米国の決済大手「PayPal(ペイパル)」が、暗号資産の出金機能実装に向けて開発を進めていることが「Coindesk」の報道で明らかになりました。PayPalはすでにビットコインやイーサリアムなどの取引・決済サービスを提供していますが、出金機能が実装されれば外部ウォレットなどにそれらの仮想通貨を移すことが可能になるため、仮想通貨市場全体の流動性向上につながると期待されています。
PayPal「仮想通貨の出金機能」を開発中
PayPal(ペイパル)のブロックチェーン部門責任者であるJose Fernandez da Ponte(ホセ・フェルナンデス・ダ・ポンテ)氏は、仮想通貨メディア「Coindesk」が主催する大型カンファレンス「Consensus」に登壇した際に『PayPalが仮想通貨出金機能の開発を進めていること』を明らかにしました。
ペイパルは2020年11月に以下4種類の仮想通貨の取引サービスを開始し、2021年3月にはこれら4種類の仮想通貨で支払いを行うことができる仮想通貨決済機能「Checkout with Crypto」の提供を開始していましたが、現時点で仮想通貨の出金はできない状態となっています。
・ビットコイン(Bitcoin/BTC)
・イーサリアム(Ethereum/ETH)
・ライトコイン(Litecoin/LTC)
・ビットコインキャッシュ(BitcoinCash/BCH)
仮想通貨の出金機能が導入されればペイパルで保有している仮想通貨を外部のウォレットや取引所などに送金して使用することができるようになるため、仮想通貨市場全体の流動性向上につながると期待されています。出金機能の実装時期は明らかにされていないものの、ポンテ氏は『PayPalは平均して2ヶ月ごとに新しい製品をリリースしている』とも語っています。
「独自ステーブルコインの噂」にもコメント
今月3日には『PayPalは独自のステーブルコイン発行に向けた話し合いを進めている』ということが報じられていましたが、ポンテ氏はこの噂について『それについては時期尚早である』とコメントしています。
しかしながら同氏は「ステーブルコインと中央銀行デジタル通貨(CBDC)のどちらか片方が支配的になるとは思えない」との考えも語っており、『ステーブルコインとCBDCは共存することになると思う』と語っています。
中央銀行が独自のトークンを発行することはもちろん理にかなっています。時々「CBDC対ステーブルコイン」に関する議論が行われていますが、どちらか片方が犠牲になるということはなく、それらは共存すると思っています。
ポンテ氏は「CBDCのようなデジタル通貨が導入されれば、金融の安定性が高まり、誰も金融システムにアクセスできるようになる可能性がある」との考えを述べているものの、それと同時に「CBDCで実際に書かれているコードはまだ少ない」とも指摘しており、「CBDCを一般に配布する時がきた際には、PayPalのような金融機関がCBDC配布に貢献できる可能性がある」といった考えも語っています。