決に取り組んでおり、各企業・機関・プロジェクトが盗まれた暗号資産の資金洗浄を阻止するための措置を講じています。
「Synthetix」のSNXトークンなどに関しては、すでに「Uniswap」で売却されてしまっていると報告されていますが、その他の仮想通貨プロジェクトは「資金凍結・ハードフォーク」などの対応をとることによって被害を最小限に抑えるための対応をとっており、現時点では以下のような対応が取られていると報告されています。
【Ampleforth(AMPL)】
・Ampleforth(AMPL)が『攻撃者からの転送を無効にすること』を発表(約1400万AMPL)。
【Tether(USDT)】
・BitfinexのCTOであるPaolo Ardoino氏が『Tetherが合計2,200万USDT(約2,200万ドル)を正常に凍結したこと』を確認。
【Velo Labs(VELO)】
・Velo Labs(VELO)が『疑わしいアドレスに転送された各VELOトークンを再展開して置き換えること』を発表。影響を受ける1億2200万VELOは無効になります。
【VIDT_Datalink(VIDT)】
・VIDT_Datalink(VIDT)が『疑わしいアドレスに転送された1,449万VIDT(約720万ドル)を凍結する』と発表。
【Silent Notary(SNTR)】
・Silent Notary(SNTR)は『新しいSNTRを再発行し、影響を受けた789億SNTR(約9万ドル)を置き換えること』を発表。
【Covesting(COV)】
・Covesting(COV)は『疑わしいアドレスに転送された312万COV(約60万ドル)を凍結した』と発表。
【Orion(ORN)】
・Orion(ORN)がトークンスワップを完了したことによって、KuCoinで取引可能に。約382万ORN(約950万ドル)が保護されている。
【KardiaChain(KAI)】
・KardiaChain(KAI)がトークンスワップを完了。約5億2500万KAIが確保されている。
【NOIA Network(NOIA)】
・NOIA Network(NOIA)は『影響を受けた約8100万NOIA(約500万ドル)を置き換える新しいスマートコントラクトを介してNOIAを再発行する』と発表。
【Opacity(OPQ)】
・Opacity(OPQ)は『すでに計画されているTokenSWAPを加速する』と発表。
これらの最新情報は以下にリンクを記載している「KuCoinの公式発表ページ」で随時更新されているため、最新情報はこのページから確認することができます。なお同社は、1週間以内に全ての業務を完全に再開する予定であることも語っています。