金融庁が2023年に「海外で発行されたステーブルコインの国内流通」を認める予定であることが日本経済新聞の報道で明らかになりました。金融庁は2022年12月26日以降に意見募集を開始すると報告されています。
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海外発行コインは国内業者が資産保全
日本の暗号資産取引所では海外で発行されているUSDT・USDCなどのステーブルコインは取り扱われていませんが、金融庁は2023年に「海外で発行されたステーブルコインの国内流通」を認める予定であると報じられています。
「日本経済新聞」の報道によると、金融庁は2022年12月26日以降に意見募集を開始するとのことで、来年には内閣府令などを改正してガイドラインを策定、今年6月に成立した改正資金決済法の施行に合わせて適用する予定だと報告されています。
(追記:2022年12月26日18:23)
金融庁から意見募集に関する公式発表が行われました↓
ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨と価格が連動するように設計された仮想通貨のことであり、代表的なものとしては以下のようなコインが存在、これらのステーブルコインは海外取引所の基軸通貨としても採用されています。
・テザー(Tether/USDT)
・USDコイン(USDCoin/USDC)
・バイナンスUSD(Binance USD/BUSD)
金融庁が認めるステーブルコインの詳細などは明らかにされていませんが、日本国内で海外発行のステーブルコインを扱う際には「国内で取引を担う流通業者に資産保全を義務付け、マネロン対策のために取引情報を記録し、送金上限を定める」などのルールを定めることによって、資金洗浄などの犯罪を防止しながら利用者が安全に取引できる環境を整備、Web3上でステーブルコインが決済手段に使用されることを念頭に制度改正を行うと伝えられています。
日本ではステーブルコインを規制する国内初の法律となる「改正資金決済法」が2023年に施行される予定となっています。改正資金決済法ではコインの発行を「銀行・資金移動業者・信託会社に限定し、流通を担う事業者の登録制を導入する」などの対策が盛り込まれていましたが、海外発行ステーブルコインの取扱いや規制詳細などは明確に定められていませんでした。
国内発行ステーブルコインでは「発行されたコインと同額以上の準備金を用意する」といったような資産保全のための対策が発行者に義務付けられていましたが、海外発行ステーブルコインの場合は発行者が国内業者ではない場合があるため、国内で取引を担う流通業者に資産保全を義務付けることによって破綻などに備えると伝えられています。
今年5月には代表的なアルゴリズム型ステーブルコインであった「UST(現:USTC)」や「LUNA(現:LUNC)」が崩壊したため、現在はステーブルコイン全体に対する不信感が高まっていますが、今回報じられている対策で海外発行ステーブルコインが国内流通した場合には「発行元の準備金」と「国内流通事業者の準備金」の両方でコインが守られることになるため、安全性が高まる可能性があると期待されています。
資産保全やマネロン対策などで課題はあるものの、USDT・USDCなどのステーブルコインが国内で取引できるようになれば、国際送金などがより便利になり、ステーブルコインを採用している主流のWeb3サービスもより手軽に利用できるようになると期待されるため、今後の動向には注目が集まっています。