成長重視の高市早苗氏が首相就任へ、暗号資産業界に追い風となるか|税制・規制緩和に期待

成長重視の高市早苗氏が首相就任へ、暗号資産業界に追い風となるか|税制・規制緩和に期待(Pro-growth Sanae Takaichi becomes Japan's new Prime Minister, boosting optimism in the crypto industry with expectations for tax and regulatory reforms)
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高市政権誕生へ、日本市場と暗号資産業界に期待感

2025年10月4日に実施された自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出され、15日にも日本憲政史上初の女性首相に指名される見通しとなりました。

総裁選勝利を受け、成長重視の積極財政路線や緩和的金融政策への期待から、日経平均株価は過去最高値を更新(月曜終値47,734円、前営業日比+4.75%)するなど、市場には新たな勢いが広がっています。

高市氏は「成長重視派」として低金利政策や減税、大規模経済刺激策を支持することで知られており、こうした政策姿勢が投資家心理を押し上げていると報じられています。

一方、暗号資産(仮想通貨)については、高市氏の明確な発言は少ないものの、総務大臣在任中の2019年には「ビットコインなど暗号資産による政治家個人への寄付は現行法では規制対象にならない」と述べ、暗号資産による寄付の合法性を支持する姿勢を示しています。

成長重視の高市政権、暗号資産政策はどう変わるのか

高市政権で進む暗号資産ETF承認と税制見直し

高市氏の首相就任で停滞していた暗号資産関連政策が前進するとの期待が広がっています。

高市氏の首相就任に伴う市場の期待について、dYdX財団CEOのシャルル・ダウシー氏は「『鉄の女』高市早苗氏の就任は、緩和的な金融政策への期待を通じて日本の暗号資産投資家のセンチメントを高めており、すでにビットコインは円建てで史上最高値を更新している」と指摘しました。

また、高市氏の「前向きな規制アプローチ」が国内での規制明確化を促し、暗号資産の普及を後押しする可能性があるとも述べています。

日本の金融当局は暗号資産に親和的な制度設計を模索しており、2025年6月には金融庁が暗号資産の大幅な制度見直し案を公表しました。

この提案では、暗号資産を現行の資金決済法から金融商品取引法(いわゆる金商法)の枠組みに移行し、証券などと同様の規制体系に組み込むことで、暗号資産ETF(上場投資信託)の解禁やデジタル資産所得に対する一律20%の申告分離課税導入を可能にする内容となっています。

この改正案により、最大55%にも達する現行の暗号資産課税負担が株式並みの20%へと軽減されるため、国内外の投資資金が流入しやすくなると見られています。

高市早苗氏が描くWeb3と暗号資産規制のバランス

一方、高市氏自身の暗号資産に対するスタンスは「技術には前向きだが、制度面では慎重」との見方もあります。

ブロックチェーン推進協会の荒澤氏は「高市早苗氏はブロックチェーン技術自体には積極的だが、暗号資産を『投機性の高い資産』と位置づけており、税制緩和や分離課税化には慎重な立場を取っている」と指摘しました。

実際、高市氏は不正取引やマネーロンダリング防止の監視体制強化を重視しており、暗号資産取引所や銀行が疑わしい取引情報を共有できる仕組みづくりを提案するなど、投機抑制と公平性の確保を優先する方針を示しています。

その一方で、自民党デジタル社会推進本部のWeb3プロジェクトチーム最高顧問としてDAO(分散型自律組織)の法整備にも取り組んできました。

高市氏は暗号資産に対して慎重な姿勢を示しつつも、Web3やブロックチェーン技術の潜在力を評価しており、DAOの法整備を通じて技術革新と制度の整合を図る姿勢を見せています。

高市政権下で注目される悲願「20%分離課税」の実現性

業界からは、高市新政権の下で「悲願」とも言える税制改正の実現に期待が高まっています。

自民党内でも暗号資産の税制優遇を求める動きが活発化しており、2024年末に与党がまとめた2025年度税制改正大綱には暗号資産取引の課税見直し検討が明記されました。

また、7月には、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)と日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が連名で金融庁に要望書を提出し、暗号資産利益への一律20%課税導入や損失繰越控除の3年間適用など5項目にわたる具体策を提言しました。

これらの提言は、政府の掲げる「投資立国」戦略にも沿ったものであり、日本が国際的なWeb3競争力を維持する上でも不可欠との認識が共有されています。

加えて、高市氏は安倍政権下で経済政策の中心を担った実績があり、成長戦略の一環として暗号資産分野の制度改革に着手する可能性は十分にあると見られています。

高市政権が主導するWeb3・暗号資産政策の行方

制度面でも日本の暗号資産規制を取り巻く環境は着実に変化しつつあります。

暗号資産関連法改正が示す金融庁の新たな方針

3月には、暗号資産の仲介業創設や信託型ステーブルコイン規制緩和などを盛り込んだ資金決済法改正案が閣議決定され、国会に提出されました。

同改正案は利用者保護とイノベーション促進の両立を目的とするもので、2026年6月頃までの施行を目指して段階的に法整備が進められています。

暗号資産課税制度の本丸議論

さらに、2026年度の通常国会への提出に向けて”本丸”とされる暗号資産の申告分離課税導入に向けた議論も開始されており、自民党のWeb3ワーキンググループは2026年度の制度実現を視野に入れた改正案を取りまとめています。

すでに金融庁は2026年度税制改正要望で「暗号資産取引益への20%分離課税導入」や「損失繰越控除の創設」を正式に盛り込んでおり、高市政権の下でこれらの措置が前進するかが注目されています。

こうした中、業界団体からは「暗号資産分野の健全な発展には早急な制度整備が不可欠だ」との声が上がっており、今後発足する高市新内閣がどこまで規制改革に踏み込むかが、日本の暗号資産業界の将来を左右すると見られています。

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Source:日経新聞
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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