「金より優れた資産」ビットコイン支持を強調
ステーブルコインUSDTを発行するテザー（Tether）社のパオロ・アルドイノCEOが2025年5月29日、同社が年内にも世界最大のビットコインマイナーになることを目指す方針であることを明らかにしました。
同氏は米国ラスベガスで開催されているビットコインカンファレンスで「年末までにテザー社が世界最大のビットコインマイナーになることは、もはや現実的な目標だ」と強い自信を見せています。
また「金は不完全だがビットコインは完璧だ」と述べ、テザー社の堅調な業績とビットコインへの深いコミットメントを強調しました。
さらに「昨年は約130億ドル（約1.9兆円）の純利益を計上し、現在約1,200億ドル（約17.3兆円）相当を米国債で運用している」と語り、同社が保有するビットコインは10万BTCを超え、金（ゴールド）も50トン以上にのぼることを明らかにしました。
アルドイノ氏は、すでに十分なビットコイン保有量を誇る同社がマイニング事業に乗り出す理由について「テザー社はビットコインを本気で支持しており、ネットワークの安定維持を助けるためにもマイニングに取り組んでいる」と説明しています。
米政府がマイニング産業支援を明言
テザー社の世界最大ビットコインマイナー化へ向けた戦略
南米での大規模マイニング拠点建設
テザー社は近年、ビットコインマイニング分野への大規模投資とエネルギー戦略を次々と打ち出しています。
2023年5月にはウルグアイで再生可能エネルギーを活用したビットコインマイニング事業を開始し、同年11月にはテザー社が半年間で約5億ドル（約720億円）を投じて世界最大級のマイニング企業を目指す計画を発表しました。
アルドイノCEO自身も当時「マイニング事業は慎重に経験を積みながら成長する分野であり、急いで世界一を目指すつもりはない」と述べつつ、各国で段階的に事業を拡大する意向を示しています。
出資と提携による設備拡張
こうした設備投資を支えるため、ドイツを拠点とするビットコインマイニング企業ノーザンデータ社と戦略的提携を結び、約6億1,000万ドル（約878億円）の信用枠を提供しています。
さらに2024年6月には、大手マイニング企業ビットディア（Bitdeer）へ最大1億5,000万ドル（約216億円）を出資し、株式取得を通じてパートナーシップを強化すると発表しました。
再生可能エネルギー戦略とUSDTの成長
エネルギー戦略では、新部門「Tether Energy（テザー・エナジー）」を立ち上げて再生可能エネルギーの開発に力を入れており、ウルグアイでは発電量の98%以上を占める風力や水力の電力を使ったマイニング拠点を稼働させました。
アルドイノCEOは「ビットコインの力とウルグアイの再生可能エネルギー能力を活用することで、テザー社は持続可能で責任あるビットコインマイニングへの道をリードしている」と述べ、地球環境とネットワーク健全性の両立を図る姿勢を強調しています。
これらのマイニングとエネルギー戦略により、テザー社のステーブルコイン「USDT」の発行残高は過去最高の1,520億ドル（約21.6兆円）規模に達しており、ビットコイン採掘事業への参入は単なる収益源拡大にとどまらず、自社エコシステム全体の強化と分散化につながる戦略だと位置付けられています。
アルドイノCEOの「金より完璧なビットコイン」という信念と世界最大のマイニング企業を目指すビジョンは、金融業界や仮想通貨業界から高い関心を集めており、今後の動向が世界中から注目されています。
※価格は執筆時点でのレート換算（1ドル=143.90円）
マイニング関連の注目記事はこちら
Source：Bitcoion 2025
サムネイル：AIによる生成画像
