
トランプ関税ショックでビットコイン価格急落|仮想通貨市場は回復するのか
相互関税発表でビットコイン価格が急落
トランプ米大統領は2025年4月2日に、米国の貿易相手国に対する世界規模の「相互関税」導入を推進する方針を表明しました。
仮想通貨市場でも発表前から警戒感が広がり、主要取引所ではプットオプション(売る権利)購入が増加するなど下落に備える動きが活発化していました。発表後、金融市場ではリスク回避の動きが強まり、ビットコイン(BTC)価格も急落しています。
ビットコイン相場は発表直前まで約8万8,000ドル(約1,300万円)で推移していましたが、発表後には約8万3,000ドル(約1,220万円)付近まで下落し、日中の高値から5,000ドル以上値を下げました。
また米国株式市場でもハイテク株中心のナスダック指数が時間外取引で約4%急落し、金価格が上昇するなど、安全資産に資金が移動する典型的なリスクオフの展開となりました。
2月にも関税示唆でBTC価格が下落
トランプ関税の衝撃と影響
今回発表された相互関税政策では「全ての国からの輸入品に一律10%の関税を課す」という最低税率が設定され、さらに米国に対し大幅な貿易黒字を抱える数十カ国に対してはより高い関税が科されます。
米メディアの報道によると、中国からの輸入品に34%、欧州連合(EU)に20%、日本に24%、台湾に32%の関税が適用される見通しです。
トランプ政権はこの措置について「他国が米国製品に課す関税や非関税障壁と相互関係を築くための是正措置」と位置付けており、長年不公正な貿易慣行によって、米国の産業が略奪されてきた状況を是正する狙いがあるとしています。
同政権は国際非常経済権限法(IEEPA)に基づく"国家非常事態"を宣言し、国家安全保障と経済的主権を守るためとして強硬な関税措置に踏み切りました。対象から除外される品目も一部あり、医薬品・半導体・木材・エネルギー資源など米国で代替困難な品は関税免除とされています。
この包括的な関税引き上げ方針に対して、カナダや欧州各国など米国の同盟国からは早くも困惑と非難の声が上がっており、米国内でも懸念が広がっています。
発表直後には米上院野党議員が「これは現代史上最大級の逆進課税だ。市場を混乱させ、一般家庭を直撃する無謀な政策だ」と厳しく批判するなど、政治的な波紋も呼んでいます。
BTC相場転換には関税緩和が必要か
関税政策で揺れる仮想通貨の今後
一連の「相互関税」発表は不確実性要因として仮想通貨市場に短期的な動揺をもたらしました。
アナリストの間では「関税による物価上昇圧力が続けば、米金融当局(FRB)が利下げを見送る可能性が高まり、株式や仮想通貨などリスク資産に下押し圧力となり得る」との指摘もあります。
一方で、今回の発表自体は市場で広く織り込み済みとの見方も出ています。米取引所クラーケンのチーフエコノミストであるトーマス・パフモ氏は「"解放の日"と称する関税発動に関するヘッドラインで市場に不安は残るものの、その予想される影響の多くは既に仮想通貨市場に織り込まれている」と指摘しています。
また、米仮想通貨運用会社Bitwise(ビットワイズ)社の戦略責任者であるジェフ・パーク氏は「関税戦争、債務上限問題、脱グローバル化...世界経済が史上最大級の混乱に直面する中で、ビットコインは一生に一度の投資機会を提供している」と述べており、長期的にはこの混乱がビットコインの価値を際立たせる可能性があるとの声もあります。
今後の仮想通貨市場はしばらく変動が続く見通しですが、関税政策の行方やそれに伴う各国の報復措置、そして米金融政策の動向次第では、ビットコインが「デジタルゴールド」として再評価されるとの見方もあります。
ただし、市場のボラティリティには注意が必要で、中長期的な視点での観察が重要となりそうです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.66円)
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Source:ホワイトハウス公式発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像