仮想通貨(暗号資産)の売買・取引・ステーキングなどによって一定の利益を得た場合、投資家には損益計算と確定申告を行い、適切に税金を納める義務が生じます。
この記事では、仮想通貨投資に関連する「確定申告の受付期間」と「知っておくべき税金に関する重要な知識」について詳しく解説します。これらの情報は、仮想通貨投資を行う上で非常に重要な基礎知識となります。
投資家の皆さんが税務上の義務を適切に果たし、トラブルを回避するためにも、ぜひこの記事をお読みいただき、仮想通貨の税金と確定申告に関する理解を深めていただければ幸いです。
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確定申告の受付期間はいつからいつまで?
2025年(令和7年)提出分の確定申告期間は、2025年2月17日(月)〜2025年3月17日(月)までとなります。
仮想通貨(暗号資産)の取引などで一定の利益を得た場合には、1年間の損益を計算した上で期間中に確定申告・納税を行う必要があります。対象者の方は、期限に余裕を持って手続きを完了させることが重要です。
確定申告の方法には、主に2つの選択肢があります:
- e-Taxを用いた自宅からの申告
- 各地の税務署での申告
確定申告会場は期限が近づくにつれて混雑が予想されるため、会場を訪れる場合は早めの行動が推奨されています。特に、複雑な申告内容がある場合や、不明点がある場合は、十分な時間的余裕を持って対応することが大切です。
確定申告会場の詳細情報や、確定申告書の作成に関する情報は、以下の国税庁のウェブサイトで確認できます:
・確定申告会場に関する情報(国税庁)
・確定申告書の作成はこちら(国税庁)
仮想通貨取引による損益計算を効率的に行いたい方は、専門のサービスを利用することも一つの選択肢です。例えば「CoinTax」のような暗号資産の損益計算サービスを活用することで、確定申告の準備をスムーズに進められる可能性があります。
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仮想通貨の税金に関する知識
当メディアでは「仮想通貨の税金・確定申告」に関する記事を多数公開しています。仮想通貨取引に関わる税務について、基本的な知識から実践的なアドバイスまで幅広くカバーしていますので、以下の記事群をお役立てください。
これらの記事では、仮想通貨取引における課税の仕組み、確定申告の必要性の判断基準、そして具体的な申告方法などについて詳しく解説しています。また、仮想通貨特有の税務上の注意点や、最新の税制改正の影響なども取り上げています。
投資家の皆さんが適切に税務処理を行い、不要なトラブルを避けるためにも、これらの情報を参考にしていただくことをおすすめします。なお、個別の事情によって税務上の取り扱いが異なる場合もありますので、複雑なケースや不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談することも検討してください。
仮想通貨の取引で発生する税金は?
会社員など給与による収入がある人の場合、仮想通貨取引などで得た利益(雑所得)の合計が1月1日〜12月31日の期間で「20万円」を超えた場合には、2025年2月17日〜3月17日までの期間に確定申告を行う必要があります(主婦や学生など扶養されている方は33万円以上)。
仮想通貨の利益は単に「仮想通貨を日本円に交換して利益が出た」というケースだけでなく「仮想通貨の売却・仮想通貨決済による商品の購入・他の仮想通貨との交換」などのタイミングで利益が発生した場合も対象となるため注意が必要です。
これには、例えば仮想通貨”A”を仮想通貨”B”に交換する際に利益が出た場合や、仮想通貨で商品を購入する際に仮想通貨の価値が上昇していた場合なども含まれます。
仮想通貨の売買・取引で損失が出た場合、仮想通貨取引分の確定申告は不要となりますが、仮想通貨取引によって発生した損失の扱い方には一定の決まりがあるため、その内容も理解しておくようにしましょう。例えば、仮想通貨取引での損失を他の所得と相殺することはできないなどの制限があります。
また、仮想通貨の取引履歴や損益計算書の保管は非常に重要です。税務署から取引内容の確認を求められた際に、適切な資料を提示できるよう、取引所からのデータや自身で作成した計算書などを最低5年間は保管しておくことが推奨されています。
利益20万円以下でも確定申告が必要なケース
仮想通貨の所得が20万円以下でも、特定の状況下では確定申告が求められる場合があります。このため、仮想通貨取引による利益が20万円を下回っていても、確定申告の必要性を慎重に検討することが重要です。
具体的には、以下のようなケースで確定申告が必要となる可能性があります:
- 副業収入がある場合
仮想通貨取引以外の副業で収入がある場合、それらの合計額によっては確定申告が必要になることがあります。 - 医療費控除を受ける場合
個人が医療費控除を申請する際には、仮想通貨の利益が20万円以下でも確定申告が必要になります。 - 高額給与所得者の場合
年収が2,000万円を超える給与所得者は、仮想通貨取引の利益が少額でも確定申告が求められます。 - 法人・個人事業主の場合
事業を営んでいる場合、仮想通貨取引の利益額に関わらず、確定申告が必要となることがあります。
これらの状況に該当する可能性がある場合は、税理士や国税庁に相談するなど、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。確定申告の要否を正確に判断し、適切に対応することで、将来的な税務上の問題を回避することができます。
エアドロップ分にも税金はかかる?
