ジョージア(旧:グルジア)の中央銀行である「ジョージア中央銀行(NBG)」は2021年5月5日に、新しいテクノロジーを活用してジョージア国内の決済システムと金融包括の効率を高めるために、中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタル・ラリ」の発行を検討していることを明らかにしました。
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官民で協力しつつ「デジタル・ラリの発行」を検討
ジョージア中央銀行(NBG)は2021年5月5日に『新しいテクノロジーを活用してジョージア国内の決済システムと金融包括の効率を高めるために、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の立ち上げを検討している』と発表しました。
このCBDCプロジェクトでは、同国の法定通貨である「ラリ(GEL)」のデジタルバージョンである『デジタル・ラリ(Digital Gel)』が発行される予定となっており、デジタル・ラリは既存の法定通貨と同じように支払い手段や価値の保存手段として使用することができるとされています。
また、ジョージア中央銀行はCBDCの開発で「テクノロジー企業・フィンテック企業・関心のある金融機関」などと協力する予定であることを語っており、『官民パートナーシップを通じてCBDCの採用が直面する技術・規制・金融の問題を解決するための取り組みを行なっていく』と説明しています。
ジョージア中央銀行は公式発表の中で、中央銀行デジタル通貨について次のようにコメントしています。
CBDCは革新的なビジネスモデルが有する途方もない価値を解き放ち、社会に大きな利益をもたらす可能性を秘めています。CBDCの導入は、金融仲介の効率を高め、新しい金融技術の導入を支援し、金融包括を促進し、これまで銀行口座を持っていなかった人々にもサービスを行き渡らせる可能性があります。また、金融政策の金融伝達メカニズムと社会の福祉効果を改善することにより、金融政策の効率を高めることができます。
ジョージア中央銀行はCBDCの開発において「底コスト・利便性・即時決済・オフライン決済・相互運用性・簡単な技術統合・スマートコントラクト・資金洗浄などへの耐性・サイバー攻撃耐性・取引の制限能力・マルチシグ」などといった様々な項目を考慮していくことを説明していますが、それと同時に『CBDCは完全に新しく、潜在的に破壊的な技術であるため、開発中に健全なリスク管理を確保することが不可欠である』とも説明しています。
今後はCBDCの導入を円滑かつ確実に進めるために、管理された環境下で大規模なCBDCのテストを実施する可能性があるとのことですが、CBDC発行までのスケジュールなどについては明らかにされていません。
ジョージアは人口約400万人の比較的小さな国ではあるものの、仮想通貨・ブロックチェーン関連の取り組みは以前から行われており、2019年6月には『カルダノ(Cardano/ADA)の開発企業であるInput Output Global(IOG)と覚書(MoU)を締結したこと』や『仮想通貨と法定通貨を交換する際にかかる付加価値税(VAT)や、トレーダーに課せられる所得税を免税にしたこと』なども報告されています。