大手自動車メーカーの「Renault(ルノー)」は2022年11月15日に、業界初の産業用メタバースを構築したことを発表しました。この産業用メタバースは「3億2,000万ユーロの節約、2億6,000万ユーロの在庫削減、車両納期の60%削減、車両製造の二酸化炭素排出量50%削減、グループが目標とする保証コストの60%削減」などにつながると報告されています。
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2025年までに3億2,000万ユーロを節約
Renault(ルノー)は2022年11月15日に、業界初の産業用メタバースを構築したことを発表しました。この産業用メタバースは「ルノーグループのデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた新たな一歩」であると説明されています。
当社は業界初の産業用メタバースを立ち上げ、グループのデジタルトランスフォーメーションに向けた新たな一歩を踏み出します。生産ラインの100%が接続され、毎日10億以上のデータが収集されています。
ルノーグループの産業用メタバースは「大量のデータ収集・プロセスのデジタルツイン・サプライチェーンエコシステムの接続・一連の高度な技術」という4つの側面に基づいているとのことで、2025年までに3億2,000万ユーロの節約、2億6,000万ユーロの在庫削減、車両納期の60%削減、車両製造の二酸化炭素排出量50%削減、グループが目標とする保証コストの60%削減につながるとも説明されています。
デジタルツインで生産プロセスを効率的に管理
現在は生産ラインの100%にあたる8,500台の機器が接続されているとのことで、サプライフローの90%が常時監視され、サプライチェーンデータの100%がリアルタイムで制御される現実世界のレプリカで管理されていると説明されています。
ルノーのメタバースは、同社が運営する工場と生産ラインのレプリカとなるデジタルツイン(*1)に基づくシステムで構築されており、各工場とサプライチェーンに連動した独自の仮想世界を構築、それらはコントロールタワーによってリアルタイムに制御されていると説明されています。
(*1)デジタルツイン:現実の世界から収集した様々なデータを双子であるかのようにコンピュータ上で再現する技術。
また、これらの仕組みはサプライヤーデータ・販売予測・品質情報などに加えて、天候・道路交通などの外来情報や予測シナリオの開発を可能にする人工知能(AI)で強化されているとも説明されています。
同社が構築したプラットフォームは既に生産プロセスの修正・改善にも貢献しているとのことで、一部のコンポーネントは2019年以降に300件のアラートを検出し、300件の生産停止が回避されているとも報告されています。
ルノーは以前からブロックチェーンなどを始めとするWeb3関連技術を積極的に取り入れており、今年9月にはRenaultの韓国子会社である「Renault Korea Motors」が人気のメタバースプラットフォーム「The Sandbox」と提携したことなども発表されています。