シンガポールの通貨当局・中央銀行である「シンガポール金融管理局(MAS)」は2022年1月17日に、デジタル決済トークン(暗号資産/仮想通貨)の広告に関する規制ガイドラインを公表し、『暗号資産取引は非常にリスクが高く一般市民には適さないため、一般市民に対して暗号資産取引を推奨すべきではない』との見解を示しました。
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「暗号資産取引を推奨すべきではない」と説明
シンガポール金融管理局(MAS)は2022年1月17日に、デジタル決済トークン(暗号資産/仮想通貨)の広告に関する規制ガイドラインを公表し、『暗号資産取引は非常にリスクが高く一般市民には適さないため、一般市民に対して暗号資産取引を推奨すべきではない』との見解を示しました。
今回のガイドラインでは『シンガポール金融管理局は”暗号資産取引は非常にリスクが高く、一般市民には適していない”と一貫して警告を続けてきた。暗号資産サービスプロバイダーはそのことを理解した上で行動をとる必要がある』と強調されており、このガイドラインはライセンスを付与された暗号資産サービスプロバイダー・銀行・その他金融機関など様々な企業に適用されると説明されています。
具体的には『暗号資産サービスプロバイダーは暗号資産取引のリスクを矮小化するような形で暗号資産取引を描写してはならず、シンガポールの公共の場やシンガポールの一般市民に向けたその他の媒体で暗号資産サービスを宣伝してはならない』と説明されており、「公共の場・メディア・第三者のウェブサイト・SNS」などのあらゆる広告媒体での宣伝が禁止されている他、『インフルエンサーや第三者のウェブサイトなどを巻き込んでシンガポールの一般市民向けに暗号資産サービスの宣伝を行なったり、勧誘のためのキャンペーンを行なってはならない』とも説明されています。
- 暗号資産サービスプロバイダーは暗号資産取引のリスクを矮小化するような形で暗号資産取引を描写してはならず、シンガポールの公共の場やシンガポールの一般市民に向けたその他の媒体で暗号資産サービスを宣伝してはならない。これには、シンガポールの公共交通機関・公共交通会場・放送メディアや定期刊行物・第三者のウェブサイト・ソーシャルメディアプラットフォーム・公共イベントやロードショーなどの公共の場におけるあらゆる形式の広告や販促物の設置が含まれる。
- 暗号資産サービスプロバイダーは自社のウェブサイト・モバイルアプリケーション・ソーシャルメディアの公式アカウントでサービスの宣伝を行うことができるが、暗号資産取引のリスクを矮小化したり、決済サービス法に基づくリスク開示と矛盾するような方法で宣伝を行なってはならない。
- 暗号資産サービスプロバイダーはソーシャルメディアのインフルエンサーや第三者のウェブサイトなどの第三者を巻き込んで、シンガポールの一般市民に対して暗号資産サービスの宣伝を行なってはならない。これには新規顧客を勧誘するための共同販促キャンペーンも含まれる。
仮想通貨ATM・デリバティブ取引についても規定
また、今回のガイドラインでは仮想通貨ATMも宣伝の一形態であるとされており、仮想通貨ATMのような便利なアクセスを提供すると一般市民がリスクを考慮せずに衝動的に暗号資産取引を行なってしまう可能性があるため、仮想通貨ATMも公共の場に設置してはならないと説明されています。
さらに「差金決済取引」や「先物取引」などといった暗号資産関連のデリバティブ取引に関しても『通常の暗号資産取引よりもリスクが低いといったような誤解を与えてはならない』と説明されており、ガイドライン全体を通して「暗号資産取引に伴うリスクを適切に伝えること」の重要性が強調されています。
シンガポールではここ最近で暗号資産関連の規制が強化されてきており、昨年9月には大手暗号資産取引所「BINANCE(バイナンス)」からシンガポール関連サービスの提供を停止するとの発表が行われている他、12月にはシンガポールで暗号資産事業者としてのライセンスを申請した約170社のうちの100社以上が申請を却下または完全に取り下げたことが報告されています。