エアドロップで仮想通貨を受け取る際の税金の取り扱いは、受け取った時点での仮想通貨の価値によって異なります。価値がない場合と価値がある場合の2つのシナリオが考えられます。
受け取った時点で仮想通貨に価値がない場合は、その時点では課税対象にはならないと考えられています。しかし、価値がある仮想通貨を受け取った場合は、受取時点で課税対象となる可能性があります。
したがって、エアドロップを受け取る際は、その仮想通貨の価値を確認し、必要に応じて課税対象として扱う準備をしておくことが重要です。また、エアドロップで受け取った仮想通貨を後日売却・交換・使用する際にも所得が発生する可能性があるため、注意が必要です。
税務上の取り扱いが複雑なため、エアドロップを受け取った際は、専門家に相談するか、国税庁のガイドラインを確認することをおすすめします。適切な申告を行うことで、将来的な税務上の問題を回避できる可能性が高まります。
確定申告・納税が遅れるとどうなる?
確定申告や納税の期限を過ぎてしまった場合、「延滞税」や「加算税」などのペナルティが課される可能性があります。これらは単なる遅延だけでなく、申告内容の不備や意図的な脱税行為に対しても適用されるため、注意が必要です。
加算税には4種類存在します:
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
これらは、申告漏れや脱税が明らかになった場合だけでなく、些細なミスや勘違いによる申告ミスでも課される可能性があります。したがって、確定申告の際は細心の注意を払う必要があります。
確定申告期限に間に合わない可能性がある場合、一つの対策として「期限内にできる範囲で申告を行い、後日修正申告を提出する」という方法があります。この方法を採用することで、ペナルティを軽減できる可能性があります。
重要なのは、無申告や所得の隠蔽などの行為は絶対に避けることです。このような行為は重大な違反とみなされ、より厳しいペナルティの対象となる可能性があります。
確定申告と納税は、仮想通貨投資を含む全ての所得に関して適切に行うことが法的義務であり、また将来的なトラブルを回避するためにも重要です。不明点がある場合は、税理士や国税庁のホームページなど、信頼できる情報源に相談することをおすすめします。
読んでおきたい「国税庁のFAQ」
国税庁は「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」という資料を公開しており、仮想通貨の税金・確定申告に関する説明文が定期的に追加・更新されています。
この資料は仮想通貨の税金・確定申告などに関する質問と回答をまとめたもので「売却・決済・交換時の所得計算方法、ハードフォーク・マイニングなどによる取得時の考え方、相続・贈与による取得時の考え方」など仮想通貨の税金に関する様々な質問について、具体的な例も交えながら詳しく説明がなされています。
この資料の中には個人投資家にも関連する「所得税関連の内容」も記載されていますので、一度目を通しておくことをおすすめします。特に、仮想通貨取引を行っている方や確定申告を控えている方にとっては、非常に有用な情報源となるでしょう。
国税庁のウェブサイトで公開されているこのFAQを参照することで、仮想通貨に関する税務上の疑問点を解消できる可能性が高くなります。
税金を減らすための節税方法
日本の高い税率は仮想通貨投資家にとって悩みの種となっていますが、税金を減らすための対策をしっかりと行なっておけば、支払う税金を減らせる可能性があります。適切な節税方法を活用することで、合法的に税負担を軽減することができます。
当メディアでは「仮想通貨取引にかかる税金を減らす 7つの節税方法」をご紹介していますので、こちらの記事も参考にされてみてください。具体的な方法や注意点など、詳細な情報が掲載されていますので、自身の状況に合わせて適切な節税戦略を検討する際に役立つでしょう。
ただし、節税と脱税は明確に区別する必要があります。合法的な範囲内で税金を最小限に抑えることは問題ありませんが、違法な方法で税金を逃れようとすることは絶対に避けるべきです。適切な節税方法を選択し、確実に実行することが重要です。
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無価値のNFTも節税に役立つ?
