米クリスティーズ、仮想通貨取引専用の高級不動産部門を新設|10億ドル超の物件も

米クリスティーズ、仮想通貨取引専用の高級不動産部門を新設|10億ドル超の物件も(Christie’s launches luxury real estate division for cryptocurrency transactions, including properties over $1 billion)
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仮想通貨×高級不動産、米クリスティーズが新部門設立

2025年7月24日、米不動産仲介大手のクリスティーズ・インターナショナル・リアルエステートが、仮想通貨(暗号資産)決済のみに対応した高級物件売買専用の新部門を米国で設立したことが明らかになりました。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道によれば、同社は専門チームを立ち上げ、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)などの仮想通貨を活用した不動産取引を、従来の銀行を介さずに実現できるよう支援する体制を整えたと伝えられています。

米国の主要不動産仲介企業が仮想通貨取引の専門部署を設けるのは今回が初めての事例であり、買い手と売り手の双方が法定通貨を用いず、仮想通貨のみで取引を完結できる環境が整備されました。

なお、2023年にはカリフォルニア州ビバリーヒルズの高級邸宅が、6,500万ドル(約96億円)相当でビットコイン決済によって売却された実績があり、このような成功例を受けてクリスティーズ社は仮想通貨取引に特化した専門部署の設置が必要と判断したと報じられています。

クリスティーズが示す次世代不動産戦略

10億ドル超の物件が仮想通貨で購入可能に

新たに設立された仮想通貨不動産部門は、クリスティーズ南カリフォルニアのCEOであるアーロン・カーマン氏が指揮を執っており、法務・財務・仮想通貨分析の各分野に精通した専門家がチームに加わっていると伝えられています。

クリスティーズはすでに、仮想通貨で購入可能な総額10億ドル(約1,480億円)を超える高級物件を公式サイトに掲載しており、ビバリーヒルズに位置する6,300万ドル(約93億円)の邸宅「Nightingale」などがラインナップに加わっています。

超富裕層が求める仮想通貨の匿名性と決済スピード

プライバシーの保護や取引スピードを重視する超富裕層のニーズが、高級不動産市場における仮想通貨の活用を後押ししていると見られています。

これまで富裕層の間では、信託やペーパーカンパニーを活用して匿名性を確保する手法が一般的でしたが、近年はインターネット上で所有者が特定されるリスクが高まっており、代替手段として仮想通貨の匿名性が注目を集めています。

カーマン氏も「著名な買い手にとってプライバシーがすべてだ」と強調しており、仮想通貨で進められた売買取引の中には、売り手ですら買い手の素性を最後まで知らなかったケースもあったと明かしました。

こうした背景を踏まえ、同社の新部門では取引の機密保持に細心の注意を払い、買い手・売り手双方の身元情報を必要最低限にとどめながら法務手続きを進める体制が構築されています。

不動産取引の価格変動対策にエスクロー導入

ただし、仮想通貨によって数億円規模の資産を動かす場合、最大の課題は価格変動リスクとされています。クリスティーズはこのリスクに対しても明確な対策方針を示しています。

同社は、急激な相場変動による損失を回避する手段として、エスクロー(第三者預託)口座の活用を進めています。あわせて、リアルタイムで価格が連動するシステムを導入し、決済期間中の仮想通貨相場を常時監視する方針です。

さらに、顧客が保有する仮想通貨を担保にして物件購入資金を確保できるよう、クリスティーズは主要銀行と連携し、仮想通貨担保型ローン商品の開発も視野に入れていると報じられています。

こうした背景の中、米連邦住宅金融庁(FHFA)は2025年6月、住宅金融大手のファニーメイやフレディマックに対し、仮想通貨を住宅ローン申請時の準備資産として算入するための指針策定を進めるよう指示を出しました。

クリスティーズ新部門の挑戦と普及への課題

カーマン氏は新部門の設立について「仮想通貨による不動産取引は今後さらに拡大する」と語り、5年以内に高級住宅取引の3割以上に仮想通貨が関与する可能性があるとの見通しを示しました。

一方で、金融機関や規制当局の間では、マネーロンダリング対策や仮想通貨の価格変動リスクに対する懸念が依然として根強く存在しています。そのため、仮想通貨担保ローンの本格普及には、法整備やリスク管理の枠組み構築が不可欠とされています。

現在も大半の不動産購入者は、現金または従来型の住宅ローンを活用しているのが実情で、クリスティーズ社の仮想通貨専用部門が業界の標準として広く定着するには、一定の時間を要するとみられています。

世界各国で広がる仮想通貨の実用例

仮想通貨の実用化に関しては、クリスティーズの事例にとどまらず、各国でさまざまな取り組みが展開されています。

ブラジルで進む仮想通貨観光施策

ブラジルでは、大手仮想通貨取引所Bybit(バイビット)と、ステーブルコインUSDTを発行するTether(テザー)社が戦略的パートナーシップを締結しました。

両社はラテンアメリカ最大規模のブロックチェーンイベント「Blockchain Rio」の共同スポンサーを務めるとともに、リオデジャネイロ市の観光部門と協力し、旅行者が仮想通貨で支払いを行った際に割引やUSDTボーナスを提供するサービスを検討しています。

この施策を通じて、リオデジャネイロ市は「仮想通貨フレンドリー都市」としての地位を確立し、観光産業の活性化と仮想通貨の実需拡大を目指す計画です。

オーストラリア初のBTC担保型住宅ローン

また、オーストラリアでは、フィンテック企業のBlock Earner(ブロックアーナー)社が、国内で初めてビットコインを担保とする住宅ローン商品の提供を開始しました。

このサービスでは、顧客が保有するビットコインを担保として差し入れることで、その評価額の最大50%を住宅購入の頭金として借り入れることが可能です。残りの金額は、従来型の住宅ローンによって補われる仕組みとなっています。

利用者にとっては、BTC価格上昇による含み益を手放すことなく住宅資金を確保できるメリットがあり、不動産市場への新たなアプローチ手段として注目されています。

仮想通貨実需の広がりと将来性

こうした各国での仮想通貨ユースケースの拡大は、仮想通貨が単なる投機的資産にとどまらず、日常経済や伝統的金融領域においても実用的な役割を担いつつあることを示しています。

今後も、規制の進展や市場ニーズの変化を注視しつつ、仮想通貨の実需に関する具体的なユースケースは世界各地でさらに増加していくと予想されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.72 円)

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Source:ニューヨーク・タイムズ報道
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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