イギリス・ロンドンに本社を構える国際金融グループ「Barclays(バークレイズ)」の社内起業家であるJulian Wilson(ジュリアン・ウィルソン)氏は、ブロックチェーンでビジネスを補強しようとするのではなく、ビジネスモデルを「Blockchain」向けに再構築することが重要であると語っています。
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銀行業務「ブロックチェーン移行」の実情
世界50か国以上で48億人以上の顧客を有するイギリスの国際金融グループ「Barclays(バークレイズ)」の社内起業家であるJulian Wilson(ジュリアン・ウィルソン)氏は、ブロックチェーンを構築する際には”考え方とアプローチを再構築する必要がある”と語っています。
ウィルソン氏は、ブロックチェーンで既存のビジネスモデルを補強したり追加したりしようとするのではなく、『適切なブロックチェーンを元にして構築されたビジネスモデルを新たに考え直すべき』だと説明しています。
同氏は、バークレイズのように300年以上の歴史を持つ銀行にとって現在の銀行業務をブロックチェーンに移行するのは「そう簡単なものでない」と述べており、それを実現するためにはそれ以前に対処すべきことが多くあるため、ブロックチェーンは別途で注文する必要があると指摘しています。
また、KYC(本人確認)を必要とする場合には、すべてのブロックチェーンがそれらの法律を満たしている訳ではないため、ブロックチェーンを構築するために専門家に依頼する必要があるとも語っており、実際に法律を遵守したブロックチェーンを実装するためには、法律を念頭に置いた上でブロックチェーン構築する必要があると説明しました。
ブロックチェーン技術「自社開発」か
バークレイズは、今年の4月頃から仮想通貨取引プロジェクトを立ち上げていると噂されていましたが、その後8月にはそれらの噂を否定しています。しかし、7月には「ブロックチェーン」や「デジタル通貨」関連の特許を米特許商標庁に申請していることも報じられており、8月にはデリバティブ取引を効率化することを目的としたハッカソンを開催しています。
金融業界ではRipple(リップル)社が提供するソリューションを導入する動きが進んでいますが、バークレイズは自社でブロックチェーンを構築しているとも考えられます。
JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)は、イーサリアム上に構築した「Quorum(クォーラム)」というブロックチェーン・ネットワーク上で「Interbank Information Network(IIN)」というクロスボーダー決済ネットワークを展開しており、2018年9月時点で75以上の金融機関が参加していることを発表しています。
金融機関ではブロックチェーン技術を活用する動きが急速に進んでおり、「RippleNet」の拡大などにも期待が高まっていますが、長い歴史を持つ大手金融機関は今後も自社のネットワーク構築を続けていくことになると予想されます。