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「暗号資産を国民経済に資する資産に」自民党の緊急提言が正式承認

税制改正・規制見直し・セキュリティ対策を加速

2024年12月19日に開かれた自民党の政調審議会で『暗号資産(仮想通貨)を国民経済に資する資産とするための緊急提言』が正式に承認されたことが明らかになりました。

衆議院議員の塩崎彰久氏は2024年12月19日にこのことを報告し、申告分離課税の適用・規制枠組みの見直し・サイバーセキュリティへの支援強化に向けて、具体的な取り組みを加速させていくと語っています。


暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言

自民党デジタル本部の金融調査会合同会議で『暗号資産(仮想通貨)を国民経済に資する資産とするための緊急提言』に関する議論が行われたことは18日時点でも報告されており、仮想通貨業界で注目を集めています。

自民党の公式サイトには、この会議で暗号資産の状況と対応について制度・セキュリティの観点から議論がなされた他、金融庁や日本暗号資産ビジネス協会からのヒアリングも実施されたことが記載されています。

初代デジタル大臣の平井卓也議員も2024年12月18日に今回の議論について報告を行なっており、「デジタル本部が中心となって自民党が世界で最も早く法制化に取り組んできたのがこの分野である」と説明した上で、「これはトランプ政権がスタートする前に税・規制・サイバーセキュリティに関する明確な姿勢を政府にしっかり認識していただくためにも重要な提言だと確信している」と語っています。


今回の緊急提言の重要性などに関する説明

日本国内では「早急な暗号資産の税制改正」を求める意見が数多く出ていますが、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の代表理事(会長)で、ビットポイントジャパンの代表取締役でもある小田玄紀氏は「“暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言”は税制改正などを含む極めて重要なキーワードになる」と説明しています。

小田玄紀氏は「この緊急提言によって”暗号資産に投資をすることが国民にとって有益”と評価するスタンスが表明されることになる」と要約した上で、この前提がある上で税制や規制を整えていくことの重要性を説明しています。


具体的な重要性については、2024年12月18日に公開された記事の中で詳しく説明されていて、記事内では以下のような説明や見解が記されています。

税制改正を含む様々なルール変更で重要

国内では20%の税率適用を求める声が多く上がっているが『暗号資産を国民経済に資する資産とする』ということは税制を含む様々なルール変更において極めて重要となる。

日本では2017年の資金決済法改正で暗号資産取引が法的に認められたが、これは「暗号資産取引を政府が推奨するためのもの」ではなく「資金洗浄対策強化のためのもの」というのが実際のところだった(※これによって国内の仮想通貨取引が活発に)。

国会議員の中には暗号資産に前向きな人もいるが、前向きな人の意見だけ聞いても法律や税制は変わらないため、否定的な人も反対出来ないようにすることが大切になってくる。

特に重要なポイントは「政府として日本国民に推奨できるかどうか」であり「国民資産に資するかどうか」になってくる。

投機ではなく「社会問題の解決策」に

暗号資産が「投機目的」だけで利用されている場合、日本政府が暗号資産を国民に推奨する可能性は低いため、しっかりと社会性や社会的価値を含めて「日本にとって暗号資産が必要」ということを訴求していく必要がある。

小田玄紀氏自身も上記のことを考慮して、暗号資産をただの投資・投機手段としてだけでなく、寄附や社会問題の解決として暗号資産やブロックチェーンが活用されている事例を調べて発信したり、また、業界をあげて犯罪に使われないようにする制度の導入を率先して行ってきた。

株式などが申告分離課税が認められているのは「株式投資は国民資産に資する」と判断されているからであり、政府も資産運用立国が経済成長に必要だと判断しているためNISAを含めた制度を導入している。

小田玄紀氏は日本国内の暗号資産口座数が1,000万口座を超える兆しが見えてきたため、この点を訴求することで暗号資産がマイナーなものではなく広く国民に受けいられる資産となりつつあることを提示してきた。このような中で『暗号資産を国民経済に資する資産』とするための議論がなされていることは非常に感慨深いことである。

日本政府と暗号資産に関する誤解

ここ最近では、国会答弁などで「日本政府は暗号資産に関して消極的または誤った改正をしようとしている」という誤解が一部で広まっている。

しかし「大臣職を筆頭に主要関係者は高度な守秘義務を負っており、開示されていないことは答弁できず、議論の過程にあるものはミスリードされることを防ぐために発信することに制約が生じる」ということを理解しておく必要がある。

直近でも一部のWeb3関係者が議論の過程にあるものに対して懸念を表明することがあったが、そのように誤った認識で誤った議論がされて誤った方向性に批判がされると改正の反対派に材料を与えてしまうことになる。

「批判があることでそれを超える対応をしようと思うきっかけにもなる」ということは理解しているため、批判自体を否定するつもりはないが、批判するだけではルールは変わらない。

日本政府の現在の取り組みについて

日本政府は現在「税制改正や暗号資産を含めてWeb3産業が日本で発展すること」や「それによって日本社会・経済が発展すること」について多くの関係者が適正な形になるように討議を進めている。

細かいところで詰めるべきところ、事業者側で対応すべきところ、法律・政令で改正すべきところなど細部にわたり議論をしている。

今の税制や法律に課題があることは理解しており、それを改善するために多くの人が動いているため、「ぜひ前向きな提案・改善案を提示頂き、一緒により良い社会を創っていきたい」と考えている。

緊急提言には損失繰越控除などの内容も

日本では仮想通貨取引にかかる高額な税金に対して不満の声が非常に多くあがっていますが、今回承認された緊急提言には「申告分離課税の適用・損失繰越控除の許可・デリバティブ取引における申告分離課税の適用」も含まれているため、今後は待ち望まれる税制改正の動きが本格化する可能性もあると予想されます。

また、暗号資産が「国民経済に資する資産」だと判断された場合には、税制改正だけでなく様々な面で暗号資産に前向きな取り組みが進められる可能性もあります。

暗号資産の実用性などが認められた上で、しっかりとした規制・税制・政策などの基盤が整えられれば、その後は急速に国内のWeb3環境が改善する可能性もあるため、今後の続報や日本政府の見解などにも注目です。

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執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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