仮想通貨業界では、価格上昇などで注目が集まっている時に詐欺やハッキングなどの被害が増加する傾向があります。この記事では、そのような仮想通貨詐欺に騙されないようにするために知っておきたい、詐欺の手口や対処法をまとめてご紹介します。
仮想通貨は詐欺なのか?
仮想通貨(暗号資産)について詳しく知らない方の中には「仮想通貨自体が詐欺じゃないの?」と思っている方もいるのではないでしょうか?
仮想通貨業界は確かに詐欺が多い業界ではありますが、仮想通貨自体は詐欺ではありません。仮想通貨は世界中で何万種類も発行されているため、詐欺の仮想通貨が発行されていたり、仮想通貨を使った詐欺が行われていたりすることはありますが、詐欺ではない仮想通貨もたくさん存在します。
また「価格変動が激しいこと」や「仮想通貨は必ず儲かると宣伝する人がいること」なども詐欺と言われる要因になっていると考えられます。詐欺ではない有名な仮想通貨であっても、価格高騰時に購入した場合などにはその後の下落で価値が半分以下になってしまうこともあるため、そのような経験をした場合には詐欺だと感じるかもしれません。
ビットコイン(BTC)のような主流の仮想通貨は詐欺ではありませんが、だからといって”絶対に儲かる”ということはなく、ビットコインを使った詐欺サイト・詐欺サービスなども数多く存在しているため、実際に仮想通貨に投資する場合には、しっかりと知識をつけ、余剰資金を用いて自己責任で投資することが重要です。
仮想通貨に関する詐欺の事例
仮想通貨に関する詐欺被害の報告は頻繁に行われており、国民生活センターのデータでは「2020年度に3,347件、2021年に6,379件、2022年に5,586件」の相談が寄せられたと報告されています(国民生活センター)。
特に「仮想通貨の価格が高騰している時期」や「仮想通貨が注目を集めている時期」には詐欺師の活動が活発化する傾向があり、当メディアにも”実際に仮想通貨詐欺の被害に遭った”という相談の連絡が多数寄せられています。
以下の項目では、実際にあった仮想通貨詐欺の事例や手口などをわかりやすくまとめていますので、少しでも怪しいと感じた場合には以下のような詐欺事例があることも踏まえながら慎重に対処するようにしてみてください。
偽サイト・偽アプリ・フィッシング詐欺
【詐欺の概要】
実際に存在する仮想通貨取引所・サービス・アプリ・サイトなどの偽物を作成し、様々な手法でユーザーを騙して偽サイトなどに誘導することによって仮想通貨を盗み取る。サイト・アプリのデザイン、URLなども本物そっくりなので注意が必要。
【注意が必要なポイント】
偽サイトなどの多くは公式サイトとほぼ同じデザインで、URLも見間違えるようなものの場合がある。公式アプリストアに詐欺アプリが掲載されていることもあり、Google広告を用いて検索上位に詐欺サイトが掲載されていることも。
【偽サイトなどへの誘導手法の例】
偽サイトなどに誘導する手法の多くは「SNS・メッセージアプリ・Google広告・記事広告・YouTube動画」などに関するもの。仮想通貨メディアに”詐欺リンクを含んだPR記事”を掲載させようとする事例もあるので要注意。
- 各種SNSへの詐欺リンク掲載
- 困っている人に詐欺リンクを送る
- SNSのメッセージなどで直接リンクを送る
- 仮想通貨の無料配布を謳って誘導
- YouTubeなどで詐欺サイトに誘導する
- Google広告を利用して詐欺サイトを掲載する
- 公式アプリストアに偽アプリを掲載する
【被害を避けるための対策】
誘導手法は毎年巧妙化してきているため常に警戒が必要ですが、普段から以下のような点に注意しておけば、そのような詐欺の被害を避けられる可能性があります。
- 常にURLを確認して公式サイトであることを確認する
- SNSやメッセージなどで共有された怪しいリンクはクリックしない
- Google検索時のトップに表示される「スポンサー」のリンクは信用しない
- パスワードなどの重要情報を入力する際にはURLなどをしっかり確認する
- アプリをダウンロードする際には公式サイトのリンクからアクセスする
- よく知らない人から共有されたリンクをむやみにクリックしない
- ウォレットを安易にウェブサイトに接続しない
- トランザクション署名時などには内容をしっかりと確認する
SNSなどを通じた接触・国際ロマンス詐欺
