ビットコインがポンジ・スキームであろうとなかろうと、誰もが参加すべきである
2021年5月にビットコイン(Bitcoin/BTC)は「ポンジ・スキーム」と呼ばれました。著名な経済学者であり数学者でもあるナシーム・ニコラス・タレブ氏がビットコインを揶揄したのです。タレブ氏はこの発言によってビットコインファンと対立し、その後もビットコインコミュニティをかき乱し、Twitterのアカウントを非公開にしました。また、今年5月にビットコインが約50%下落した後、ソーシャルブックマークサイト「Pinboard」の所有者であるMaciez Ceglowski氏は、ビットコインを「巨大なポンジ・スキーム」と表現し、最終的に多くの人々の心を傷つけました。
ノーベル賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン氏でさえ、2018年の時点でビットコインについて『リバタリアンイデオロギーの繭の中にあるテクノミシズムに包まれたバブルだ』と評しています。
ちなみに、史上最大のポンジ・スキームは、200億ドル規模の資産を詐取した悪名高きバーニー・マドフ氏による金融詐欺でしょう。仮にビットコインをポンジ・スキームと呼ぶとすると、ビットコインの作成者であるサトシ・ナカモトは世界の最重要指名手配の対象となり、20億ドルのポンジ・スキームを運営したマドフ氏が150年の懲役を宣告されたように、サトシ・ナカモトは1000年以上の懲役を科されるべきだと思われます。なぜなら、ビットコインの時価総額が1.5兆ドル超に達した後、1兆ドルの大台を割り込んで暴落したからです。
少しペースを落として「ビットコインがポンジ・スキームである」という主張の反証を示すべく、概念の分解をしていきましょう。これからの考察を聞いた後でもなお、ポンジ・スキームと言えるのでしょうか。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーである『ブラック・スワン』の著者や、数多くのノーベル賞受賞者を輩出する米アイビーリーグの学者が「ポンジ・スキーム」と言ったからといって、その真偽が決せられるとは限りません。彼らの主張の価値判断とは何なのでしょうか。
彼らの主張を覆すには仮想通貨に係る個別具体的な説明が必要でしょう。そのために以下では「米国証券取引委員会(SEC)が定義する典型的なポンジ・スキーム、サトシの著作、レイ・ダリオやチューダー・ジョーンズなどの人気ヘッジファンド・マネージャー、喫緊のインフレを回避するための動き、ビットコインがインフレ問題を解決していること、国境内で商品やサービスの交換をするためにビットコインを法定通貨として認めたエルサルバドルに倣うこと」などを紹介します。
※この記事は暗号資産取引所「Overbit」からの寄稿記事です。本記事の見識や解釈は著者によるものであり、BITTIMESの見解を反映するものとは限りません。
米国証券取引委員会(SEC)によるポンジ・スキームの定義
画期的な判例として位置づけられるSEC対トレンドン・シェーバーズ(Trendon Shavers―ビットコイン売買による詐欺事件で450万ドル詐取)氏のケースで、SECはポンジ・スキームを定義付けし、ポンジ・スキームの危険性を共有しました(ビットコイン投資ファンドを装ったポンジ・スキームも、勿論免除されていません)。
- リスクをほとんど、あるいは全く伴わない高い投資リターン
- 過度に安定したリターン
- 登録が完了していない投資
- 認可されていない販売者
- 秘密裏に行われる、または複雑な戦略や手数料体系
- 最低限の投資家たる資格がない
- ペーパーワークの課題
- 支払いを受け取りが難しい
- 共通の信頼できる人を介している
ビットコインで本当に「リスクをほとんど、あるいは全く伴わずに、高い投資収益を得ること」を約束できるのでしょうか?
