暗号資産の価格暴落でポジションを強制清算されたことが報じられていた大手仮想通貨ヘッジファンド「Three Arrows Capital(3AC)」に巨額融資を行なっていた「Voyager Digital(ボイジャー・デジタル)」は2022年7月5日に、日本の民事再生法に相当する再建型の倒産法制度「米連邦破産法11条(チャプター11)」に基づいた破産申請を行ったことを発表しました。
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米連邦破産法11条(チャプター11)を申請
暗号資産関連サービスを提供している「Voyager Digital(ボイジャー・デジタル)」は2022年7月5日に、ニューヨーク南部地区裁判所に日本の民事再生法に相当する再建型の倒産法制度「米連邦破産法11条(チャプター11)」に基づいた破産申請を行ったことを発表しました。
米連邦破産法11条(チャプター11)とは、米国における代表的な再建型の倒産法制であり、旧経営陣が引き続き経営を行いながら負債の削減など企業再建を行うことができるものとなっています。
Voyager Digital(ボイジャー・デジタル)は、暗号資産の価格暴落でポジションを強制清算されたことが報じられていたシンガポール拠点の大手仮想通貨ヘッジファンド「Three Arrows Capital(3AC)」に対して債務不履行通知を発行していた企業であり、3ACには15,250BTCと3億5,000万USDCを貸していたと報告されています。
ボイジャー・デジタルは公式発表の中で今回の申請が再建計画の一部であることを説明しており、同社のCEOであるStephen Ehrlich氏は『この包括的な組織再編は、プラットフォーム上の資産を保護し、顧客を含むすべてのステークホルダーの価値を最大化するための最善の方法である』とコメントしています。
この計画が実行されるためには裁判所の承認が必要となりますが、計画が実行されれば同社の顧客は再び口座にアクセスできるようになり、顧客に価値を還元することができるとのことで、具体的には同社アカウントに暗号資産を保有する顧客は「アカウント内の暗号資産・Three Arrows Capitalから回収した収益・新たに再編される会社の普通株式・Voyagerトークン」を組み合わせて受け取ることになると説明されています。
公式発表によると、Voyager Digitalはプラットフォーム上に約13億ドルの暗号資産、メトロポリタン商業銀行の顧客向けFBO口座に3億5,000万ドル以上の現金を保有、Three Arrows Capitalに対する債権は6億5,000万ドル以上とされています。
Voyager Digitalは公式発表の中で『ステークホルダーの価値を最大化するために、あらゆる戦略的選択肢を評価し続けている』とコメントしています。
なお、Three Arrows Capital(3AC)に関しては今月初めに『米国の資産を保護するために米国破産法第15章(国際倒産)の適用を申請した』と報告されています。