仮想通貨イーサリアム(Ethereum/ETH)に関する基本情報や特徴をなどをわかりやすく解説するとともに、取扱う暗号資産取引所・価格・チャート・対応ウォレット・関連リンクなどの情報もまとめて掲載しています。
イーサリアム(Ethereum/ETH)とは?
イーサリアム(Ethereum/ETH)とは、契約を自動執行できるスマートコントラクトや分散型アプリケーション(DApps)を構築することができるブロックチェーン・プラットフォームであり、ETHはイーサリアムのガス代(手数料)支払いなどで利用される暗号資産(仮想通貨)です。
スマートコントラクトとは、人の手を介さずに契約を自動執行してくれる仕組みのことであり、現在仮想通貨業界で利用されている非常に多くのアプリケーションでこの技術が活用されています。
また、分散型アプリケーション(DApps)とは、ブロックチェーンや暗号資産を活用したアプリケーションの総称であり、現在は「分散型取引所・分散型ID・分散型金融・ゲーム」など様々なサービスが開発されています。
2015年に一般公開されたイーサリアムは、ビットコイン(BTC)に続く代表的なブロックチェーン・暗号資産となっており、仮想通貨の時価総額ランキングでは2位の座を維持し続けています。
そのため、仮想通貨ETHは日本国内の暗号資産取引所を含む世界中の様々な取引所に上場していて、ブロックチェーン技術を活用した各種サービスでもETHが頻繁に利用されています。
イーサリアム(ETH)の歴史
イーサリアム(ETH)の歴史は、イーサリアム考案者として知られるヴィタリック・ブテリン氏が2013年に「Ethereum white paper」というホワイトペーパーを発表したことから始まります。
2014年1月には北アメリカ・ビットコイン・カンファレンスでイーサリアムのプロジェクトが正式に発表され、2014年8月にはイーサリアム関連の技術開発をサポートする「イーサリアム財団」が設立されました。
2014年6月には仮想通貨を用いて資金調達を行う「ICO」を通じてBTCとETHを交換する方法で資金調達を実施、この際には42日間のクラウドセールで18億円相当のビットコインが調達されたことが報告されています。
イーサリアムには「Frontier・Homestead・Metropolis・Serenity」と呼ばれる4段階の大型アップデートが組み込まれており、2015年から段階的にこれらの大型アップグレードが実施されています。
2015年7月30日には最初のベータ版となる「Frontier」のリリースを通じてイーサリアムが一般公開されており、2016年3月には「Homestead」を実施、2017年9月には「Metropolis」、2020年12月には「Serenity」が実施されています。
さらに、2023年4月には「Shanghai」アップグレードが実施され、ステーキングしたETHの引き出しが可能になりました
イーサリアムの大型アップデートはその後も段階的に実施されており、今後もさらなる大型アップグレードが予定されています。
イーサリアム(ETH)の特徴
イーサリアム(ETH)の特徴としては以下のようなものが挙げられます。
分散型アプリケーション(DApps)を構築できる
イーサリアムは、ブロックチェーン技術を活用したアプリケーションである分散型アプリケーション(DApps)を開発するためのプラットフォームとして開発されています。
分散型アプリケーション(DApps)とは、中央集権的な管理者なしで機能するオープンソースのアプリケーションのことであり、取引所・ゲーム・レンディング・NFTマーケットプレイスなど様々な種類のDAppsが開発されています。
イーサリアムのブロックチェーンを活用したDAppsでは、トランザクション(取引や契約)を行う際の手数料支払いなどで「ETH」が使用されるため、仮想通貨ETHは各種DAppsを利用する上でも非常に重要な通貨となっています。
スマートコントラクト機能
イーサリアムの大きな特徴の1つとしては「スマートコントラクト機能」が挙げられます。
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で人の手を介さずに様々な契約を自動的に執行できる機能のことであり、「取引の時間を短縮できる・人件費を削減できる・データの改ざんを防止できる・契約を簡素化できる」など様々なメリットを有しています。
先述したDAppsでもスマートコントラクトは重要な役割を果たしており、「分散型取引所における暗号資産の交換」や「NFTマーケットプレイスにおけるNFTの売買」などでもスマートコントラクトの機能が使用されています。
トークンやNFTを発行できる
イーサリアム(ETH)の大きな特徴の1つとしては「トークンやNFTを発行できる」という点も挙げられます。
イーサリアムには、イーサリアムのプログラミングについて概説するERC(Ethereum Request for Comments)と呼ばれる規格が存在し、「ERC-20、ERC-721、ERC-1155」などといった様々な規格に基づいたトークンが発行されています。