収益性としてのビットコインは、もともとサトシが考えていた理念とは大きく異なります。10年以上姿を表さないサトシの文章をインターネットで調べてみると、金銭的な利益についてはほとんど語られていないことがわかります。サトシが書いていたのは「技術的な側面や非中央集権的な仕組みについて」または「現代の銀行システムの問題点などについて」でした。
一言で言えば、サトシはいつも、プログラマーが書くコーディングを彷彿とさせるような文章を書き、まれに経済学者のような文章を書いていました。彼がセールスマンのような誇大な論調の文章を書かなかったことは、誰もが認めるところであります。ポンジ・スキームの多くは、マドフ氏や映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のモデルとなったジョーダン・ベルフォート氏のような、有能で巧妙なセールスマンによって運営されています。
サトシがビットコインの潜在的な価値や価格について語ったのは「その資産がどのように分類されるのか」という点に限っていました。インフレであれデフレであれ、サトシは常にアカデミックなスタイルで主張を展開し、ビットコインの価格や将来の価値について、絶対的な事実を述べることはなく、プロジェクトがどのようになるかについて合理的な懐疑心を示していました。「Don't Trust but Verify(信じるな、確認せよ)」サトシ・ナカモトの言葉はすべてアーカイブされているので、ぜひご自身で確かめてみてください。誰でも閲覧することができます。
合理的な経済学者のような世界観を持つサイファーパンクのサトシが姿を消す前に、彼のイノベーションに関わる人々の金銭的な利益について伝えることはほとんどなかったという観点から見れば、相対している秘密主義(多くの詐欺師が採用しているもう一方の側面)に目を向けることができます。
SECは、ポンジ・スキームを「秘密主義的で複雑な戦略と手数料体系」であると定義していますが、ビットコインの場合は違います。ビットコインの核心は『オープンソースである』ということです。誰でもフルノードを構築して、ブロックチェーン全体とマネーサプライ全体を監査することができます。ビットコインは、ウェブサイトや重要なデータセンター、企業構造にも依存していません。これは、ポンジー氏やバーニー・マドフ氏がやったことに似ていません。誰もがネットワークの資金供給にスムーズにアクセスでき、社会的なコンセンサスなしにはアップグレードできないオープンな台帳システムを通じて、ビットコインはこの分野において、根本的に透明であることを示しています。
ビットコインが誕生した初期は、監視機関の取り締まりによって矢継ぎ早に規制されました。ビットコイン誕生から12年が経過した今、注意しなければならないのは、ジェイ・クレイトン前SEC委員長が「ビットコインは証券ではない」と発言した記録があることです。これはつまり、ビットコインは証券取引法に抵触し得ないということなのです。それなのに、なぜ有識者でさえも、ビットコインをポンジ・スキームと呼ぶオーソドックスな信念を、いまだにその真偽を理解しようともせずにそのまま吐き出しているのでしょうか?しかしビットコイン・ネットワークは、彼らがどう考えようと気にしていません。我々が信じているのは、純粋な数学だからです。
トップCFO達がビットコインを投資対象として支持
トップCFOたちは「巨大なポンジ・スキーム」の味方をするでしょうか?Intertrust Global社の最近の調査によると、CFO達の98%が「2026年までに自分のヘッジファンドがビットコインやアルトコインに投資すること」を望んでいるそうです。ビットコインが本当にポンジ・スキームなのだとしても、レイ・ダリオ氏やポール・チューダー・ジョーンズ氏などのヘッジファンド・マネージャーがビットコインを一番に選んでいる事実があり、将来的に自分のヘッジファンドが仮想通貨に投資することを期待しています。70億ドル以上の純資産を持つチューダー・ジョーンズ氏は最近次のように述べています。
ビットコインは数学であり、数学は何千年も前から存在しています。私は、信頼性が高く、一貫性があり、純粋で汚れのない、100%確実なものに投資するという考え方が好きです。確実なものに投資できるという点で、私にとってビットコインは魅力的です。私はポートフォリオの多様化としてのビットコインが好きです。
まだポンジ・スキームのように聞こえますか?そうだとしたら、ダリオ氏とチューダー・ジョーン氏は確実に世界最大のポンジ・スキームに関わっており、彼らを刑務所に放り込むためにSECは動いていたはずです。ビットコインを大量所有しているダリオ氏は『単なる投機ではない』と述べています。
インフレヘッジとなるビットコイン
ビットコイン推進派は、ビットコイン批判者や仮想通貨に嫌悪感を抱く人々の前で「インフレヘッジとしてのビットコイン」の役割を挙げて主張します。ダリオ氏は5月のインタビューでこのように語りました。
個人的には、債券よりもビットコインの方がいい。
ヘッジファンドのボスがこのような発言をするほど自信がある理由に対してもっとアプローチしなくてはいけないでしょう。
マクロレベルでは、米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシートを見ると、史上最高額を刷っており(新しいお金を刷って経済に5兆ドル以上注入)、金利は低く、米ドルはVIX指数に逆相関して下落しています。しかし、ビットコインのマネーサプライは一貫して一定です。マイニングされるビットコインは2,100万枚しかありえず、そのうち約370万枚はすでに永久に失われているため、将来の総供給量はさらに減少します。
4月時点のインフレ率は4.2%と、FRBの目標である2.2%を大きく上回っています。ダリオ氏は、将来的には「現金はゴミ」となり、現金は主に借り入れのために印刷され、価値はさらに下がり、ビットコインのような資産が安全な避難場所として機能することになると考えています。
新しいパラダイムをリードするエルサルバドル
エルサルバドルは先陣を切って、ビットコインを法定通貨にするビットコイン法を可決しました。世界中の仮想通貨コミュニティが好意をもって見ています。
アルゼンチンやジンバブエ、さらにはナイジェリアのように、現在、通貨危機に悩まされている国も、ビットコイン・スタンダードの採用を検討すべきでしょう。
もしあなたがまだビットコインをポンジ・スキームだと思っているとしても、誰もが参加すべきだと思います。
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