米国で2番目に長い歴史を持つ大手金融機関である「State Street(ステート・ストリート)」は2021年6月10日に、デジタルファイナンスを専門とする新部門「StateStreet Digital」を立ち上げたことを発表しました。この新部門は「暗号資産・ブロックチェーン・トークン化・中央銀行デジタル通貨(CBDC)」などのデジタル通貨に焦点を当てた事業を担うことになると報告されています。
デジタル金融部門「StateStreet Digital」新設
State Street(ステート・ストリート)は2021年6月10日に、デジタルファイナンスを専門とする新部門「StateStreet Digital」を立ち上げたことを発表しました。「State Street」は1792年に設立されたアメリカで2番目に長い歴史を持つ大手金融機関であり、2021年3月31日時点で保管している資産は40.3兆ドル、運用資産は3.6兆ドルに上ると報告されています。
新たに設立されたデジタル金融部門「StateStreet Digital」は、同社が有するデジタル技術関連技術を活用した事業に注力する部門となっており、今後は「暗号資産・ブロックチェーン・トークン化・中央銀行デジタル通貨(CBDC)」などといった近年急速に拡大しているデジタル通貨関連分野に事業を拡張していく予定だと説明されています。
ステート・ストリートの会長兼CEOであるRon O’Hanley(ロン・オハンリー)氏は公式発表の中で『金融業界はデジタル経済へと変貌を遂げつつあり、デジタル資産は今後5年間で業界に影響を与える最も重要な力の1つであると考えている』と述べており、『デジタル資産は金融サービスの既存のフレームワークに急速に統合されつつある。従来の投資ニーズと増大するデジタルニーズの両方に対応するソリューションをクライアントに提供するためのツールを用意することが重要だ』とコメントしています。
「取引ソフトウェア・トークン化された資産」などを準備
Bloombergの報道によると、「StateStreet Digital」の責任者に就任したNadine Chakar(ナディーン・チャカー)氏は『このテクノロジーは革命的で、世界を変えるものだ』とブロックチェーン技術を評価した上で『何年も前から問題の解決策ではあったが、最近になって現実的になりつつある。実際の使用例が出てきた』と述べたとも報告されています。
報道によると、新部門は400人〜450人規模でスタートしたとされており、仮想通貨取引ソフトウェアやトークン化された資産向けのサポートなど、一連のプロダクトおよびサービスの準備を進めていると報告されています。
トークン化とは「不動産・株式・アート作品」などといった様々な資産の所有権をトークン化したもののことであり、所有権をデジタル化することによってより簡単かつ迅速に資産を取引することができるため、現在は様々な業界で資産のトークン化が進められています。
Bloombergによるとチャカー氏は『建物さえトークン化できる。一棟を丸ごと売ることなく、その一部分だけ取引することが可能だ』とも語ったとされており、デジタル部門設立の背景に”顧客からの強い要望”があったことを説明したと報じられています。
なお「State Street」は暗号資産取引プラットフォームへの技術提供なども行っており、今年4月には英国の金融スタートアップである「Puremarkets」が、機関投資家向けの仮想通貨取引プラットフォームである「Pure Digital」の提供に向けて、ステート・ストリートが所有する外国為替テクノロジー・プロバイダー「Currenex」から技術提供を受ける契約を結んだことを発表しています。