玉木代表、ステーブルコイン政策支援を明言
国民民主党の玉木雄一郎代表は2025年8月18日、自身のX(旧Twitter)で、日本円ステーブルコイン「JPYC」の発行者・JPYC社が金融庁承認を得る予定と報じられたことを受け、ステーブルコインを政策面で支援する考えを表明しました。
玉木代表は同投稿で、SEC(米国証券取引委員会)が発表した新構想「プロジェクト・クリプト」にも触れ、国民民主党として日本版の推進に取り組む方針を示しました。
デトックス明けにいきなり長文投稿申し訳ありません…
今朝の日経新聞一面にも出ていましたが、日本円建てステーブルコインの発行承認がされる見込みとのことです。…
— 玉木雄一郎(国民民主党) (@tamakiyuichiro) August 18, 2025
SECのプロジェクト・クリプトは、暗号資産市場の規制近代化やユーザー権利保護を目的とした包括的政策で、ブロックチェーン時代に対応したルール整備やセルフカストディ(自己管理)権の法的保護などを盛り込んでいます。
同氏はこうした米国の動きを踏まえ、日本でも暗号資産やブロックチェーン産業の発展を促す制度改革が不可欠だとの認識を示しました。
玉木代表の発表に対し、JPYC社の岡部典孝代表取締役もX上で反応しており、コミュニティからは期待の声が寄せられています。
「JPYC」金融庁が承認方針
玉木代表が語るステーブルコインの可能性と課題
玉木代表は今回の投稿で、日本円建てステーブルコインが持つ可能性と制度上の課題について具体的に言及しました。
円建てステーブルコインが日本経済に与える潜在的効果
まず、ステーブルコインは「ブロックチェーン技術を活用することで、より低コストで効率的な送金・決済が可能になる」として、その利点を強調しています。
ステーブルコインは金融分野にとどまらず、貿易や日常決済、海外旅行といった実生活の場面でも新たな利便性を生むと述べています。
また、円建てステーブルコインの普及は日本円資産の国際利用を促進し「円の信認向上や日本国債の需要増につながる可能性がある」と指摘しています。加えて、日本経済や財政への寄与に期待を示しました。
GENIUS法が示すステーブルコイン規制の国際基準
玉木代表は、米国で7月に制定されたステーブルコイン規制法「GENIUS法」にも言及し、海外で法整備が進むなか日本も対応を急ぐ必要があるとの認識を示しました。
米国では同法によってステーブルコイン発行者に関する規制が明確化され、パーミッション型の発行や裏付け資産の厳格な管理が義務化されています。
玉木代表は、日本でもこうした動きを参考にし、ブロックチェーンや暗号資産分野で主導権を確保するため積極的な政策対応が必要だとの姿勢を示しました。
「100万円の壁」が暗号資産利用に及ぼす影響
一方で、利点だけでなく制度面の課題にも触れ、日本の現行制度にある「1回あたり100万円の送金上限」に言及しました。
現在、日本で発行予定の多くのステーブルコインは資金移動業の枠組みに分類され、1取引あたりの送金上限が100万円に制限されています。いわゆる「100万円の壁」と呼ばれる規制です。
玉木代表はこの規制を念頭に「日本はとにかく『壁』だらけ」と述べています。技術の進展が制度上の制約によって本来の効果を発揮できない可能性があるとして、警鐘を鳴らしました。
国民民主党は従来から「103万円の壁」撤廃などの制度改革を主張しており、今回の発言もその方針に沿ったものとみられています。
規制緩和で広がる日本発ステーブルコインの可能性
玉木代表は、ステーブルコインに関する「100万円の壁」について、政策面でのサポートを通じて制約の緩和や撤廃に取り組む意向を示しました。
実際、JPYC社が取得したとされている登録は「第二種資金移動業」であるため、1件100万円以下の送金制限が課されています。
将来的に規制緩和が実現すれば、円建てステーブルコインの活用は大口決済や多様なユースケースへ一段と広がる可能性があります。
玉木代表の支援表明は、制度改革を後押しし、日本発のステーブルコインを使いやすくする狙いを示した格好です。
アジアではステーブルコインが台頭
暗号資産後進国化が進む日本の現状と政策動向
暗号資産利益課税55%、海外との競争力低下鮮明に
2025年8月現在、日本の暗号資産を巡っては、税制と規制緩和の遅れが依然として大きな課題となっています。
日本では個人の暗号資産取引益に最大55%の累進課税が適用され、株式やFXの一律20%(申告分離課税)と比べて相対的に税負担が重くなっています。
こうした税制上の差異については、政府内でも「日本の競争力が海外より相対的に劣後している」との指摘があり、業界団体や有識者は長年にわたり暗号資産税制の見直しを要望してきました。
実際、自民党は2024年末、2025年度税制改正大綱への緊急提言として「暗号資産の利益を申告分離課税とする案」が盛り込まれています。
この動きは2026年度の実現を目標に進められていますが、いまだ制度化には至っていません。そのため、個人投資家の負担軽減や海外水準への税率見直しも実現しておらず、日本の投資家に不利な状況が続いている状態です。
トークン上場制限、日本市場から資本流出が加速
規制面でも、日本はかつて世界に先駆けて暗号資産を合法化し取引所登録制を導入した一方、その後の対応が遅れた結果、国際的な立ち位置が低下しています。
日本の暗号資産交換業者では新規トークンの上場審査が厳格で、取り扱い銘柄は海外と比べて少数にとどまっています。
そのため、投資機会を求める個人や資金が、規制の柔軟なシンガポールなど海外市場へ流出する傾向が指摘されています。
専門家からは「日本はここ半年で一気にブロックチェーン後進国になってしまった」との厳しい声も上がっています。これにより、優秀な技術者や企業が国外に活躍の場を求める懸念が強まっています。
政府答弁で浮き彫りになる暗号資産政策の遅れ
政府側もこうした状況を打開すべく動きを見せています。2025年1月の国会答弁で加藤勝信財務相は「同年6月末までに暗号資産の税制を含む規制整備の結論を出す」と明言し、金融庁による制度検証と見直し作業を進める方針を示しました。
この答弁は、自民党内で指摘されてきた「暗号資産の税制や規制の遅れが日本の国際競争力を阻害している」という課題に対応したものです。
また、石破茂首相も「暗号資産を含むWeb3の健全な発展は極めて重要」と述べ、利用者保護とイノベーション推進の両立を目指す考えを示しました。
暗号資産後進国化の危機と政治の打開策
しかし、6月末までの結論とされた暗号資産税制の見直しについて、現在まで具体的な変更は発表されていません。依然として結論待ちの状況が続き、業界からは対応の遅れに対する失望や不満の声が広がっています。
日本は「暗号資産後進国」に成り下がっているとの指摘もあり、国際競争力の低下が鮮明になっています。
一方で、玉木代表が提唱する日本版「プロジェクト・クリプト」のように、政策強化を後押しする政治的な動きは停滞打破に向けた一歩との見方もあります。
税制改正や規制緩和を含め、迅速かつ大胆な改革をどこまで実行できるかが、日本の暗号資産分野の競争力回復の鍵を握るとして注目を集めています。
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Source:玉木代表X投稿
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