仮想通貨(Cryptocurrency)に対する投資家たちの意見には大きな違いがあり、世界トップクラスの大富豪達からの評価にも大きな差があります。そんな億万長者たちが語った最近のコメントや議論をまとめて紹介します。
仮想通貨への投資は馬鹿げている|ビル・ゲイツ氏
世界長者番付で億万長者のトップに君臨するMicrosoft(マイクロソフト)の創業者であるBill Gates(ビル・ゲイツ)氏は、先日の5月7日に放送されたCNBCの番組でビットコイン(BTC)やその他の仮想通貨に対して批判的な意見を述べています。
ゲイツ氏は「ビットコイン(BTC)やその他の仮想通貨への投資は非常に愚かな投資であり、もし投資するなら空売りする」と述べています。
「資産の種類として見た場合何も創り出してはいないので価値が上がることを期待するべきではない。ある意味で単なる非常に愚かな理論の投資のようなものである」
「簡単な方法があるのであれば、空売りするということに同意する」
ビル・ゲイツ氏は、顧客としても機関投資家としても長期的に関与するのは非常に危険であると考えており、ビットコインとイニシャル・コイン・オファリング(ICO)については「クレイジーで投機的なものがある」と述べています。
ゲイツ氏は以前、自身の誕生日に友人からビットコインをプレゼントされましたが、数年後にはそれを売却したことを明かしています。
批判的なゲイツ氏ですが、Microsoft(マイクロソフト)は2014年からビットコイン(BTC)による支払いを採用しており、今年の3月には新たにビットコインキャッシュ(BCH)の受付も開始したことを発表しています。
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我々は市場シェアを自分たちで決めることはできない|ジェフ・ベゾス氏
世界長者番付で10億ドル以上の個人資産を持つ富豪のトップであったビル・ゲイツ氏ですが、今年発表された32回目となる世界長者番付では、Amazon(アマゾン)の最高経営責任者(CEO)であるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が初の首位に輝いています。
Amazonは昨年11月頃に仮想通貨に関するウェブドメインを取得したことが分かっており、アマゾンウェブサービス(AWS)は、イーサリアム(ETH)とHyperledger Fabric向けのブロックチェーンフレームワーク「AWS Blockchain Templates」の導入を4月に発表しました。
仮想通貨やブロックチェーンに前向きに取り組むAmazonを率いているベゾス氏は投資家としても有名です。
ベゾス氏は仮想通貨に関するコメントは残していませんが、過去の発言では「我々は市場シェアを自分たちで決めることはできない」とも語っており、その他にも次のような言葉を残しています。
「我々は市場シェアを自分たちで決めることはできないと常に思っています。最高の顧客経験を提供することに重点を置いてビジネスを展開するだけです。あとは顧客がアマゾンのシェアを決めます。紙とデジタルの書籍が今後どうなるか、それを決定するのも顧客です。」
またベゾス氏は将来のビジョンについて「デバイスを消すことを目指している」とも語っています。
「私たちがやろうとしているのは、デバイスを消すことなんです。デバイスそのものがカッコイイとか機能が豊富とかではありません。まるで紙の本のように、作者の世界や物語に読書の中で没頭してしまうようにしたい。本の装丁、紙、インク、そういったものがすべて消えて没頭してしまう読書体験を実現したいと思っています。」
このような発言を踏まえて考えると、少なくともベゾス氏は仮想通貨に対して否定的な立場ではないことが予想されます。
「初めて何かをするときには、必ず授業料を払わなければならないのです。未経験でわからないことがあるから我々は学習する。学習期間は投資期間です。上手くできるようになったら、投下資本利益が向上し、その投資は利益を生むものに化けます。」
ビットコイン投資はギャンブルだ|ウォーレン・バフェット氏
バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOであり、億万長者の投資家の一人であるWarren Buffett(ウォーレン・バフェット)氏は、5月5日に「ビットコインへの投資は、投資ではなくギャンブルである」と語っています。
