高品質小麦のトークン「fWHEAT」を発行
現実世界資産(RWA)のトークン化に関するサービスを提供している「Finest Investment」は2025年9月1日に、カルダノ(Cardano/ADA)のブロックチェーン上で高品質小麦をトークン化して「fWHEAT」というトークンを導入する試験的プロジェクトを開始したことを発表しました。
このプロジェクトは「Finest、NMKR、Agricola Magdalena SRL、gf Consulting Group、Square B」など複数の企業が、カルダノ財団LATAMの事業開発支援を受けて実施するもので、アルゼンチン・コルドバに保管されている高品質小麦をカルダノ上でトークン化すると報告されています。
fWHEATトークンは、1メートルトン(1,000kg)の高級小麦に対する現金同等の請求権を表すデジタル証書であり、今回の試験発行では100トークンを発行すると説明されています。
これらのfWHEATトークンは、アルゼンチン・コルドバ州に保管される高級小麦で完全に裏付けられているだけでなく、保険もかけられ、隔月ごとに独立した監査が行われます。さらに、監査証明書はカルダノブロックチェーン上でハッシュ化することによって、改ざん不可能な形で透明性も確保するとのことです。
Today, we are proud to announce a brand new pilot project on finest:
fWHEAT, the tokenization of premium-grade wheat in Córdoba, Argentina.
The pilot issuance covers 100 tokens, which are fully collateralised, insured, and subject to bi-monthly independent audits, with… pic.twitter.com/FUoxne5XVI
— finest (@finest_tokenize) September 4, 2025
本日、finestにおける全く新しいパイロットプロジェクトを発表できることを誇りに思います。
fWHEAT —— アルゼンチン・コルドバにおけるプレミアムグレード小麦のトークン化です。
今回のパイロット発行では100トークンが対象となり、すべてが完全に担保され、保険付きで、隔月ごとに独立した監査を受けます。さらに、監査証明書はオンチェーンにハッシュ化され、透明性が確保されます。
この実現にあたり、以下のパートナーからなるコンソーシアムを結成しました:
- Agrícola Magdalena
- gf Consulting Group
- Square B, NMKR
- カルダノ財団のRafael Fraga氏
10カ月間のステーキングで10%の利回り
fWHEATトークンでは10カ月間のステーキングで10%の利回りを得ることも可能で、満期時には市場価格で償還することもできるとされています。なお、早期償還も可能ですが、その場合は一定の割引が適用されるとのことです。
価格の基準として参照されるのは、アルゼンチン国内で利用される小麦のベンチマーク価格「Pizarra」です。トークンはウォレット間で送金したり、法令遵守済みの二次市場で取引することが可能です。
なお、この仕組みはスイス法に基づいた法人間のRWAトークン化取引として構築されているため、発行や償還の際にはKYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング防止)の要件が課せられます。
今回の試験的プロジェクトはブロックチェーンを現実のコモディティ金融に応用する実証であり、法人間のプライベート取引に限定されているため、一般投資家が参加できる公開募集ではないものの、「農産物をブロックチェーン上で金融資産として扱う新しい事例」として農業分野や金融分野で関心を集めています。
fWHEATトークンを導入することによって、決済の迅速化・コンプライアンスの自動化・透明性の向上などを実現できると期待されており、農業分野における新たな資金調達の可能性も注目されています。
従来のコモディティ契約との違い
従来、農産物をはじめとするコモディティ(商品)は先物契約や証券化商品を通じて金融市場に組み込まれてきました。しかし今回のfWHEATトークンは、ブロックチェーン技術による透明性・プログラム可能なコンプライアンス・高速な決済を実現しています。
特に、監査情報がオンチェーンで公開される点は、従来の契約では得られなかった信頼性をもたらします。また、ステーキングによる利回り設計は投資商品の魅力を高める仕組みであり、農業資産を用いた新たな資金調達モデルとして期待されています。
今回の発行はあくまでパイロット版ですが、将来的には規模拡大や他の農産物への応用も視野に入っています。RWAトークン化は2024年以降、暗号資産業界で大きなテーマとなっており、不動産や証券に加えて農業資産まで対象が広がりつつあります。
カルダノ財団は今回の支援を通じ、ラテンアメリカ地域における実需利用を拡大する方針を示しました。アルゼンチンは農業大国であり、今後はトウモロコシや大豆など他の作物もトークン化の対象となる可能性があります。
fWHEATプロジェクトは、ブロックチェーン技術が単なる投機的な暗号資産にとどまらず、農業や実体経済の資金循環を支える仕組みへと進化していることを示しています。
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source:Finest発表
サムネイル:AIによる生成画像



























