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エリック・トランプ氏「銀行による攻撃で仮想通貨の必要性に気付いた」

エリック・トランプ氏、銀行の攻撃をきっかけに仮想通貨の必要性を認識(Eric Trump realizes the importance of crypto after banking attacks)

エリック・トランプ氏が、銀行からの攻撃を受けた経験から仮想通貨の重要性に気付いたと発言しました。このコメントは仮想通貨支持層の間で注目を集めています。

銀行からの攻撃で見えた仮想通貨の価値

米トランプ大統領の次男エリック・トランプ氏が、FOXビジネスのインタビューで「銀行による攻撃(デバンキング)で仮想通貨の必要性に気付いた」と語りました

同氏は、トランプ一家が仮想通貨に注目したきっかけとして、銀行から一方的に取引関係を断たれる「デバンキング(debanking)」という経験であったことを明らかにしました。

トランプ一族は「父が政治の世界にいる」という理由だけで複数の銀行から突然口座を閉鎖され、多数の銀行から取引拒否を受けたと述べています。

こうした出来事を通じて、エリック氏は仮想通貨の重要性を認識し「ブロックチェーン技術による金融は、より安価で迅速かつ透明性が高く、何者にも止められず世界中で利用できる」とその利点を強調しました。

また、同氏は「特にビットコイン(BTC)は即座に現金化できる優れた価値の保存手段であり、不動産に対する強力なヘッジになる」とも評価しています。

銀行と政治が絡むデバンキング問題

デバンキングとは、銀行が特定の個人や企業との口座契約を一方的に終了し、事実上「銀行口座を持てない状態」に追い込む措置を指します。

トランプ氏一家はこのデバンキングに直面し、2021年には300以上もの口座が突然閉鎖通知を受けたとされています。通知に明確な理由は示されませんでしたが、当時発生していた政治的対立と関連しているとの見方があります​。

エリック氏は今回のインタビューで、「JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、キャピタルワン、TDバンク、ファーストリパブリック銀行」など複数の米大手銀行名を挙げ、政治的な理由で口座が次々と閉鎖されたと主張しました。

一方で、名指しされた銀行側は政治的動機で取引停止を行ったことを否定しています。

キャピタルワン銀行の広報担当者は「当行は政治的理由で顧客の口座を閉鎖することは決してない」とコメントし、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOも2025年3月の議会証言で「当行は顧客の政治や宗教的信条に基づいて口座を閉じたりはしない」と述べています。

ただし、ダイモン氏は「米国の銀行業界では不明瞭な規制により特定の顧客を排除せざるを得ない場合がある」とも認めており、政治的信条と金融サービスを巡る議論が浮き彫りになっています。

トランプ一家、仮想通貨事業を本格展開

デバンキングをきっかけに仮想通貨への関心を強めたトランプ一族は、現在積極的に事業を展開しています。

ビットコイン採掘企業「American Bitcoin」の設立

2025年3月末には、エリック氏と長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏がカナダの大手マイニング企業Hut 8と提携し、新たなビットコイン採掘会社「American Bitcoin(アメリカン・ビットコイン)」を立ち上げました。

この会社は北米のデータセンター事業を統合して設立され、株式の80%をHut 8社が、残り20%をトランプ一族側が保有する形で戦略的合併が行われました。エリック氏は最高戦略責任者(CSO)に就任し、経営に深く関与しています。

トランプ陣営発のステーブルコイン「USD1」の計画

さらにトランプ一族が主導する新興金融企業「World Liberty Financial(WLFI)」は、米ドル連動型のステーブルコイン「USD1」の発行計画を発表しました。

USD1は米国債や現金同等物を100%担保として裏付けし、常に1USD=1USD1となるよう設計されています。

また、このプロジェクトを推進するためにWLFIは独自トークン「$WLFI」を発行しており、今年3月までに5億5,000万ドル(約824億円)超を調達したとされています。

エリック氏が描く仮想通貨の未来

エリック・トランプ氏はインタビューで「10年後には金融や銀行の在り方は今とは大きく変わっているだろう」と述べ、米国が主導して明確なルール整備を行い、仮想通貨やステーブルコインを正当に発展させる必要性を訴えました​。

同氏は「米ドルの地位強化にも米国発のステーブルコインが大きく寄与する」とも主張しており​、USD1をはじめとする自らのプロジェクトに強い自信を見せています。

また、同氏は今年3月、日本の上場企業メタプラネット社から戦略顧問(アドバイザー)に任命されるなど、国境を越えた仮想通貨ビジネスにも関わり始めています​。これはメタプラネット社が保有する大量のビットコイン戦略を強化するための人事で、発表直後に同社株価が急騰するなど、市場からも大きな注目を集めました。

エリック氏の「銀行からキャンセルされた経験で仮想通貨の必要性に気付いた」という発言は、既存の金融システムにおける政治的介入リスクと、それを克服する新たな金融手段として仮想通貨が注目される理由を象徴しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=149.88円)

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Source:FOXビジネスYouTube
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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