DeFi・Web3など6分野で取り組みを強化
カルダノ(Cardano/ADA)を支える非営利団体のカルダノ財団は2025年9月23日に、カルダノの普及に向けた新たな戦略ロードマップを発表し、分散型金融(DeFi)・RWA(実世界資産)・Web3・ガバナンス強化など6つの重点分野を軸として、グローバルにカルダノ採用を拡大していく計画を示しました。
カルダノ財団は以前から『伝統的な企業によるカルダノの採用』という目標に向けてブロックチェーン技術を活用した社会貢献活動に取り組んでいますが、今後はそれらの取り組みを継続しつつ、DeFi・Web3領域での取り組みをさらに強化していくと説明されています。
今回のロードマップでは今後の重点戦略として以下6つの項目が挙げられており、カルダノ財団は「エコシステム・コミュニティ・複数の機関パートナーと協力してこれらの計画を着実に実現していく」とコメントしています。
Unveiling the next phase of our roadmap for Cardano adoption.
• 8-figures $ada for stablecoin liquidity
• DeFi liquidity initiatives support
• 220M ada delegation to new DReps
• $10M+ RWA launch
• 2M ada to the Venture Hub
• Expanded promotion & adoptionThread: 🧵 pic.twitter.com/hlOwkNWct0
— Cardano Foundation (@Cardano_CF) September 23, 2025
カルダノ採用に向けたロードマップの次のフェーズを発表。
- 数千万ADA規模のステーブルコイン流動性支援
- DeFi流動性イニシアチブの支援
- 2億2,000万ADAを新たなDRepに委任
- 1,000万ドル以上のRWA(実世界資産)ローンチ
- 200万ADAをベンチャーハブに投入
- プロモーションと採用拡大を強化
カルダノのDeFi分野を強化
カルダノ財団は主要なステーブルコインプロジェクトに対して数千万ADA規模の流動性支援を行う。これによってオン・オフランプ(法定通貨と暗号資産の交換)の利便性を高め、今後6〜12か月でDeFi利用環境を改善する方針。
また、カルダノDeFiの流動性&採用増加を目的としたコミュニティ主導の流動性向上提案(例:ステーブルコインDeFi流動性予算提案)などの支援と協力を継続して行うことによって、長期的なカルダノDeFiの採用を促進していく。
Web3採用の拡大
Web3分野におけるカルダノの普及率を引き上げるために、カルダノ財団の専任チームを拡充する。
具体的には財団のWeb3採用チームに2名のメンバーを追加して「技術統合・取引所上場・RWA導入」などに注力し、イーサリアム仮想マシン(EVM)系チェーンとの競争力強化を狙う。
ベンチャーハブの拡張
2025年に試験導入された「カルダノ・ベンチャーハブ」を本格展開。このプログラムはカルダノエコシステム全体の資金調達に関する課題に取り組むことを目的としており、すでに3つのプロジェクトを支援している。
今後は試験導入から学んだ教訓を活かしてベンチャーハブを拡大。「スタートアップ向けのベンチャープログラム」と「企業向けのエンタープライズ支援プログラム」を立ち上げ、2026年までに最大200万ADAを投資・融資する予定。
具体的には、直接投資と融資・技術アドバイザリーサービス・コーチング・ネットワークアドバイザリーコンサルティング・統合サポート・その他ソリューションなどを通じて、ベンチャーハブのカルダノプロジェクトの持続可能性を後押しする。
同時にDraper U、Techstars、CV VCなどの既存パートナーとも協力してカルダノの採用拡大に焦点を当てた今後の予算要求をサポートし、カルダノエコシステム全体の資金調達課題に取り組む。
実世界資産(RWA)の解放
カルダノは「ネイティブ資産・予測可能な手数料・持続可能性・洗練された開発者コミュニティ」などRWA分野に適した強みを有しているため、それらの利点を活かしてRWA分野での採用拡大を図っていく。
先日はすでに「MembersCap」との連携を通じて1,000万ドル(約14億7,800万円)規模のRWAをカルダノに導入することが発表されている。
RWAをさらに成長させるためにはカルダノ基準に対処する必要があり、相互運用可能・プログラム可能なトークンをカルダノに持ち込む必要があるため、「CIP-0113」や「CIP-0143」などの提案を推進して相互運用可能なプログラマブルトークンを導入していく。
さらに、Masumiチームと協力して最新の決済フレームワーク「x402」を採用し、エージェント間決済をシームレスに実現するWeb3ペイメント環境を目指す。
グローバルでのプロモーション強化
カルダノ財団は規制当局や伝統的企業との関係構築を継続。無料教育プラットフォームの「Cardano Academy」や「Cardano Summit、エンタープライズ向けマスタークラス、国際カンファレンス出展」などを通じて、教育・普及活動を加速する。
2026年にはマーケティング予算を12%増加して認知度と採用を促進。インバウンドマーケティング・コンテンツ・有料マーケティング・メディア・イベントなど既存の取り組みを拡大し、「TOKEN2049・Consensus・Africa Tech Summit」などの世界的イベントにも積極的に参加する予定。
マーケティングチームは世界的なカルダノの認識と採用を促進する戦略的プログラムを開発するためにエコシステムと協力し続け、カルダノブロックチェーン自体と複数のカルダノプロジェクトに焦点を当てる。
ガバナンスのさらなる分散化
ステークプール運営者(SPO)への委任戦略を見直し、カルダノエコシステム全体の加速支援に重点を移行する。
財団は既に1億4,000万ADAを7名のDRep(委任代表者)に委任しているが、今後は採用・運営分野のDRepにも拡大し、新たに2億2,000万ADAを11名に委任する方針。これに伴い、財団の自己委任額は8,000万ADAに削減される。
評価方法の詳細は今後の投稿で発表予定。
カルダノの更なる発展のためのロードマップ
カルダノ財団は「今回発表された6つの重点項目を確実に実行していくためには、相当なリソースが必要であり、財団の運営方法にも重要な変更をもたらす」とも説明しており、透明性を維持する運営を続けながら、状況の変化に応じてロードマップと戦略を見直していく方針であることを語っています。
また「この変更が現在委任を受けているSPOに影響を及ぼすことも理解しているため、可能な限り協力と支援を継続して提供する」とも説明されていて、「これまで財団から委任を受けてミッションの分散化を推進してくれた約400のプールに感謝の意を表す」ともコメントされています。
なお、ビデオスポットライトやコミュニティ事例のマーケティング、Cardano Developer Portalの刷新、機関向けSPOの動機付けやガバナンストゥーリングの提供など、今回提示された6つのロードマップ項目内の多くの施策は既に実装済みであるとのことで、今後3年間でさらに多くが展開が続くことになると報告されています。
今回発表されたロードマップは、完全実行までに長い時間がかかるものであるものの、カルダノ財団は「これらの統合的かつ協調的なアプローチがカルダノの将来の成長に大きく寄与すると確信している」と説明しています。
カルダノの技術採用は世界的に拡大してきており、最近ではADAを財務資産として採用する企業なども登場してきているため、これらの計画が確実に遂行されていくことによって、今後はカルダノの採用事例もさらに増加していくことになると期待されます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.78円)
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source:カルダノ財団発表
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