GrabアプリにWeb3ウォレット機能を統合
東南アジアの配車サービス大手Grab(グラブ)は2025年11月18日、シンガポールのフィンテック企業StraitsX(ストレーツエックス)とWeb3対応ウォレットおよびステーブルコイン決済基盤の共同開発に向けた戦略的MOU(覚書)を締結したと発表しました。
この提携は、ステーブルコインを活用してアジア域内でリアルタイムかつ低コストのクロスボーダー送金(国際送金)を実現することを目的としています。
発表によると、Grabアプリ内にWeb3ウォレットを統合することで、GrabPay加盟店は国内外のユーザーからステーブルコインでの支払いを受けられるようになります。
これにより、利用者と加盟店の双方は従来のキャッシュレス決済と変わらない利便性を享受できるとしています。
仮想通貨の送受金などが可能に
アジアを変える「Grab×StraitsX」のWeb3決済構想
Grabアプリに搭載されるWeb3型ウォレット
StraitsX社の発表によると、今回締結されたMOUに基づき、同社はGrabプラットフォーム内でのWeb3ウォレット機能の技術開発を全面的に支援します。
このWeb3ウォレットはカストディ(資産管理)型で、スマートコントラクトを用いたプログラム可能な決済機能を備え、取引処理や清算を自動化できるとしています。
また各加盟店には、従来の決済システム(Web2)とブロックチェーン上のWeb3決済を統合したウォレットを提供し、GrabPay加盟店が広く普及しているデジタル資産ウォレットを通じて国内外の顧客から直接ステーブルコイン決済を受け入れられるようにする計画です。
Grabが切り拓くアジアのステーブル決済網
StraitsXのティアンウェイ・リウCEOは、東南アジアの決済は依然として断片化されており、コストも高い状況にあるとした上で「Grabの規模と当社のステーブルコイン基盤を組み合わせることで、より速く安価で包括的かつ規制遵守の金融ネットワークを実現します」と述べています。
Grab金融部門責任者のケル・ジェイ・リム氏も「Web3技術によって国境を越えた小口決済が改善され、ユーザーに馴染みのある体験を提供できると考えています」とコメントしました。
なおGrabは今年9月、シンガポールで仮想通貨取引所OKXと連携し、GrabPay加盟店が米ドル連動型ステーブルコイン「USDコイン(USDC)」や「テザー(USDT)」での支払いを初めて受け入れる実証実験を実施しています。
このサービスでは、決済に用いたステーブルコインを即座にシンガポールドル連動のXSGDに変換し、加盟店にはシンガポールドルで支払う仕組みが採用されました。
Grabはこれらの事例を踏まえ、StraitsXとの協業を通じてステーブルコイン決済の本格展開とアジア各市場での相互運用性向上を目指しています。
スーパーアプリ「XMoney」が登場か
ブロックチェーン活用が広がる仮想通貨決済アプリ
2025年11月現在、世界各地で仮想通貨やブロックチェーンを活用した決済アプリの展開が相次いでいます。
米国では、ジャック・ドーシー氏が率いる決済サービス企業Block(ブロック)のモバイル決済アプリ「Cash App」が、ユーザー間でステーブルコインの送受信を可能にする新機能を発表しています。
また、決済サービス世界大手のVisaも国際送金の資金決済にステーブルコインを活用する新たな実証実験プログラムを開始すると発表しました。
ステーブルコインは送金コスト削減や即時決済に有用とされ、各国の金融機関や企業も独自のステーブルコイン発行を検討し始めています。
今後も規制の整備が進むにつれて、仮想通貨決済アプリによるリアルタイム送金やデジタル通貨決済の普及がさらに加速すると期待されています。
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Source:StraitsX公式発表
サムネイル:StraitsX公式発表より引用





























