世界第2位の運用会社バンガード、仮想通貨ETFを模索
2025年9月27日、米国の資産運用大手バンガード・グループが、証券仲介サービスを利用する顧客に対し、第三者が提供する仮想通貨ETFへのアクセスを認める方向で検討していることが米仮想通貨メディア「Crypto in America」の報道で明らかになりました。
バンガードは運用資産総額が約10兆ドル(約1,500兆円)に及ぶ世界第2位の運用会社で、これまで仮想通貨には慎重な姿勢を貫いてきたことで知られています。
特にビットコイン(BTC)については「未成熟な資産クラス」と位置付け、2024年には価格変動の大きさを理由に、自社プラットフォームでのビットコイン現物ETFの提供を見送っていました。
しかし最近は、顧客からの強い要望や規制環境の変化を受けて協議を開始したとされ、自社ブランドのETFを立ち上げるのではなく、他社が運用する一部の仮想通貨ETFを選定して取り扱う方向で慎重に検討していると伝えられています。
なお、記事執筆時点では正式発表や提供開始時期、対象となる具体的なETF銘柄は明らかになっていません。
BTC最大保有企業ストラテジーの筆頭株主に
否定派バンガードの仮想通貨ETF戦略転換と規制環境の変化
顧客需要と規制緩和が後押しするバンガードの方針転換
バンガードはこれまで、仮想通貨に対して極めて保守的な姿勢を取ってきました。
同社は価格変動リスクなどを理由に仮想通貨を長期投資に不適切とみなし、自社の証券仲介プラットフォームではビットコイン現物ETFを含む仮想通貨関連商品の取り扱いを禁止していた経緯があります。
こうした中で浮上したバンガードの方針転換報道は、業界内でも大きな注目を集めています。関係者によれば、その背景には顧客からの強いデジタル資産需要に加え、米国の規制当局による姿勢の変化も影響しているとされています。
トランプ政権発足以降、金融当局は仮想通貨に対してより前向きなアプローチを取っており、SEC(米証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)が共同で規制の整合を図る動きに乗り出すなど、監督当局の間で協調路線が強まっています。
規制環境の追い風によりデジタル資産市場が制度化・成熟しつつあることが、バンガードにとっても戦略見直しの後押しとなったとみられます。
自社ETFは否定、他社ETFの取り扱いを模索する動き
バンガードは、顧客に他社ETFへの投資機会を提供する方向を検討しており、自社でビットコインETFのような商品を新規に立ち上げる計画はないとしています。
実際、同社のサリム・ラムジCEOはETF.comのインタビューで「他社の後追いで自社に仮想通貨ETFを設立する考えはない」と明言しています。
ただし、その際ラムジCEOは自社プラットフォーム上で第三者の仮想通貨ETF取引を解禁する可能性については言及を避けており、市場ではこの発言が「将来的な提供余地を残したサイン」と受け止められていました。
投資家に支持される仮想通貨ETFの成長
SoSo Valueのデータによると、ビットコインおよびイーサリアム(ETH)の現物ETF市場全体では、2024年以降に流入した資金が合計700億ドル(約10兆円)を超え、現在の総運用資産は1,500億ドル(約22兆円)規模に達しています。
こうした背景を踏まえ、ETF専門家であるネイト・ジェラシ氏は「他社が仮想通貨ETFの有効性を示せば、バンガードがいつまでも抵抗を続けられるわけではなく、時間の問題だ」と以前から指摘していました。
今回の動きは予想された展開だとの見方が広がっており、業界内では「保守派の巨人」だったバンガードが重い腰を上げ始めたことで、市場拡大に向けた大きな転換点になる可能性があるとの声も上がっています。
XRP・SOL・XLM現物ETFが誕生
SEC規制緩和で加速する米国仮想通貨ETF市場
9月17日にはSECが新たなETF基準を導入し、ビットコイン以外のアルトコインを対象とするETFが相次いで承認されるなど、市場環境は大きく変化しています。
ドージコイン(DOGE)やエックスアールピー(XRP)の現物ETFが米国市場で初めて上場し、初日から数千万ドル規模の取引高を記録するなど、投資家の関心は急速に広がっています。
バンガードの慎重な方針転換も、こうした市場拡大の流れと規制緩和を背景とした動きの一環とみられ、今後の正式発表に注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=149.51 円)
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Source:Crypto in America報道
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