ERC-20は、イーサリアムブロックチェーンとの互換性を持つ暗号資産を作成するための規格であり、USDT・LINK・POL・ENJ・SHIBなどといった有名な暗号資産もERC-20規格に基づいて作成されています。
なお、ゲーム内アイテムやアート作品などとして発行されていることで知られるNFTの多くは「ERC-721」や「ERC-1155」という規格に基づいて作成されています。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用
イーサリアムは元々、コンセンサスアルゴリズム(取引承認・合意形成の仕組み)としてビットコインと同じプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用していましたが、2022年にはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)と呼ばれる新しい仕組みへと移行しています。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)とは、対象となる暗号資産を保有している割合(ステーク)に基づいてブロック承認の割合を決める方法であり、より安全で、エネルギー消費量が少なく、新たなスケーリングソリューションの導入に適しているという特徴を有しています。
PoSは”第三世代のブロックチェーン”とも呼ばれる次世代型のブロックチェーンでも広く採用されていて、ステーキングと呼ばれるプロセスに参加することによってステーキング報酬を得られるというメリットも有しています。
イーサリアムETF
イーサリアム(ETH)は、米国で現物ETFが展開されている数少ない仮想通貨の1つでもあります。米国では2024年1月にビットコイン現物ETFの取引が開始されましたが、2024年7月にはイーサリアム現物ETFの取引も開始されています。
イーサリアムETFとは、イーサリアムの価格に連動する上場投資信託(ETF)のことであり、株式のように証券取引所で売買することができます。現物ETHを取引する際には暗号資産取引所での口座開設やウォレット管理が必要ですが、ETFを利用すればこれらは不要です。
ETFは機関投資家などの参入にもつながる重要な投資商品の1つとして捉えられており、イーサリアム現物ETFは機関投資家を含む大口投資家からの資金流入につながる重要な存在の1つとして注目されています。
なお、イーサリアム現物ETFは「Franklin Templeton、VanEck、Bitwise、Fidelity、BlackRock、Grayscale」など含む多数の大手企業から提供されています。
イーサリアム(ETH)のステーキングについて
イーサリアム(ETH)のステーキングは、保有するイーサリアムをロックして、ブロックチェーンネットワークの維持とセキュリティに貢献することで、報酬を得る仕組みです。
イーサリアムは、2022年9月の「マージ」により、従来のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行しました。
イーサリアムをステーキングするためには最低32 ETH(1,250万円相当)が必要となり、専用のバリデータノードに預け入れることでトランザクションの検証に参加でき、報酬を得ることがきます。
2024年7月時点で、イーサリアムの総供給量の約28%がステーキングに使用されており、その価値は約1,100億ドル(約16兆4,000億円)に相当します。
ステーキングは、長期的にETHを保有する人にとって魅力的な選択肢となり、イーサリアムネットワークの安定性と持続可能性を支える重要な要素となっています。
ETHステーキングの詳細はこちら
イーサリアム(ETH)の「ガス」について
イーサリアム(ETH)のブロックチェーンを利用する際には「Gas(ガス)」と呼ばれる手数料が発生します。これは仮想通貨業界で”ガス代”と呼ばれているもの、DAppsを利用する際などには必ず知っておきたい要素の1つとなっています。
イーサリアムで送金したり、スマートコントラクトを実行する際には手数料を支払う必要があり、そのような手数料の総称が「ガス」と呼ばれます。
メタマスクなどの自己管理型ウォレットでETHを送金したことがある方は「gwei」などの表記を目にしたことがあるでしょう。これはETHの数量を表す際に用いられる単位のことであり、gwei以外にも以下のような様々な単位が存在します。
単位 | Ether |
wei(最小) | 0.000000000000000001ether |
kwei | 0.000000000000001ether |
mwei | 0.000000000001ether |
gwei | 0.000000001ether |
szabo | 0.000001ether |
finney | 0.001ether |
