2025年4月1日、米国フロリダ州で実施された連邦議会下院の特別選挙(第1選挙区および第6選挙区)で、仮想通貨業界から支援を受けた共和党候補2名が当選しました。
当選したのは第1区のジミー・パトロニス氏と、第6区のランディ・ファイン氏で、両氏は仮想通貨(暗号資産)に友好的な姿勢を示す候補者であり、仮想通貨業界が出資する政治活動委員会(PAC)から多額の支援を受けていたことが勝因の1つと見られています。
フロリダ特別選挙で仮想通貨支持派が当選
今回の特別選挙は、トランプ政権の要職への起用により空席となっていたフロリダ州の2議席を埋めるために実施されました。
第1選挙区ではパトロニス氏が約57%の票を獲得して民主党候補のゲイ・バリモント氏に勝利し、第6選挙区でもファイン氏が約56.7%の票を得て民主党候補のジョシュ・ワイル氏を破りました。
パトロニス氏は前職のマット・ゲーツ下院議員の後任として、ファイン氏は前職のマイケル・ウォルツ下院議員の後任として、それぞれ連邦議会議員に就任します。
両選挙区とも伝統的に共和党が強い保守地盤ですが、仮想通貨産業からの支援を受ける候補者の当選に全米の関心が集まりました。
今回の選挙結果を受け、米連邦議会では上下両院とも仮想通貨に友好的な議員が過半数を占めたという分析もあり、仮想通貨産業の政治的影響力が増していることがうかがえます。
仮想通貨に友好的な議員が過半数に
政治活動委員会(PAC)とは?
パトロニス氏とファイン氏の当選を強力に支援したのは、PAC(特別政治活動委員会)の「Fairshake(フェアシェイク)」であることが明らかにされています。
Fairshakeは、大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)やRipple社、ベンチャー企業Andreessen Horowitz(a16z)など複数の大手仮想通貨企業が出資する政治団体で、2024年の米国選挙に向けて総額約1億7,000万ドル(約250億円)を投入していると報じられています。
今回のフロリダ特別選挙でもFairshakeが大きな役割を果たしており、同PAC傘下の共和党支援組織「Defend American Jobs」を通じて両候補の選挙戦に合計約150万ドル(約2億円)の支出が行われました。
内訳は、第6選挙区のファイン氏に約116万ドル(約1億7,000万円)のテレビ広告支援を行ったほか、第1選挙区のパトロニス氏にも約34.7万ドル(約5,100万円)を支出しています。予備選の段階でもファイン氏に50万ドル超、パトロニス氏に20万ドル超を投入し両氏の候補指名を後押ししていたことが確認されています。
ワイオミング州でもPAC設立
仮想通貨業界にとっても追い風へ
仮想通貨産業から支援を受けた候補者が当選し連邦議会に加わることで、業界寄りの法整備に弾みがつくとの期待が高まっています。
パトロニス氏とファイン氏の勝利によって共和党は下院の議席数を220議席に伸ばし(民主党は213議席)、仮想通貨に関する議会支持をより確固たるものにしたと指摘されています。
仮に両名が落選していた場合でも共和党多数は維持されましたが、今回の勝利によって下院で進められている共和党主導の仮想通貨関連法案が可決される可能性が高まったとも報じられています。
フロリダ州の仮想通貨法案
選挙で強まる仮想通貨への期待
ファイン氏自身も選挙戦の途中、X(Twitter)に「フロリダの人々は仮想通貨によるイノベーションを求めている」と投稿しています。
フロリダの人々は仮想通貨のイノベーションを求めています!しかし、それと同時に明確なルールも必要です。
私は議会で、消費者を保護し、自由を守り、イノベーションによる雇用をアメリカに残すために尽力します。
中国に主導権を奪われるような事態は、絶対に避けなければなりません。
業界寄りの公約を掲げた候補者が実際に当選し議会で影響力を持つことになった形であり、今後その公約通りに規制の整備とイノベーション推進が両立する政策が打ち出されるかに注目が集まります。
業界団体の関係者からは「今回の当選は新たな雇用を生み出し、イノベーションを後押しする大きな一歩だ」と歓迎する声も上がっており、仮想通貨コミュニティ全体で政治の場における前向きな変化に期待するムードが広がっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.64円)
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Source:フロリダ州公式サイト
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像