仮想通貨に関する「詐欺の種類・手法」まとめ|被害防止のための対策・注意点も
仮想通貨業界では新しいプロジェクトが続々と発表されていますが、その一方では投資家の資産を騙し盗ろうとする"詐欺行為"が相次いで報告されています。
この記事では「仮想通貨界隈で横行している詐欺の種類や概要」に加え「被害を避けるための対策や注意点」などをわかりやすく解説しています。
ICO(イニシャル・コイン・オファリング)詐欺
ICO詐欺とは、新しい仮想通貨を発行して資金調達を行う「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」で出資を募り、一定数の資金が集まった時点で調達した資金を持ち逃げする手法のことを指します。
2017年頃にはICOで資金調達を行うプロジェクトが世界的に急増しましたが、最近では「ICOの8割は詐欺だった」とも言われています。現在は世界各国で仮想通貨規制が強化されてきているため、ICO関連の詐欺行為も減少してきていますが、ICO詐欺の可能性は依然として残っているため、ICOに参加する際にはそのプロジェクトについて事前にしっかりと下調べをすることが重要です。
ここ最近では、ICOの問題点を解決した新しい資金調達方法として「イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(IEO)」なども注目を集めています。IEOは新規仮想通貨の販売を行う前に、仮想通貨取引所がプロジェクトの審査を行う仕組みとなっているため、ICOに比べると信頼できるものとなっています。
しかし、IEOに関してもケースによっては「審査を行う取引所自体が詐欺に加担している可能性」もあるため、投資前の下調べが重要であることに変わりはありません。
フィッシング詐欺・なりすまし詐欺
フィッシング詐欺とは、実在する企業やサービスを騙ったメールを送信して偽サイトにアクセスさせるなどの手法で重要な個人情報を盗み出す行為のことを指します。フィッシング詐欺で使用される"偽サイト"は、本物そっくりなデザインで設計されている場合が多いため、騙されていることに気付かずに「メールアドレス」や「パスワード」を入力してしまう可能性があります。
最近ではフィッシングサイトのURLを本物に類似させているケースも増えてきているため、"URLの直打ち"でサイトにアクセスしている方などは特に注意する必要があります。"URLを直打ちしていない"という方も、ログイン情報などの重要な個人情報を入力する場合は「Webサイトが本物かどうか」をしっかりと確認する癖をつけることが重要です。
フィッシング詐欺の被害に遭わないようにするための方法としては、
・取引所などの公式サイトには"ブックマーク機能"を利用してアクセスすること
・重要な情報を入力する際にはURLなどをしっかりと確認すること
・不審なメールや掲示板などに書かれたURLからアクセスしないこと
・二段階認証(2FA)などの設定を行うこと
などが挙げられます。なお「Google検索の検索結果で上位に表示される"広告枠"のWebサイトがフィッシングサイトだった」というケースも報告されているため注意が必要です。
「フィッシング詐欺」に関する記事はこちら
ねずみ講・マルチ商法
ねずみ講とは、会員を増やすことによって紹介料としての利益を得るグループやシステムのことであり、無限連鎖講とも呼ばれています。利益を得る仕組みとしては、グループの会員になるために会員費の支払いが必要となる代わりに、会員になれば他の会員を増やすことによって"紹介料"として利益を得ることができるようになっています。
このような仕組みを採用しているため、会員数が急速に増加していくようになっており、一般的にはグループ設立の初期に参加していたメンバーがより多くの配当を受け取ることができる仕組みとなっているため、初期メンバーが特に大きな利益を得ることができるようになっています。
ねずみ講に近い仕組みとしては"マルチ商法"と呼ばれるものがありますが、この2つは「"お金のやり取り"を主目的に勧誘している」か「"商品やサービスの販売"を主目的に勧誘している」かという点で違いがあります。"お金のやり取り"を主目的としている「ねずみ講」は違法行為に該当しますが、"商品・サービスの販売"を主目的としている「マルチ商法」に関しては特定商取引法の第33条という規定に即した方法で行われている場合に限り違法行為には該当しません。
しかし「マルチ商法」を利用している詐欺プロジェクトなども存在しているため、基本的には「必ず儲かる」などの言葉を使用した勧誘行為などには注意を払う必要があります。仮想通貨プロジェクトでは特に難しい用語が多く使用されるため、内容を詳しく理解できない人を標的にして、"儲かる"などの安易な言葉で勧誘するケースが多く見られますが、基本的にどのようなプロジェクトでも「必ず儲かる」という保証はないため、勧誘を受けた場合には自分自身でしっかりと内容を判断するようにしましょう。