【詐欺の概要】
各種SNSや交流アプリなどで接触を図り、時間をかけて被害者との信頼関係を構築し、最終的に詐欺サイトや詐欺の投資案件に誘導したり、「困っているから仮想通貨を送金してほしい」と呼びかけてお金を盗む。国際ロマンス詐欺・豚の屠殺などが該当する。
【注意が必要なポイント】
仮想通貨・パソコン・スマホに関する知識が少ない人を標的にするケースも多い。相談相手がいないことによって信じてしまう場合も。時間をかけて信頼を得ようとしてくるので「ネット上で知り合った深く知らない人とはお金のやり取りをしない」ということが重要。
【被害を避けるための対策】
- SNSなどで知り合った人と金銭的なやり取りをしない
- SNSなどで投資案件などを勧めてくるケースはまず疑う
- SNSなどで共有されたリンクを安易にクリックしない
- 投資を行う際にはライセンス取得済みの大手サービスを使う
- 信憑性が不明な海外サービスは利用しない
- 自分が理解できないものに巨額の資金を投じない
- 少しでも怪しいと感じたら詳しい人などに相談する
【BITTIMES編集部からのコメント】
当メディアで実際に何度か詐欺被害の相談を受けているケースです。高齢の方・相談相手がいない方などが被害に遭っているケースも多いようで『家族・警察・公的機関にも相談したが、ちゃんと相手にしてもらえなかったから、一番優しかった連絡相手(本当は詐欺師)を信用してしまった』という声もありました(※この方はBTC購入を手伝うと騙されて数百万円の被害を受けています)。
知人や家族などに仮想通貨関連で悩んでいる方がいる場合にはしっかりと相談に乗っていただき、高齢の家族がいる場合には普段から「詐欺被害に遭っていないか」を心がけて、詐欺被害を未然に防ぐための対策を講じておくことが重要であると感じます。
実際の事例はこちら
投資詐欺・資金の持ち逃げなど
【詐欺の概要】
「絶対に儲かる・大きな利益が得られる」などの謳い文句で投資家から資金を集め、ある程度の資金が集まった段階でプロジェクトや公式サイトなどを閉鎖・放置して、集まった資金を持ち逃げする。
【注意が必要なポイント】
「最初は実際に報酬を支払って信頼させ、より多くの金額が集まった時に持ち逃げする」などといった巧妙なものも存在するため注意が必要。絶対に儲かるというのはあり得ないということを念頭に置き、利益が特に強調されてるようなケースではより慎重になることが重要。
【被害を避けるための対策】
- 絶対に儲かる等の言葉を安易に信じない
- 高利回りを謳うようなケースは特に警戒する
- 投資する前にプロジェクトの詳細をしっかり確認する
- 対象企業のライセンス有無・信頼性などを調査する
- 国内外のネット検索で評価をチェックする
- 失って困るほどの金額を投資しない
ユーザーの誤送金を狙う詐欺
【詐欺の概要】
標的となるウォレットアドレスに類似したアドレスを作成して、標的アドレスに少額の仮想通貨を送金し、被害者の誤送金を狙って仮想通貨を盗み取る。アドレスポイズニング詐欺・ゼロ送金攻撃とも呼ばれる。
【注意が必要なポイント】
仮想通貨を普段から利用している上級者でも被害に遭うことがあるため十分な注意が必要。過去には「米麻薬取締局がアドレスポイズニング詐欺の被害に遭ったこと」も報告されている。
【被害を避けるための対策】
- 仮想通貨送金時にはアドレスをしっかり確認する
- 送金時には取引履歴からのコピペはしない
多様化する仮想通貨詐欺に要注意
今回紹介した仮想通貨詐欺はこれまでに報告されている事例の一部であり、詐欺の細かい内容は徐々に変化し、詐欺行為自体が巧妙化してきています。
最近では仮想通貨関連サービスも急速に増えてきており、「取引所などでの個人情報入力・各種サービスでのウォレット接続・SNSアカウントなどとのサービス連携」などを行う機会も増加してきています。
自分自身が最新の注意を払っていたとしても、企業側の情報漏洩で仮想通貨関連の重要情報がハッカーの手に渡っている可能性もあるため、そのような可能性も踏まえて常に警戒心を持っておくことが重要です。
仮想通貨投資で利益を得られたとしても、詐欺・誤送金・盗難などでそれらの資金を失ってしまっては元も子もないので、仮想通貨価格が上昇している時こそ、詐欺対策・セキュリティ対策を強化することが重要だと考えられます。