仏金融大手BPCE、仮想通貨取引サービスを開始
フランス第2位の資産規模を誇る大手銀行グループ「BPCE」が、現地時間2025年12月8日から200万人の顧客向けに仮想通貨(暗号資産)の取引サービスを提供開始することが「TheBigWhale」の報道で明らかになりました。
報道によると、BPCEはグループ傘下の銀行アプリを通じて以下4銘柄の売買機能を提供するとのことで、まずは「Banque Populaire」や「Caisse d’Epargne」など4つの地域機関からサービス提供を開始し、2026年初頭までにはグループ全体の機関に提供範囲を拡大する予定だと報告されています。
なお、取引可能な仮想通貨は今後15種類に拡大される予定とも報告されており、仮想通貨投資サービスを利用する場合にかかる費用としては「月額2.99ユーロ(約540円)の口座維持手数料」と「売買ごとにかかる1.5%の取引手数料」が挙げられています。
🟥 Exclusive @TheBigWhale_@GroupeBPCE (Banque Populaire – Caisse d'Épargne), one of the largest French banking groups (12 million clients) and in the European top 10, will launch its crypto investment offering this Monday directly within its customers' banking apps.
This will… pic.twitter.com/OwSdorIIIK
— Grégory Raymond 🐳 (@gregory_raymond) December 6, 2025
🟥 独占情報:TheBigWhale
欧州トップ10に数えられるフランス最大級の銀行グループBPCE(Banque Populaire – Caisse d’Épargne、顧客数1,200万人)が、今週月曜日に顧客の銀行アプリ内で暗号資産投資サービスの提供を開始します。
これはまず、4つの地域支店(特にイル・ド・フランスとPACA)で開始され、2026年初頭までにグループ全体の支店に拡大される予定です。
顧客は当初、BTC、ETH、SOL、USDCへの投資が可能になります。近いうちに、15種類の暗号資産が利用可能になる見込みです。
費用は、月額2.99ユーロのサブスクリプションと、1.5%の取引手数料です。
同行は、暗号資産子会社である「Hexarq」を通じて、欧州の伝統的な金融グループ(BBVA、サンタンデールに次ぐ)として初めて、顧客に暗号資産を直接提供する銀行の1つとなります。
取引所開設にハードルを感じる一般層にメリット
BPCEが仮想通貨取引サービスの提供を開始することによって、対象銀行の顧客は既存の銀行口座から資金を移動させることなく、シームレスに仮想通貨へ投資することが可能となります。銀行アプリ内でこれらの銘柄を直接売買・保有できることは、これまで取引所の開設にハードルを感じていた一般層にとって大きなメリットとなります。
サービスの運営には、BPCEが設立したデジタル資産子会社である「Hexarq」があたります。カストディ(資産管理)や取引実行はすべて銀行グループ内で完結する仕組みとなっており、外部の取引所に資産を預けるリスクを回避したい顧客層にアピールします。
仮想通貨業界でフィンテック系アプリが台頭する中で、BPCEは「銀行の信頼性」と「対面サポート」を強みに差別化を図る狙いがあるとみられます。銀行側は、今回の初期導入フェーズでの利用状況や顧客からのフィードバックを検証した上で、2026年にはグループ全体の1200万人以上の顧客へとサービスを拡大する計画です。
欧州における銀行の仮想通貨参入と市場への影響
今回のサービス開始は、欧州の伝統的金融機関(TradFi)による仮想通貨市場への本格参入を象徴する動きとして注目されています。BPCEによる今回の動きは、欧州連合(EU)における暗号資産市場規制(MiCA)の枠組みが整ったことを受けて、伝統的な金融機関が積極的に市場参入し始めた事例の一つです。
これまで規制の不透明さから参入を躊躇していた大手銀行ですが、MiCAによる明確なルールの整備が、こうした動きを後押ししています。フランスではすでにソシエテ・ジェネラル傘下の「SG Forge」がステーブルコインの発行などで先行していましたが、リテール(個人)顧客向けに銀行アプリで直接的な売買機能を提供するのは、大手銀行グループとしてはBPCEが先駆的な存在となります。
銀行口座と直結した投資環境は、資金移動の手間を省くだけでなく、税務申告のサポートや相続手続きの簡素化など、銀行ならではの付加価値を提供する可能性があります。また、今回対象銘柄に含まれたソラナ(SOL)などのアルトコインにとっても、銀行経由での新規マネー流入はポジティブな要因となります。
特に、技術的な知識を持たない一般投資家が、普段利用している銀行アプリを通じて手軽に分散投資を行えるようになることは、仮想通貨のマスアダプション(大衆化)に向けた重要なマイルストーンと言えるでしょう。今後は他の欧州大手銀行が追随する可能性もあるため、近い将来には金融機関によるデジタル資産の取り込み競争が激化する可能性があるとも予想されます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ユーロ=180.64円)
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