高市新内閣、財務相に片山さつき氏を起用へ
2025年10月21日、自民党総裁の高市早苗氏が同日発足する新内閣の財務大臣に片山さつき参議院議員(元地方創生担当相)を起用する方針を固めたと朝日新聞が報じました。
片山氏は財務省出身で金融政策に精通した政策通として知られ、こうした経験から高市新総理の下で財政健全化に寄与する人事との見方が強まっています。
また同氏は、暗号資産(仮想通貨)規制の分野にも深く関与してきた経歴を持ち、進行中の金融商品取引法(金商法)への移行議論やステーブルコイン規制整備に携わった実績があります。
これまで片山氏は暗号資産の税制改革や投資家保護策にも取り組んできたため、今回の財務相起用により、暗号資産業界では今後の規制動向への注目が一層高まっています。
税制・規制緩和に期待広がる
片山さつき氏の財務相登用で注目される暗号資産政策の焦点
高市政権を支える片山財務相の経歴
10月21日、衆議院と参議院での指名選挙を経て高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に選出され、日本初の女性首相が誕生しました。
片山さつき氏の財務大臣起用はこの組閣人事の一環で、高市氏の政権運営を支える重要ポストへの登用となります。自民党総裁選で高市氏の推薦人を務めた経緯から、高市新首相との近い関係性も今回の起用につながったとみられます。
片山さつき氏は東京大学法学部を卒業後に旧大蔵省(現:財務省)に入省し、主計局や国税局長など数々の要職を歴任した経歴を持ちます。
1988年の証券取引法改正でインサイダー取引規制を導入する政策に関与し、不良債権問題への対処策にも取り組むなど、日本の金融規制強化に貢献してきました。
自民党では金融調査会長を4期連続で務め、長年にわたり金融行政に深く関与してきた実務経験があります。
市場関係者からは「片山氏は財務省を知り尽くした能吏で、高市首相の方針に忠実に従うだろう」との見方が出ており、財政政策の安定運営に寄与すると期待されています。
暗号資産課税見直しを一貫して主張
一方で片山氏は暗号資産政策にも積極的に関与してきました。
自民党金融調査会長在任中には、暗号資産を金融商品として位置づけて投資家保護を強化するための法改正に取り組み、現行では最大55%に及ぶ暗号資産の譲渡益課税の見直しを一貫して主張しています。
8月に東京で開催されたWeb3カンファレンス「WebX 2025」では、日本の暗号資産市場発展に向け税制改革が重要と改めて強調しました。
ステーブルコイン法整備に関与した片山氏
また片山氏は金融のデジタル化推進にも貢献しており、2022年には自身が会長を務める自民党金融調査会の合同会議で資金決済法改正案が了承されています。
改正資金決済法は2023年6月1日に施行され、ステーブルコインを「電子決済手段」として定義し、国内における発行・流通を可能にする法整備の基盤となりました。
こうした経緯から、暗号資産業界では片山氏の財務相就任により税制優遇措置の実現や明確な規制整備が一層進むのではないかと期待する声が上がっています。
銀行の暗号資産活用で規制緩和か
高市内閣と片山財務相で期待される暗号資産規制改革
暗号資産インサイダー規制導入の動き
現在、日本では暗号資産を取り巻く規制整備が着実に進展しています。
10月15日には、日本経済新聞の報道を通じて金融庁が暗号資産をインサイダー取引規制の対象に加える方針を固め、2026年の通常国会に金融商品取引法改正案を提出する計画であることが明らかになりました。
これは暗号資産を従来の資金決済法の枠組みから金融商品取引法の枠内に移行させ、株式などと同様の市場規制下に置く動きの一環で、不公正取引の摘発や市場の信頼性向上が期待されています。
実用段階に入る円建てステーブルコイン
また10月17日には、国内メガバンク3行(三菱UFJ・みずほ・三井住友)が共通規格に基づく円建てステーブルコインを年内に共同発行する方針であることが報じられました。
これらの銀行はブロックチェーン技術を活用し、企業間決済の効率化や低コスト化を図る狙いで円建てデジタル通貨の実用化を目指しています。
片山氏が関与した法整備により実現した国内のステーブルコイン発行環境の下で、銀行主導のデジタル通貨実用化が動き出した形です。
暗号資産の申告分離課税化が焦点に
税制面では、暗号資産取引益に対する課税方法の見直しが進んでいます。
金融庁は8月、2026年度税制改正要望において「暗号資産取引で得た利益への申告分離課税(一律20%)導入」や「暗号資産損失の繰越控除制度創設」を正式に盛り込みました。
現行法では暗号資産利益は最大55%の総合課税となっており、今回の要望が実現すれば税負担は株式投資並みの水準まで軽減される見通しです。
高市政権下でこれらの税制改革案が前進するかどうかは大きな注目点であり、暗号資産業界からは「悲願」である20%課税の早期実現を求める声も上がっています。
高市新内閣の発足を受け、片山財務相が暗号資産分野の規制改革にどこまで踏み込むかが焦点となります。
投資家保護とイノベーション促進のバランスを取りつつ、健全な市場育成につながる制度整備が迅速に進むかどうか、業界関係者は注視しています。
日本の暗号資産規制関連の注目記事
Source:朝日新聞
サムネイル:AIによる生成画像




