バフェット氏は、ビットコインなどの仮想通貨が「ほぼ確実に悪い結末になる」と投資家に警告しています。
ビットコイン市場はバブルであると語るバフェット氏は「価値を創造する資産ではないビットコインを評価することはできない」と語っています。
「ビットコイン市場はバブルであり価値創造の資産ではないため、ビットコインを評価することはできない」
「あなたが非生産的な資産を購入した時は、次の人があなたにもっと多くのお金を払うことになるだろう。なぜならば、それらの全ての人々はさらに次の人が来ることに期待しているからだ」
「翌日に誰か他の人がもっとお金を払うことになるならば、それはゲームの一種だ。投資ではない。」
「ビットコインはおそらくネズミ用毒餌剤の二乗の効果をもつ」
同じくバークシャー・ハサウェイ社のチャーリー・マンガー氏は、ビットコインへの投資を「排泄物との取引だ」とも述べています。
バフェット氏はBitcoinを誤解している|チャマス・パリハピティヤ氏
一方、バフェット氏の『弟子』であると語るChamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏は、バフェット氏のビットコインに関する批判的な発言に反論し「バフェット氏はビットコインについて誤解している」と述べています。
Facebookの元副社長でもあるパリハピティヤ氏は、現在は著名なベンチャー投資家として活動しています。
「すべての人が常に正しいというわけではない」と語るパリハピティヤ氏は、バフェット氏がブロックチェーン技術に関する十分な知識を持っていないことを示唆しています。
「ビットコインのような市場の安定と相関がないものは非常に重要である」
「ビットコインの世界と通常の世界の間を行くためのパスポートが必要だ」
Palihapitiya氏は「金融危機の最中に何が起こったのかを覚えておくことが重要である」と述べており、金融危機について「全てが崩壊し、私たちが障壁だと考えていたことはなくなった」と語っています。
テクノロジーは非中央集権的な力になる|マーク・ザッカーバーグ氏
Facebook(フェイスブック)のCEO兼会長、共同設立者であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、自身のフェイスブックで投稿した2018年の抱負の中で「中央集権化してしまったテクノロジー産業を修復するために、仮想通貨等の新技術を研究しフェイスブックのサービスにどう活用できるか検討する」と語っています。
投稿された文章の中でザッカーバーグ氏は「僕らがテクノロジーの世界に入ったのは、それが人々の手に大きな権力を与える非集権的な力となることを信じていたからだ」と語っています。
「現在テクノロジーの世界で一番興味深い問題の一つが、中央集権と非中央集権の問題だ。」
「もともと僕らがテクノロジーの世界に入ったのは、それが人々の手に大きな権力を与える非集権的な力となることを信じていたからだ。(フェイスブックのミッションにあるのはまず「人々に力を」だ。)」
ザッカーバーグ氏はこれに続けて「現在は多くの人が失望しており、誤った認識が広がっている」と述べています。
「90年代と2000年代には、ほとんどの人がテクノロジーが非中央集権をもたらす力となると信じていた。しかし今日、多くの人がこの約束に失望している。限られた数の大きなIT企業とテクノロジーを使って市民を監視する政府が増えるにつれ、多くの人がテクノロジーが非中央集権する力ではなく、権力を特定の人に集中させるものだと思っている。」
さらに彼は、この流れに逆らう重要な存在がでてきていると語り、『暗号化技術と仮想通貨』について「これら技術の『ポジティブとネガティブの両面』と『フェイスブックのサービスにどう活用できるか』を深く研究したい」と語っています。
「このトレンドに逆流する重要なものがでてきている。例えば暗号化技術と仮想通貨だ。これらは中央集権化されたシステムから権力を奪い人々の手に戻す。だがこれらはコントロールしにくいというリスクを伴う。だからこれら技術のポジティブ・ネガティブ両側面とフェイスブックのサービスにどう活用できるかを深く研究したい。」
「今年は自分を向上させるためにとても大事な一年となる。これらの問題の解決を通して学べることに期待している。」
