メタマスク、新補償サービスを正式導入
自己管理型の人気仮想通貨ウォレットMetaMask(メタマスク)は2025年12月2日、対象となる取引による損失を補償する有料サービス「トランザクション・シールド」を開始しました。
発表によると、月額9.99ドルまたは年額99ドルで最大2週間の無料トライアルが提供され、契約者は24時間365日の優先サポートを利用することができます。
また、加入者は月間最大100件の取引について合計で最大1万ドル(約155万円)までの損失補償を受けられます。
補償対象には、ユニスワップ(Uniswap)でのトークンスワップや、オープンシー(OpenSea)でのNFT(非代替性トークン)取引などDeFi(分散型金融)領域での操作も含まれます。
なおこの補償は、メタマスクのセキュリティチェックで「安全」と判定されたトランザクションのみが対象とされています。
トークン・特典など様々な報酬
メタマスクDeFi損失補償「トランザクション・シールド」
メタマスクの新機能と補償の仕組み
メタマスクは従来より、コントラクトの安全性チェックや過去の取引履歴分析を通じて危険なトランザクションを検知し、ユーザーに警告を表示するセキュリティ機能を提供しています。
発表によると、新サービスの中核機能「トランザクション・プロテクション」では、セキュリティ検査で「安全」と判断されたトランザクションに限り、実行後に発生した損失を最大1万ドルまで補償します。
同サービスは現在メタマスクのブラウザ拡張版で利用可能で、モバイル版は近日中に対応予定です。
対象ネットワーク・取引とログイン時の確認機能
補償対象となるブロックチェーンネットワークは、イーサリアム(ETH)、アバランチ(AVAX)、アービトラム(ARB)、ポリゴン(POL)、オプティミズム(OP)、セイ(SEI)、BNBスマートチェーン(BSC)、リネア(LINEA)など多岐にわたります。
対象となる取引には、Uniswapや1inchでのDeFiトークンスワップやレンディング、OpenSeaやRaribleなど信頼できるマーケットプレイスでのNFT取引、アーベ(AAVE)やLidoなどの主要DeFiプロトコルでの流動性提供、認証済みスマートコントラクトによるエアドロップ受領が含まれます。
メタマスクログイン時に表示されるトランザクション確認画面でも、シールド対象かどうかが明示される設計になっています。
メタマスク補償の対象外となる損失例
補償対象外となるケースとして、次の例が報告されています。
- ウォレットの侵害
例:フィッシング詐欺、マルウェア感染、シークレットリカバリフレーズの漏洩や不適切な秘密鍵管理による資産流出 - 投機的または経済的損失
例:トークンの価値下落や流動性不足などに起因する損失 - プロトコルの不正侵入
例:メタマスクの管理外にあるDeFiプロトコルやスマートコントラクトのハッキングによる損失
発表によれば、損失が発生した場合、ユーザーは21日以内にメタマスク上で補償請求を行う必要があり、承認されると15営業日以内に指定ウォレットにmUSDなどドル建てステーブルコインで返金されます。
メタマスク、ソーシャルログイン機能
ハッキング被害拡大と補償サービスの意義
今回の新サービスはメタマスクにとって新たな収益源となるだけでなく、資産損失に対する一定の保証を設けることで個人ユーザーの心理的ハードルを下げ、DeFiやNFT取引への参加拡大につながると期待されています。
セキュリティ企業CertiKの調査によれば2025年上半期だけで仮想通貨分野におけるハッキング被害総額は25億ドル(約3,880億円)に上ったと報告されています。
こうしたハッキング被害のリスクが拡大する中で、メタマスクの補償サービスは仮想通貨コミュニティに好意的に受け入れられています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.20 円)
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Source:MetaMask公式発表
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