マネックスクリプトバンクは2023年11月8日に、売買が困難になったNFTやNFTコントラクトの買取を行う「不良資産化したNFT・NFTコントラクトの買取サービス」を開始しています。
このサービスは、売却が困難なNFTを「一律1円」で買い取るサービスであり、NFT売却で会計上の売却損を発生させることによって節税効果が見込めます。また、トークン送付以外はオフチェーン取引となるため、市場への影響も最小限に留められると説明されています。
このサービスは、NFT市場の変動により価値が大きく下落したNFTを保有している投資家にとって、特に有益な選択肢となる可能性があります。NFTの価値が下落し、売却先が見つからない状況でも、このサービスを利用することで売却損を確定させ、他の収益と相殺することができるかもしれません。
ただし、このようなサービスを利用する際は、税務上の取り扱いについて専門家に相談することが推奨されます。NFTの評価額や売却損の計上方法によっては、税務当局から質問を受ける可能性もあるため、慎重な対応が必要です。
仮想通貨の確定申告に役立つサービス
日本では、仮想通貨の損益計算をサポートしてくれるサービスも複数提供されています。これらのサービスを利用することで、複雑な仮想通貨取引の損益計算や確定申告の手続きを効率的に行うことができます。
当メディアは「Cryptact(クリプタクト)」と「COINTAX(コインタックス)」と呼ばれる2つのサービスの解説記事も公開していますので、こちらの記事も参考にされてみてください。
Cryptact(クリプタクト)は仮想通貨の確定申告に役立つ自動損益計算サービスです。このサービスでは、必要なファイルをアップロードしたり、API連携するだけで、暗号資産取引所やウォレットなどで行われる仮想通貨取引の損益計算を自動で行うことができるようになっています。取引履歴の管理や計算の手間を大幅に削減できるため、多くの取引を行っている投資家にとって特に有用なツールとなっています。
一方、COINTAX(コインタックス)は、仮想通貨の取引データや経費の情報などを提出するだけでプロの税理士に確定申告書の作成・提出までを行なってもらうことができる暗号資産取引の損益計算サービスとなっています。税理士による専門的なサポートを受けられるため、複雑な取引や特殊な状況にも対応可能で、確定申告の正確性と安心感を高めることができます。
これらのサービスを活用することで、仮想通貨投資家は確定申告の負担を軽減し、より効率的に税務処理を行うことができます。自身の取引状況や必要なサポートのレベルに応じて、適切なサービスを選択することが重要です。
脱税はバレる?税金逃れは絶対しないように
仮想通貨の税金に関する話題では「脱税」を計画しているような話をちらほらと目にしますが、脱税は犯罪行為であり、もしもバレた場合には深刻なペナルティが課せられることになるため、絶対に脱税しないようにしましょう。
国税庁が2023年末に公開した調査報告書では、前年度との比較で「申告漏れなどの違反件数・申告漏れ所得金額・追徴課税額」が全て増加しています。
具体的には、「違反件数は405件から548件に増加、申告漏れ所得金額は162億円から189億円に増加、追徴課税額は53億円から64億円に増加した」と報告されています。この数字からも、税務当局が仮想通貨取引に関する調査を強化していることがうかがえます。
仮想通貨の税金逃れに対処するための活動は世界的に本格化しており、2023年11月には日本を含めた約50カ国から、税務当局間の自動情報交換に関する新しい国際基準である「暗号資産報告フレームワーク(CARF)」の実装に向けて共同で取り組んでいく方針が発表されています。これにより、国境を越えた仮想通貨取引の把握が容易になると予想されます。
最近では本人確認手続き(KYC)の義務化も進み、送金者情報などを求めるトラベルルールの対応も進んでいるため、海外取引所・分散型取引所・ウォレットなどを利用していたとしても、ユーザー情報の紐付けで持ち主が分かるようになっていると予想されます。このような状況下では、匿名性を利用した脱税はますます困難になっていくでしょう。
脱税が数年後に発覚した場合には、莫大な金額の延滞税や重加算税が課される可能性もあります。例えば、100万円の脱税が5年後に発覚した場合、延滞税や重加算税を含めると200万円以上の支払いを求められる可能性があります。このような事態を避けるためにも、確定申告と納税は毎年しっかりと行うことが重要です。
仮想通貨取引に関する税務は複雑で理解が難しい面もありますが、不明な点がある場合は税理士や国税庁に相談するなど、適切な対応を心がけましょう。適正な納税は、健全な仮想通貨市場の発展にも寄与する重要な責務であることを忘れないようにしましょう。
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執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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