この投稿の後にFacebookは仮想通貨関連の広告を禁止することを発表しましたが、最近ではブロックチェーンの研究チームを結成したことも明らかになっており、独自の仮想通貨を真剣に検討しているともいわれています。
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Facebookが仮想通貨関連の広告を禁止した後には、Twitterでも広告の禁止が発表されています。
仮想通貨は主要なグローバル通貨になる|ジャック・ドーシー氏
Twitter(ツイッター)の最高経営責任者であるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は「ビットコインの持つ可能性を強く信じており、10年以内にはインターネット上の単一の通貨となる可能性がある」と考えていることを明かしています。
ビットコイン投資家でもあるドーシー氏は「仮想通貨が世界金融で米ドルの支配的地位を占め、支払いのための主要なグローバル通貨になると考えている」と語っています。
「世界は最終的には単一の通貨を持ち、インターネットは単一の通貨しか持たないだろう。私は個人的にはビットコインと信じている」
ビットコインは通貨の特徴を持たないが詐欺ではない|ナラ・ヤレド氏
起業家や有名投資家の間でさまざまな意見が対立するなかで、アメリカの大手金融グループであるゴールドマンサックス(GS)はビットコインの取引を開始することを今月(2018年5月)の取締役会で決定しました。
ゴールドマンサックス役員であるRana Yared(ナラ・ヤレド)氏は「ビットコインが世界を支配するとは考えていない。しかし、通貨の特徴を持たないが詐欺ではない」と結論づけています。
仮想通貨市場で激動の1年が始まる?
Bitcoinは価値のあるストアでありデジタルの金|マイケル・ノヴォグラッツ氏
以前ゴールドマン・サックスで勤務していたMichael Novogratz(マイケル・ノヴォグラッツ)氏は「Bitcoinは価値のあるストアでありデジタルの金である」と述べています。
2015年にゴールドマン・サックスを辞めたのちに仮想通貨投資に専念し、その後市場が活発になったことによって業界で最も裕福な投資家の一人となったノヴォグラッツ氏は、ビットコイン(BTC)とビットコインキャッシュ(BCH)の間で長い間議論されている2つの仮想通貨の正当性について「ビットコイン(BTC)こそがサトシ・ナカモトが著したホワイトペーパーで論述されている仮想通貨である」と主張しています。
『なぜ安定した価値のないBCHを所有するのですか?』|マイケル・ノヴォグラッツ
ノヴォグラッツ氏は、2017年に純資産の10%をデジタル通貨に投資したと語っており、ニューヨーク証券取引所は年内に仮想通貨取引を積極的に行うと予測しています。
ビットコインではなくブロックチェーンを信じている|ゲイリー・コーン氏
ゴールドマン・サックスの元社長であり、トランプ政権で経済担当大統領補佐官を務めていたGary Cohn(ゲイリー・コーン)氏はCNBCとのインタビューで「ビットコインを信じているわけではなく、ブロックチェーンテクノロジーを信じている」と明言しています。
「私はビットコインを信じているわけではない。ブロックチェーン技術を信じている。」
「私はいつかで仮想通貨が世界中の人々に受け入れられると確信しています。そしてそれはマイニングコストや電力コストなどの問題とは無縁だろう。」
将来普及する仮想通貨はビットコインではない
信頼される形のない通貨へ
さまざまな価値観での意見が交わされながらも、世界の頂点で活躍する著名人たちの多くは仮想通貨に関心をもっており、その活用方法や将来性を模索しています。
社会へ及ぼす影響は起業家・投資家・経営者等、立場によっても大きく変わりますが、今後彼らがどう向き合いどう影響を与えていくのかが注目されるところです。
現在も仮想通貨に関する議論はさまざまな場面で行われていますが、『人々の信頼』を保つことで価値を維持してきた”現金”という名の『形のある通貨』は、ブロックチェーンテクノロジーという革新的な技術によって『形のない新たな通貨』へと移行していくのかもしれません。
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