ether(ETH) | 1ether |
kether | 1000ether |
mether | 1000000ether |
gether | 1000000000ether |
tether(最大) | 1000000000000ether |
なお、ガス代は原則として利用者が自由に設定することが可能で、基本的には高いガス代を支払えば取引が早く完了し、ガス代を安く設定した場合には取引完了までに時間がかかるようになっています(※ガス代を安く設定しすぎると取引が完了しない場合があるので要注意)。
イーサリアムの代表的DApps
DApps(分散型アプリケーション)は、中央管理者を必要とせず、ブロックチェーン上で自動的に実行されるアプリケーションです。イーサリアム(ETH)は、スマートコントラクト機能を備えたブロックチェーンプラットフォームであり、その技術を基盤に多くのDAppsが開発されています。
イーサリアム対応の代表的なDAppsとしては、分散型金融(DeFi)サービスを提供する「Uniswap」や、レンディングプラットフォームの「Aave」、NFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの「OpenSea」などが挙げられます。
これらのDAppsは、イーサリアムの技術を活用して、中央集権的なシステムに依存しない新しい形でサービスを展開しています。
イーサリアムの代表的DEX
分散型取引所(DEX)は、ユーザーが中央集権的な仲介者を介さずに直接仮想通貨を取引できるプラットフォームです。イーサリアムのDEXは、スマートコントラクトを活用して、取引の透明性と安全性を確保しています。
イーサリアム対応の代表的なDEXとしては「Uniswap、SushiSwap、Balancer、Curve Finance」などが挙げられます。Uniswapはイーサリアム上で最も利用されているDEXで、流動性プールを用いた自動マーケットメーカー(AMM)モデルを採用しています。
SushiSwapはUniswapを元に開発されたプロジェクトで、ガバナンスや独自トークンSUSHIを通じた報酬システムが特徴です。Balancerは複数のトークンをバランスよく管理することで、効率的な流動性提供を実現します。
Curve Financeは特にステーブルコインや同一資産間の取引に特化しており、スリッページを最小限に抑えた取引が可能です。これらのDEXは、ユーザーに非中央集権的な取引環境を提供し、仮想通貨エコシステムの重要な一部を担っています。
Uniswapの詳細はこちら
イーサリアムの代表的DeFi
イーサリアム(ETH)は、スマートコントラクト技術を基盤に、分散型金融(DeFi)アプリケーションの中心的なプラットフォームとして知られています。
イーサリアム上で展開される代表的なDeFiプロジェクトとしては、レンディングプラットフォームの「Aave」や、ステーブルコインを発行する「MakerDAO」などが挙げられます。これらのプロジェクトは、スマートコントラクトを活用してユーザー同士が資産を貸し借りしたり、取引を行うことを可能にし、透明性と安全性を高めています。
また、DeFiプロジェクトは、銀行口座がなくても金融サービスにアクセスできる点や、取引手数料の低減といったメリットも持ち、世界中で急速に普及しています。イーサリアムのブロックチェーンは、DeFiのエコシステムの中核を担っており、ますます多くの開発者やユーザーがその利便性と革新性に注目しています。
イーサリアムの代表的NFTマーケット
イーサリアムはNFT(非代替性トークン)の主要なプラットフォームであり、多くのNFTマーケットプレイスがイーサリアムのブロックチェーンをサポートしています。
その中でも、特に有名で多くのユーザーに利用されているのがOpenSea(オープンシー)です。OpenSeaは、NFTの売買が可能な世界最大級のマーケットであり、ユーザーは簡単にデジタル資産を出品したり購入したりできます。
OpenSeaは2017年に設立され、2024年1月時点で300万人以上のアクティブユーザーを抱え、日々約450万ドル(約6億7,000万円)の取引量を記録しています。
OpenSeaは現在、イーサリアム以外にもポリゴン(Polygon)、クレイトン(Klaytn)、ソラナ(Solana)、アバランチ(Avalanche)、オプティミズム(Optimism)、アービトラム(Arbitrum)、BNB Chainなど複数のブロックチェーンに対応しています。
OpenSeaの詳細はこちら
イーサリアム(ETH)の将来性・今後の動向
イーサリアム(ETH)は、仮想通貨を超えて分散型アプリケーション(dApps)やスマートコントラクトの基盤として広く認識されています。
2022年9月15日に実施された「マージ」により、イーサリアムは既にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと移行し、エネルギー消費が99%以上削減されました。この移行により、環境への負荷が大幅に軽減されました。