最近では、有名人の名前を使用したり、実際に有名人を広告塔に立てて勧誘を行うプロジェクトも存在していますが、このようなプロジェクトに関しても「最終的に詐欺だった」というケースが報告されているため注意が必要です。もしもこのような詐欺の被害に遭ってしまった場合には「消費者庁」や「国民生活センター」に相談するようにしましょう。
「ねずみ講・マルチ商法」に関する記事はこちら
ポンジ・スキーム
ポンジ・スキームとは、「出資を受けた資金を運用して、その利益を出資者に還元する」などと謳っておきながら、実際には資金運用を行わずに新たな参加者などから集めた資金の一部をそのまま出資者に渡すことによって、資産運用で利益を生み出していると錯覚させる詐欺行為のことを指します。
これは単に他の人から集めた資金の一部を配っているだけであり、実際には利益は出ていないため、新しい出資者がいなくなれば最終的に配当を配ることができなくなり、案件は破綻することになります。ポンジ・スキームを行う詐欺師たちは、一定数の資金が集まった時点で資金を持ち逃げすることなどによって巨額の資金を騙し取ります。
例えば「出資金200万円を支払えば、毎月5万円の配当が得られる」といった条件を提示している場合は、その出資者に対して最高40ヶ月間は配当を支払い続けることができることになります。出資者は実際に毎月5万円の配当を受け取るため、"この案件は信頼できる"と確信し、出資額を増やしたり、知人に紹介したりします。
しかし悪徳業者は出資者が増えたタイミングで資産を持ち逃げするため、仮に1年間配当が支払われたと仮定すると「160万円を騙し取られる」ということになります。
HYIP(ハイプ)関連の詐欺
HYIP(ハイプ)詐欺とは、"通常では考えられないほど高い利回り"を謳って投資家を募り、お金を騙し取る詐欺行為のことを指します。HYIP(ハイプ)は「High Yield Investment Program」の略語であり、日本語に訳すと「高収益プログラム」という意味になります。
「HYIP」という言葉は定義が幅広いため、全てのHYIPが悪いものだという訳ではなく、高利回りを謳っているプロジェクトの全てが詐欺だという訳でもありませんが、実際にそのような高利回りを実現するのは難しく、HYIP関連の被害報告も多数報告されているため、"高収益な案件にはその分リスクがある"ということを認識しておくことが重要です。
このような詐欺プロジェクトは「AIトレード」や「マイニング」などといった様々な方法で"高収益を実現する"と主張していますが、実際には「ねずみ講」や「ポンジスキーム」などの手法をとっているケースもあります。このような詐欺の場合、最初の間は告知されていた通りの報酬が支払われるため"騙されやすい"という問題があります。
仮想通貨業界は実際に"短期間で数億円を稼いだ"という人も存在するため「通常ならば信じないような高収益プログラムを信じてしまう」という危険性があります。悪徳業者は情報をあまり持っていない情報弱者を標的にすることが多いため、少しでもプロジェクトが怪しいと感じた場合には「詳しい人の意見」や「ネット上での評判」などに耳を傾けるようにしましょう。
「HYIP詐欺」関連の記事はこちら
エアドロップ詐欺
エアドロップ詐欺とは、仮想通貨を無料配布するエアドロップ(AirDrop)という制度を悪用して資産や個人情報を盗み出す方法のことを指します。エアドロップは「知名度向上・流通量拡大」などのために正当な方法で実施されている場合も多いため、エアドロップ参加者が自分自身で詐欺かどうかを見極めることが重要です。
エアドロップは単純に仮想通貨を無料配布するものであるため、参加する場合に提供すべきものとしては「受け取り用のウォレットアドレス」場合によっては「氏名・メールアドレス」などがあれば十分であり、「秘密鍵」や「パスワード」などの情報を提供する必要はありません。
しかし、エアドロップ詐欺の場合はこのような「必要以上の情報提供」を求めたり、「最初に〜〜BTCを送金したらその倍額を支払う」などと伝えることによって相手の仮想通貨を騙し盗ろうとします。「秘密鍵」や「パスワード」などの情報を提供してしまった場合にはウォレットそのものを乗っ取られてしまう可能性があるため十分注意する必要があります。
また「エアドロップを受けるためには指定のサイトで登録を行うように」と求めてくるケースもありますが、場合によっては指定されたホームページでウイルスに感染したり、フィッシング詐欺に引っかかってしまう可能性もあるため、この点にも注意を払う必要があります。
「エアドロップ詐欺」に関する記事はこちら
国際ロマンス詐欺・国際的詐欺
国際ロマンス詐欺とは、出会い系サイトやSNSなどを通じて知り合った海外在住の異性から交際や結婚を申し込まれた後に「秘密資金・投資資金・手数料・生活費・渡航費用・保険料・医療費」などといった様々な理由をつけて『お金を送るように』と要求する詐欺のことを指します。
