ドージコインが次のターゲットに?Qubicがモネロ51%攻撃後に新たな計画を発表

ドージコインが次のターゲットに?Qubicがモネロ51%攻撃後に新たな計画を発表(Qubic reveals new plans after Monero 51% attack, raising concerns about Dogecoin as the next target)
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コミュニティ投票でドージコインが新たな対象に

AIを活用するブロックチェーンプロジェクト「Qubic(クビック)」の創設者セルゲイ・イヴァンチェグロ氏は2025年8月18日、コミュニティ投票の結果に基づき、次のマイニング検証対象として仮想通貨ドージコイン(Dogecoin/DOGE)を選定したことを明らかにしました。

この決定は、12日に行われたモネロ(Monero/XMR)への51%攻撃の試行に続くもので、投票ではドージコインが300票以上を集め、他候補のZcash(ZEC)やKaspa(KAS)を上回ったと報告しています。

さらにイヴァンチェグロ氏は「ドージコインへの実際の攻撃は行わない」と強調し、今後数カ月の開発を経てマイニング(採掘)による収益性の検証に取り組む方針を示しました。

誤解を避けるために:

ドージコインのマイニング準備には数か月の開発期間が必要であり、その間、Qubicプールはモネロのマイニングを行います。

一方でQubic側は、今回のモネロでの試みに関し、自身のマイニングプールが一時的にネットワーク全体ハッシュレートの51%を掌握し、6ブロックを再編成できたと主張しています。

この影響を受け、大手仮想通貨取引所Kraken(クラーケン)はネットワークの安全性に懸念があるとして、モネロの入金受付を一時的に停止する措置を講じました。

これら一連の取り組みについて、Qubicは「ストレステスト(耐久試験)」と位置付け、ネットワークを破壊する意図はなかったと説明しています。

モネロからドージコインへ:Qubicの次なる試み

51%攻撃の仕組みとモネロへの影響

51%攻撃とは、ブロックチェーンのマイニングにおいてネットワーク全体の過半数である51%以上のハッシュレートを掌握し、ブロック履歴の再編や取引承認の停止を可能にする攻撃手法です。

攻撃者がブロック生成の優位を握ることで、正規チェーンの履歴を巻き戻す(再編成する)余地が生じる点に特徴があります。

Qubicは8月上旬にモネロへの「51%攻撃」を試み、複数ブロックの再編成を行ったとされています。しかし独立分析では、同プールの実際の支配率は全体の約3割にとどまっていたとされ、低い比率でも「自己私利マイニング」により類似の効果が生じた可能性が指摘されました。

イヴァンチェグロ氏も「Qubicプールは総ハッシュレートの51%以上を保持していたわけではない」と述べ、この出来事を厳密には「51%攻撃」ではなく「34%攻撃」と表現しました。

最終的に、モネロでは短期的なネットワーク支配が確認され、取引所など関係者に警戒を促す結果となりました。

ドージコインを標的に選んだ決定的理由

今回新たなターゲットとしてQubicコミュニティが注目したドージコインは、Scrypt系の大型PoW(プルーフ・オブ・ワーク)通貨で、ライトコインの同じく「マージマイニング」を採用しています。

マージマイニングによってライトコインと同時に効率的な採掘が可能となり、その結果ネットワーク全体のハッシュレートは高水準で維持されています。

実際、モネロのネットワーク規模が約2.3GH/sであるのに対し、ドージコインのハッシュレートは約2.93PH/sと桁違いであり、セキュリティの強度も高いと報告されています。

さらにドージコインは時価総額が約330億ドル(約4.9兆円)を超える主要通貨で、マイニング報酬規模も大きいとされています。試算によれば、ドージコイン全体のマイナーが得る1日の報酬総額は約230万ドル(約3.4億円)に達し、モネロを大きく上回る水準となっています。

このような経済規模の大きさが、Qubicコミュニティが次の技術検証対象としてドージコインを選んだ背景にあるとみられています。

「攻撃ではなくマイニング実験」Qubicの方針

イヴァンチェグロ氏は自身のXで「Qubicコミュニティはドージコインのマイニングに投票したのであり、攻撃ではない」と強調し、直接的な攻撃ではなく収益性の実験としてマイニングを行う計画だと説明しました。

Qubic側はドージコイン向けのマイニング体制を整備するには数カ月を要するとしており、当面はモネロのマイニングを継続する方針です。

さらに「大量の電力が無益なPoW計算に費やされている。我々にはその電力がAIに必要だ」とも述べ、将来的には「有用なPoW」を通じてAI研究に資するモデルの実現を目指す姿勢を示しています。

モネロ攻撃後に広がるQubic構想の波紋

ドージコインを巡るQubicの構想は現時点で方向性を示した段階にとどまり、具体的な実装やマイニング開始は今後の開発状況に委ねられます。その一方で、こうした動きはマイニング分野における重要な検証事例として関心が集まっています。

モネロでの試みが短期間ながらネットワークや取引所に影響を及ぼした経緯を踏まえ、市場参加者は新たな動きが価格や信頼性に波及する可能性を警戒しています。

仮想通貨マイニングの収益性とAI研究を結びつけるという独自の理念は、従来のPoWモデルに一石を投じるものであり、今後の展開が業界全体の議論をさらに活性化させる可能性があります。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.82 円)

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Source:セルゲイ・イヴァンチェグロ氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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