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Binance取引一時停止から再開|実行犯逮捕の懸賞金に「11億円」


仮想通貨取引所Binance(バイナンス)は7月4日、シスコイン(Syscoin/SYS)の取引で異常な高騰を検出したことを受け、取引サービスを一時的に停止していました。調査によって外部からのAPIの不正利用が判明し、現在はメンテナンスを終えて復旧しています。この問題を受けた同取引所は、本日5日から14日までの期間で全顧客に対して手数量無料などの対応を取ることを発表しました。

シスコイン(SYS)高騰からの取引停止まで

世界最大級の仮想通貨取引所Binance(バイナンス)は4日の午前9時頃、仮想通貨シスコイン(Syscoin/SYS)のブロックチェーン上で異常な取引活動を検知した後、緊急メンテナンスのために仮想通貨取引や出金と共にその他のアカウント機能などのサービスを一時的に停止しました。

2018年7月4日BinanceのSYS/BTCのチャート(引用:Binance)

詳しい情報は明らかにされていないものの、この取引によってバイナンスにおけるシスコインの取引量は87%も増加しており、これらの取引によってSYSは同取引所内で最も取引高の多い仮想通貨となっています。これによりシスコインの価格は一時的に約64万ドル(7,062万円)に相当する96BTCにまで高騰しています。

調査が行われた結果、悪意を持った多数のユーザーがシスコインのAPIを悪用して不正な取引を行なったことが判明しており、正常に取引が行われていた時点まで戻す”ロールバック”が実施されています。また、今回の攻撃がAPIを不正に利用したものであったことから、既存のAPIキーはすべて削除されています。これとともにバイナンスは、すべてのAPI利用者に対してAPIキーを新しく生成し直すようにも求めており、「通常APIを利用していない顧客は現在は作るべきではない」とも強調しています。

BinanceのCEOである趙昌鵬(Zhao Changpeng)氏は事件の後に、顧客の資産が安全であることをTwitterで報告しています。

「資金は安全です。」

今後の対応

復旧後の対応として今回のシスコインの急激な動きによって被害を受けたユーザーには、今月5日〜14日にかけて取引手数料を無料にすることが発表されています。また、被害を受けていないその他全てのBinanceユーザーに対しても、同様の期間中は取引手数料の70%がBinanceが発行しているトークンである「バイナンスコイン(BNB)」で払い戻されることになっています。

さらにバイナンスは今回の事件を受けて、顧客保護を目的としたファンドである「Secure Asset Fund for Users(SAFU)」を設立すると発表しました。バイナンスは取引手数料で得た収益の10%がこのファンドに入れられ、緊急事態の対応時に備えると説明しています。また、同ファンドには隔離されたコールドウォレットが使用されるとのことです。

犯人逮捕に全力|情報求む

また、Binanceは今回の事件の犯人を逮捕するために、1,000万ドル(約11億円)に相当する仮想通貨を懸賞金として用意しています。実行犯逮捕に繋がる何らかの情報を最初に提供した人には、25万ドル(約2,766万円)に相当するバイナンスコインが提供されるとのことです。また複数の人物から情報が集まった場合には、懸賞金は分配されるとのことです。

情報をお持ちの方はこちらのメールアドレスに連絡されてみてください。
bounty@binance.com

バイナンスは今年の3月7日にもハッキング被害にあっていますが、この時も迅速な対応が取られたことによって、ユーザーの資金は一切失っていないと報告されています。
このハッカーはこの時の犯行によって、自身のアカウント上の資金を凍結され、すべての資金を失うことになりました。また、その資金はBinanceチャリティーに寄付されることになっています。