このような詐欺行為は「日本円やドルなどの送金」を要求するケースもありますが、最近では迅速かつ安い手数料で送金することができる「仮想通貨」での送金を要求するケースが増えてきていることも報告されているため、あまり素性を知らない人から『お金・仮想通貨を送金してほしい』と要求された場合には"国際ロマンス詐欺"である可能性を一度疑うよう注意が必要です。
またこのような国際的な詐欺では、年配のご婦人を「ママ」と慕う振りをしてお金を騙し取ろうとしたり、架空の波瀾万丈な身の上話を作り上げて相手の同情を誘うような手口なども報告されているため、そのようなケースには慎重に対応するようにしましょう。
Pig Butchering(豚の屠殺)
Pig Butchering(豚の屠殺)とは、比較的長い期間をかけてターゲットとなる被害者との信頼関係を構築した上で詐欺的なプラットフォームへの投資に促し、最終的に投資された資金を持ち逃げするといった手法の投資詐欺であり、『豚を肥育してから屠殺する=被害者を信頼させてから資産を奪う』という点が豚の屠殺に似てることからこの名前が付けられています。
この投資詐欺は、最初にソーシャルメディアや出会い系サービスでターゲットを集めることから始められるとのことで、実際に連絡が取れるターゲットを見つけた詐欺師は数週間〜数ヶ月の期間をかけてターゲットとの信頼関係を構築していくと報告されています。
複数の報道によると、被害者の中には実際に少額のリターン(収益)を渡されたことによって詐欺師を信じ込んでしまった人もいると報じられているため、仮に少額の収益が渡されたとしても安易に他人を信じないよう注意が必要です(※この場合の詐欺師は少額のリターンを提供して投資額を増やさせたタイミングでそのお金を持ち逃げします)。
豚の屠殺の詳細はこちら
アドレスポイズニング詐欺(ゼロ送金攻撃)
アドレスポイズニング詐欺(ゼロ送金攻撃)は「ウォレットアドレス入力時のコピー&ペースト」などといった多くの仮想通貨保有者が普段行っている作業の弱点をついた詐欺行為で、ユーザーに間違ったアドレスをコピぺさせることによって仮想通貨を誤送金させようとするものとなっています。
仮想通貨ウォレットアドレスは通常「0x00...0000」といったように省略された形でウォレット上に表示されているため、多くのユーザーはアドレスを確認する際に「最初と最後の数文字だけを確認する」という確認方法をとっていますが、アドレスポイズニング詐欺は「最初と最後の文字列が似たウォレットアドレス」を生成して、ターゲットのアドレスに少額送金することによって、標的となるユーザーが間違ったアドレスをコピーするよう仕向けます。
ウォレットアドレスはブロックチェーンエクスプローラーなどで誰でも簡単に確認できるため、詐欺師があなたのウォレットアドレス似たアドレスを生成するのを阻止する方法はないと考えられます。大量の仮想通貨を保有している場合や、頻繁に取引を行っている場合は、特に標的にされる可能性が高まると予想されるため、そのような方は特に注意が必要です。
アドレスポイズニング詐欺は基本的に「標的となるユーザーがウォレットの取引履歴から間違ったアドレスをコピーして誤送金すること」を狙っているため、送金時に送金先のウォレットアドレスをしっかりと確認することが重要な対策となります。
アドレスポイズニング詐欺の詳細はこちら
詐欺被害を避けるためにできる対策は?
仮想通貨業界には専門用語も多く、技術面を詳しく理解している人も少ないため、そのような知識を有していない初心者をターゲットにした詐欺行為が多発しています。またある程度の専門知識を持っている方が詐欺の被害に遭うケースなども報告されているため、初心者以外の方も注意を払っておくことが重要です。
詐欺の被害に遭わないようにするためには、
・「簡単・確実に稼げる」などの言葉に惑わされないこと
・有名人・知人が利用しているからといって簡単に信用しないこと
・重要な個人情報を大切に管理すること
・必要な知識を身につけて自分のわかる範囲で投資すること
・投資する前の事前確認を入念に行うこと
などが重要となりますが、詐欺の手法や内容などは常に変化しているため「最新の詐欺情報や手法などをチェックしておくこと」も重要です。
仮想通貨に関連する詐欺のニュースが世界中で報道されるようになり、各国の規制が強化されたことなどによって、仮想通貨関連の詐欺行為はやや減少してきましたが、新しい詐欺プロジェクトなども誕生してきており、その内容も 複雑になってきているため、あまり知られていないプロジェクトや案件に参加する場合には今後も引き続き注意するようにしましょう。
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