イーサリアムがFusaka実装、ネットワーク強化が進展
イーサリアム(ETH)は2025年12月4日、ネットワークの大型アップグレード「フサカ(Fusaka)」をメインネットに実装しました。
今回のアップグレードでは、PeerDAS(ピアダス)という新機能が導入されています。
これにより各ノードは全データを処理せずにブロックを検証でき、セキュリティと分散性を維持しつつ、ネットワークの処理効率と容量を向上させることが可能となります。
これを受け、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏はX(旧Twitter)上で「何年もかけてこの実現に尽力してきたイーサリアムの研究者やコア開発者たちに、心からお祝いを申し上げます」と述べ、開発者を称賛しました。
PeerDAS in Fusaka is significant because it literally is sharding.
Ethereum is coming to consensus on blocks without requiring any single node to see more than a tiny fraction of the data. And this is robust to 51% attacks – it's client-side probabilistic verification, not… pic.twitter.com/OK81xBteER
— vitalik.eth (@VitalikButerin) December 3, 2025
FusakaにおけるPeerDASは非常に重要です。というのも、これは文字通り「シャーディング」だからです。
(中略)シャーディングはイーサリアムが2015年から夢見ていたものであり、データ可用性サンプリングも2017年から研究されてきました。そして今、それが実現したのです。
(中略)この実現に何年も懸命に取り組んだイーサリアム研究者とコア開発者に心からお祝い申し上げます。
こうした技術的進展は市場評価にも影響し、Fusaka実装後、イーサリアムの価格は3,000ドル(約46万5,000円)を突破しました。
「BTCと同じくらいシンプルに」
PeerDAS導入で進化するイーサリアムの基盤構造
データ可用性サンプリングで強化されるETH基盤
フサカ実装で導入されたPeerDASにより、各ノードは全データの一部だけでブロック検証が可能になっています。
ブテリン氏はX上で「PeerDASによってイーサリアムは各ノードがデータ全体のごく一部しか見なくてもブロックのコンセンサスを取れるようになった」と説明し、この仕組みによって51%攻撃にも耐性があることを強調しました。
各ノードがブロック全体ではなくランダムに選んだ一部のデータ(チャンク)だけを検証するため、過半数のデータが利用可能であることを確率的に確認でき、効率性と安全性を両立できる仕組みとなっています。
EIP-7594として提案されたPeerDASは「ブロックデータを全てダウンロードせずに検証可能にするデータ可用性サンプリングのプロトコル」であり、これにより各ノードの負担を大幅に軽減してネットワーク全体の取引処理効率を高めることが可能になります。
シャーディング計画を進展させるFusakaの役割
Fusaka(フサカ)実装はPeerDASを活用し、イーサリアムのスケーリングロードマップに沿って「ネットワークの効率化」と「シャーディング(ネットワーク分割)」の実現を進めるものです。
ネットワークを複数の「シャード」に分割して各ノードが取引の一部のみを処理しつつ全体のセキュリティを維持する仕組みの実現に寄与することが期待されています。
ブテリン氏は「シャーディングは2015年以来の夢で、データ可用性サンプリングは2017年から研究してきた。そして今それが実現した」と述べており、8年越しの技術的目標達成を祝福しました。
ブテリン氏が描く2年間のPeerDAS進化ロードマップ
開発者チームはフサカにおける機能拡張を安全に進めるため、一度に上限を引き上げず段階的な実施を選択しました。
2025年12月中旬と2026年1月上旬に「Blob Parameter Only(BPO)フォーク」と呼ばれる追加アップデートを行い、ブロックに含めるデータ(ブロブ)の上限を段階的に増加させる計画です。
ブテリン氏は、今後2年間でPeerDASの規模を慎重に拡大してL2の処理能力を向上させる計画を示しており、ゼロ知識証明技術(ZK-EVM)が成熟した段階ではこの仕組みをイーサリアムL1のガス容量拡大にも活用するビジョンを示しています。
Coreの理念を改めて擁護
機関投資と規制判断から見るイーサリアムの現在地
イーサリアム関連では、機関投資家の動きや規制判断が市場に影響を与えており、最近も具体的な動きが報じられています。
米資産運用大手BlackRock(ブラックロック)は12月3日、約44,000 ETH(1億4,000万ドル/217億円相当)をCoinbaseのカストディサービスに移したことがオンチェーンデータによって確認されました。
これに加え、規制面ではSEC(米証券取引委員会)がレバレッジ型ETH ETFの承認を取り下げ、ボラティリティの高い商品のリスク抑制を重視する姿勢を示しています。
この動きは、機関投資家によるETHの取引や市場全体の価格形成にも影響を与える可能性があります。
記事執筆時点でETH価格は3,200ドル(約50万円)前後で推移しており、投資家はアップグレードによるネットワーク拡張が需給面に好影響を与え、価格上昇基調が維持されるか注視しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.20 円)
イーサリアム関連の注目記事はこちら
Source:ヴィタリック・ブテリン氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像




























