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ブロックチェーンが「農業」の未来を変革 ー トレーサビリティで食品管理をスマートに


ブロックチェーン(Blockchain)技術は、農業の分野にも大きな変化をもたらしています。データの改ざんが難しいだけでなく、記録された情報を簡単な方法で遠く離れた人とも瞬時に共有することができるという特徴は、農産物の生産に必要な行程を効率化させるとともに、安全で安心できる食品を流通させるための透明性を兼ね備えています。合理的な方法で管理された最高品質の農作物を提供している、時代の最先端をゆく農家の方々やプロジェクトをまとめて紹介します。

こちらから読む:農産物の安全性を保証する「ブロックチェーン」の仕組み

ブロックチェーン上で「無農薬野菜」の情報管理|日本 ー 宮崎県綾町

宮崎県綾町では、有機農法で育てた野菜の情報をブロックチェーン上で管理する取り組みが行われています。

ブロックチェーン上には、野菜のタネの購入者先、生産者の情報、畑の土壌の検査結果、収穫日などの様々な情報が写真付きで記録されており、それぞれの野菜に個別に割り当てられた「QRコード」をスマートフォンで読み込むことによって、それらの情報を簡単に確認できる仕組みとなっています。

綾町は「電通国際情報サービス(ISID)」と協力して2016年10月からこれらの活動を開始しており、農薬や化学肥料を使用しない「自然の生態系」に配慮した農業に町をあげて取り組んでいます。

ブロックチェーンを用いた「アグリテック農業」を推進|エチオピア ー 科学技術省

エチオピアは、「CARDANO(カルダノ)」のプロジェクトチームと協力して地元の農業の発展に取り組んでいます。

同国の科学技術省は、CARDANOの創設者であるCharles Hoskinson(チャールズ・ホスキンソン)氏との覚書(MOU)を締結しており、「農業(Agriculture)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた「アグリテック産業」にカルダノの技術を活用していく意思を表明しています。

ホスキンソン氏は、最終的に地元の人々が自らの知識で「ブロックチェーン」などの最先端技術を使って、自分たちの力で先進テクノロジーを用いた農業を営んでいくことを望んでいるため、これらの契約の中には「ブロックチェーン技術者の育成」なども含まれています。

プロジェクトの具体的な内容としては、エチオピアを代表する農産物の一つである「コーヒー」の流通過程をカルダノ・ブロックチェーンで管理することによって、それらの原産地や生産者などの情報を追跡できるようにし、安全で安心できる品質のコーヒー豆を消費者に届けるための理想的な生産方法を追求する活動が行われています。

CARDANOプロジェクトとエチオピアに関する記事はこちら

ブロックチェーンで「食品衛生管理」|アメリカ ー Walmart

アメリカの大手スーパーマーケットチェーンである「Walmart(ウォルマート)」は、お店で販売しているレタスなどの食品の「衛生管理」のためにブロックチェーン技術を活用する取り組みを開始しています。

同国では「大腸菌ウィルス」による被害が増加しており、適切な品質管理や問題が発生した場合などの迅速な対応の重要性が増してきています。「Walmart」は、このような問題に早期に対応するために仕入れ先である複数の農家に対して、生産している野菜の情報をブロックチェーン上に記録して管理するように求めています。

これによって同店舗で取り扱う食品の安全性が高まり、万が一問題が発生した際にも迅速に問題点を探し出し、素早い対応を取ることが可能になります。同社はこの新しいシステムを、2019年9月30日までには正式に立ち上げることを予定しています。

ブロックチェーンに「オレンジジュース」の生産工程を記録|オランダ ー Albert Heijn

オランダの大手スーパーマーケットチェーンである「Albert Heijn(アルバート・ハイン)」は、同社で取り扱う「オレンジジュース」の品質を保証するためにブロックチェーン上で製品の様々な情報を管理しています。

この取り組みは「Albert Heijn」の商品の生産を任されている「Refresco(レフレスコ)」と協力して行われており、ブラジルのオレンジ農家の情報や、オレンジをジュースに加工する加工業者、製品を運ぶ運送業者といったあらゆる情報がブロックチェーン上で管理されています。

これらの情報は、製品のラベルにプリントされた「QRコード」をスキャンすることで誰でも簡単に確認することができるようになっているため、ジュースの購入者は品質が確かなものであることをその場で確認することができます。

世界中の産業に革命をもたらす「ブロックチェーン」

ブロックチェーン技術は、農業の分野だけに止まらず、世界中のあらゆる業界に大きな変化をもたらしています。この技術の最大の魅力の一つである「情報の改ざんができない」という特徴は「選挙投票」などの国の重要な行事にも役立てられており、ブロックチェーン技術を用いた「電子投票システム」などの研究も複数の国で行われています。

当メディアでは、これらの革新的な技術の具体的な活用事例を複数の業界ごとにまとめて紹介しているので、それらの「まとめ記事」も合わせて読んでみてください。