米国、戦略的ビットコイン準備金を本格始動|ハインズ事務局長が構想を語る

米国、戦略的ビットコイン準備金を本格始動|ハインズ事務局長が構想を語る(U.S. begins strategic Bitcoin reserves initiative, says Director Hines)
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米国、戦略的ビットコイン政策を始動

2025年6月27日、大統領デジタル資産評議会のボー・ハインズ事務局長は、米国政府がこれまで押収・保有してきたビットコイン(BTC)を、新たに創設された戦略的ビットコイン準備金に移管し始めたことを明らかにしました。

この発言は、米国上院の銀行委員会公聴会で、トランプ大統領が3月7日に署名したデジタル資産に関する大統領令の実施状況を問われた際の答弁で明らかになったものです。

ハインズ氏は「この大統領令により、連邦政府の各機関には仮想通貨資産の保有状況を報告する義務が課された」と述べ、その上で、財務省は各機関からビットコインを含むデータをすでに受け取っていると説明しました。

これらの報告には、法執行機関が過去数十年にわたり犯罪収益として押収したビットコインの情報も含まれています。

ハインズ氏「準備金インフラ構築へ」

ハインズ事務局長は公聴会で、戦略的ビットコイン準備金の構築に向けた次のステップとして、実際のインフラ整備や運用体制の確立に着手していることを明らかにしました。

同氏は「多くの部署が何らかの形でビットコインを保有していた。今後は準備金制度を確立し、それを支えるインフラの構築を進めていく段階に入る」と語りました。

なお、政府内で集計されたビットコイン保有状況の監査報告書について、公開義務がないものの、ハインズ氏は必要に応じて公表を検討する考えを示しています。

ビットコインは国家戦略資産と位置づけ

トランプ政権の仮想通貨戦略について、ハインズ氏は「ビットコインをデジタルゴールドと捉えてきた。米国にとって可能な限り多くのビットコインを確保することが国益にかなう」と述べ、戦略的備蓄資産としての重要性を強調しました。

同氏はまた「この取り組みは納税者に一切負担をかけることなく、財政中立的な方法で実施されなければならない」と述べ、追加予算を伴わずに準備金を拡充する姿勢を示しました。

ハインズ氏は今年4月のインタビューで、追加予算を使わずにビットコインを取得する手段として、関税収入の活用を検討していると述べています。

さらに、政府が保有する金(ゴールド)を市場価格で再評価し、その含み益を購入資金に充てる構想も明らかにしていました。

こうした予算中立の取り組みにより、国民への負担を避けつつ戦略的ビットコイン準備金を拡充する手法が官民で模索されています。

また、公聴会でハインズ氏は出席議員に対し「創造的な同僚との協力により、速やかに具体策を実行に移せる」と述べ、議会との連携を通じてビットコイン取得計画を前進させる姿勢を示しました。

コインベースCEOらが支持を表明

こうした米政府による戦略的ビットコイン準備金構想の発表を受け、仮想通貨業界からは支持の声が上がっています。

大手取引所Coinbase(コインベース)のブライアン・アームストロングCEOや、ストラテジー(旧マイクロストラテジー)共同創業者のマイケル・セイラー氏ら業界の著名人は、米政府のビットコイン準備金創設の動きを「仮想通貨業界にとって歴史的な瞬間」と評価しています。

仮想通貨業界では、米国の方針が他国の政策転換を促す可能性があるとの見方もあり、各国政府の動きに対する関心が高まっています。

米国で進む仮想通貨の制度整備

米国では、ビットコイン準備金の制度設計と並行して、仮想通貨に関する規制法案の整備が急速に進められています。

ステーブルコイン規制法案が前進

2025年6月18日、米上院本会議は、米ドル連動型ステーブルコインに包括的な規制を導入する「GENIUS法案」を賛成68票・反対30票の超党派多数で可決しました。

同法案では、ステーブルコイン発行体に対し、米ドルなどの流動性資産による1対1の準備金維持や、月次での準備金内訳の開示が義務付けられます。これにより、仮想通貨業界にとっては大きな制度改革となる見通しです。

今後は下院での可決とトランプ大統領の署名を経て、正式に法律として成立する見通しとなっています。

ハインズ事務局長も「8月までにステーブルコイン法案を成立させたい」と表明し、政権全体で早期成立に向けた取り組みを強化する方針を示しています。

ビットコイン蓄積へ向けた法整備

仮想通貨市場全体を対象とする規制枠組みを確立する「デジタル資産市場透明性法案(CLARITY法案)」については、具体的な立法スケジュールが提示されています。

同法案は、8月の議会休会前に上院へ提出され、9月第1週に委員会審議が開始され、9月末までの成立を目指すとされています。

仮想通貨政策担当のデイビッド・サックス氏は、上院銀行委のティム・スコット委員長やシンシア・ルミス議員らの発表を引用し「7月にGENIUS法案が署名され、CLARITY法案が上院へ提出される。9月末までに法整備が完了する見通しだ」とコメントしました。

この取り組みにはトランプ大統領も支持を表明しており、米国における包括的な仮想通貨制度の確立へ向けた動きが加速していることを示しています。

なお、ルミス上院議員は、まずステーブルコイン法案とCLARITY法案の成立を優先すると表明しています。その上で、ビットコインの追加購入を正式に認可する「ビットコイン蓄積法(仮称)」の検討に入る方針を示しました。

この方針により、まずは規制基盤を整備したうえで、国家によるビットコインの追加取得を可能にする法的枠組みが構築されることになります。

米国では、連邦政府だけでなく州レベルでもビットコイン準備金に関する取り組みが拡大しています。今後も連邦政府および各州の仮想通貨政策には、国内外から大きな関心が寄せられています。

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Source:ボー・ハインズ氏動画
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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