また、2023年4月には「シャンハイアップグレード」により、ステーキングされたETHの引き出しが可能となり、エコシステムがさらに成熟しています。
将来的なスケーラビリティ向上のために、「シャーディング」技術の導入が計画されており、これにより処理速度が最大10万TPSにまで向上する可能性があります。
イーサリアムは現在もDeFiやNFT市場で主導的な役割を果たし、競合するブロックチェーンが増加する中でもその地位を維持しています。
世界各国で仮想通貨規制が進む中、イーサリアムは技術革新とともに、DeFiやNFTといった新たな分野での採用が拡大しています。これにより、今後ますますイーサリアムの重要性が高まることが期待されており、仮想通貨市場の成長を牽引する存在として注目されています。
イーサリアム(ETH)の基本情報
ブロックチェーン名称 | イーサリアム(Ethereum) |
ティッカーシンボル | ETH |
取引承認方法 | プルーフ・オブ・ステーク(PoS) |
一般公開日 | 2015年7月30日 |
発行上限 | なし |
考案者 | ヴィタリック・ブテリン |
イーサリアム(ETH)のコントラクト一覧
【BNB Smart Chain】
0x2170ed0880ac9a755fd29b2688956bd959f933f8
ETHのリアルタイム価格・チャート
イーサリアム(ETH)の価格予想
イーサリアム(ETH)価格は、仮想通貨市場の動向や技術開発、規制、投資家の動きなど多岐にわたる要因によって左右されるため、将来の価格を正確に予想することは困難ですが、強気な価格予想では「2026年末までに8,000ドル」という予想も語られています。
イーサリアムはブロックチェーン技術を基盤にスマートコントラクトや分散型アプリケーション(dApps)の開発を可能にしており、その技術的進化は価格に大きな影響を与えます。
特に、Ethereum 2.0への移行やスケーラビリティ向上の取り組みが進む中で、取引コストの削減やエコシステムの成長が期待されています。また、DeFi(分散型金融)やNFT市場の拡大もイーサリアムに対する需要を押し上げる要因となっています。
しかし、規制の強化や他のブロックチェーンプロジェクトとの競争もリスク要因として考慮する必要があります。将来的には、グローバル経済の状況や投資家心理がETH価格にどのような影響を及ぼすかが注目されており、長期的な視点での分析が重要です。
イーサリアム(ETH)の買い方・購入方法
イーサリアム(ETH)の購入は、大きく分けて以下の3つの手順に沿って行います。
- 仮想通貨(暗号資産)取引所に登録する
- 銀行振込で日本円を入金する
- イーサリアムを購入する
詳細については購入方法の解説記事をご覧ください。
ETHを取扱う暗号資産取引所
イーサリアム(ETH)は、日本国内の暗号資産取引所を含む世界中の様々な取引所に上場しています。ETHを取り扱っている代表的な暗号資産取引所としては、以下のような取引所が挙げられます(2023年10月時点)。
【日本国内の暗号資産取引所】
・コインチェック
・ビットバンク
・SBI VCトレード
・ビットポイント
・ビットトレード
・OKJ(OKCoinJapan)
・LINE BITMAX
・Binance Japan
・DMMビットコイン
・GMOコイン
・コイントレード
・ビットフライヤー
・BTCBOX
・Himalaya Exchange Japan
・楽天ウォレット
・WhaleFin
・Zaif
・東京ハッシュ
・コインベスト
【海外の暗号資産取引所】
・BINANCE(バイナンス)
・KuCoin(クーコイン)
・Bithumb(ビッサム)
・Coinbase(コインベース)
・Kraken(クラーケン)
・Bitfinex(ビットフィネックス)
・OKX(オーケーエックス)
・Bybit(バイビット)
・Gate.io(ゲート)
・Bitget(ビットゲット)
・MEXC(エムイーエックスシー)
など
ETHを取扱うおすすめの国内取引所
ETH対応ウォレット
イーサリアム(Ethereum/ETH)を保管することができる代表的なウォレットとして以下のようなものが挙げられます。
・MetaMask(メタマスク)
・Trust Wallet(トラストウォレット)
・Ledger(レジャー)
・Trezor(トレザー)
イーサリアム(ETH)関連リンク
・イーサリアム公式サイト
・イーサリアム公式X
・イーサリアム公式YouTube
・イーサリアム公式Discord
・Github
・ホワイトペーパー
・エクスプローラー(etherscan)
・エクスプローラー(blockchair)
イーサリアム関連の注目記事はこちら
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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