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ブロックチェーン技術で「銀行間送金システム」実証へ|全銀ネットが富士通などと協力


全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は、富士通(FUJITSU)やNTTデータと協力してブロックチェーン技術を活用した銀行間決済の実証実験を実施することを発表しました。この取り組みには日本国内の銀行9行が参加しており、「決済リスクの削減」や「キャッシュレス化の実現」などが期待されています。

こちらから読む:世界銀行総裁も「必要不可欠」と語るブロックチェーン技術

三菱UFJやみずほなど「国内銀行9行」が参加

全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は、富士通(FUJITSU)や日本国内の複数の銀行と協力してブロックチェーン技術を資金決済システムに活用するための調査・研究を行なっています。

この実証実験は、全銀ネットを主体として、
・みずほ銀行
・三菱UFJ銀行
・三井住友銀行
・りそな銀行
・常陽銀行
・福岡銀行
・西日本シティ銀行
・三井住友信託銀行
・京葉銀行
などの合計9つの銀行が協力して実施しており、富士通は「アプリケーション開発ベンダ」として参加しています。またこの実証実験にはNTTデータも「検討支援ベンダ」として参加しています

三菱UFJ銀行の親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、関連会社を通じて米国最大の仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)にも多額の出資を行なっており、日本進出の支援を行なっています。

ブロックチェーンで決済リスクを削減

実証実験のイメージ(画像:FUJITSUのプレスリリース)

この実証実験では、全銀ネットが発行する「銀行間資金決済専用のデジタル通貨」を使用して、ブロックチェーン技術を活用した個人間の小口送金サービスにおけるReal Time Gross Settlement(RTGS/即時グロス決済)と呼ばれる決済システムを実現することを目的としていると発表されています(*1)。

(*1)Real Time Gross Settlement(RTGS/即時グロス決済):決済を1件づつ迅速に処理する方法。決済処理の停滞が積み重なることがないため、決済に伴うリスクを削減することができる

具体的な実験内容としては、新銀行間決済プラットフォームと呼ばれるブロックチェーン技術を使用したプラットフォームが利用されることになっており、銀行間で資金決済が必要になった場合には、先述した専用のデジタル資産が発行され、この通貨を使用して送金を処理することによって、手数料や人件費などの送金コストを抑えることが期待されています。

キャッシュレス社会を目指す「富士通」

富士通(FUJITSU)はこれまでにも、ブロックチェーン技術関連の実証実験に複数参加しています。すでにブロックチェーン関連の特許を50件以上も取得している同社は、ベルギーに「ブロックチェーン研究センター」も設立しており、高速なブロックチェーン技術をビジネスで簡単に導入することができるサービスなども提供しています。

今年の3月末には、台湾でブロックチェーン技術を始めとした複数の最先端テクノロジーを導入した未来型のコンビニエンスストアの立ち上げにも関わっています。

ブロックチェーンの技術を幅広い分野で活用している富士通はこの実証実験を通じて、キャッシュレス社会の実現に向け、先端技術を活用した新たなプラットフォームの確立を目指していくと説明しています。