この記事の要点
- 英下院環境監査委員会EAC提出の意見書がXRPLを債券基盤として例示
- 発行から決済まで一体管理、機関投資家向けモデルを提案
まずはXRPレジャー(XRPL)を詳しく
英下院委員会への意見書でXRPLが具体例に
英下院の環境監査委員会(EAC)に提出された意見書が、再生可能エネルギー投資を促す新型債券の発行・記録基盤として、仮想通貨XRPの台帳「XRPレジャー(XRPL)」を具体例として示しました。
意見書を執筆したのは、気候連動型の転換社債を研究してきたクリス・コーマック氏で、同氏はその仕組みを共同論文でも提案してきた経緯があります。
文書では、債券の保有記録から投資家の権利管理、決済処理までを一体的に扱う運用モデルが示され、その記録基盤としてXRPLが挙げられています。
また意見書ではブロックチェーンの活用は技術中立であるべきとの考え方が示されており、XRPLもその運用モデルの一つとして位置づけられています。
トークン化米国債で初の銀行間決済
CloCoとXRPレジャーの設計、示された経済効果
公的支援に依存しない新型債券CloCoの設計
意見書では、気候・技術・コスト条件を組み込んだトリガー(発動条件)を備える新型債券「CloCo」を中核とした資金調達モデルが提案されています。
トリガーには再生可能エネルギーのCAPEX(設備投資)指数を想定しており、発電・蓄電・送電などのコストが基準値から一定程度低下した時点を発動条件としています。
発動前は通常の社債やプロジェクト債と同様に投資家へ利息と元本を支払い続ける一方、条件を満たした後は発行体が投資を前倒しし、新株発行などを通じて資金を調達したうえで債券を償還する仕組みです。
意見書では、この設計によって財務省による利払い補填や元本保証、資産買い取りなどの公的支援に依存せず、再生可能エネルギーへの投資を促すことを狙いとしています。
XRPLが債券の発行から償還まで記録する設計
こうしたCloCoの運用における記録基盤として、意見書は仮想通貨エックスアールピー(XRP)の台帳であるXRPLを挙げています。
運用モデルは「発行(Issue)」「監視(Monitor)」「発動(Trigger)」「展開(Deploy)」の4段階で構成され、各工程の記録をXRPLで扱う設計となっています。
トークン化された登録簿や投資家の権利管理、監査証跡、トリガー発動の記録、決済処理までをXRPL上で扱う一方、法的書類や規制下のカストディ(資産の保管)は従来の仕組みを維持するとしています。
実証実験(パイロット)では、規制対象の主幹事銀行が機関投資家向けに私募(特定の投資家に限った発行)を実施し、既存の法制度とブロックチェーンを組み合わせた運用を検証する計画です。
そのうえで意見書は、台帳には記録の正確性や復元性、第三者による独立した検証可能性が求められるとしたうえで、法的に有効な登録簿と規制下のカストディを前提とすることで、権利関係や決済の最終性を損なわない設計を示しています。
電力コスト低下がもたらす経済効果の試算
意見書では、CloCoを電力市場改革や再生可能エネルギー投資の拡大と組み合わせた場合の経済効果について、一定の前提条件に基づく試算も示しています。
電力価格が約30%低下するとの前提では、英国の生産性が約0.2〜0.8%向上し、消費者物価(CPI)上昇率は約0.2〜0.6%、国債の調達コストは約0.1〜0.4%低下する可能性があるとしています。
さらに、GDPは2〜5年で約0.3〜1.2%押し上げられ、財務省の国債利払いは年間約30億〜120億ポンド(約6,400億〜2兆5,600億円)減少し得るとの見通しも示しました。
あわせて意見書は、AA格付けの公益事業者を対象に年間42ベーシスポイント(0.42%)の利払い削減が見込めるとする研究も引用しています。
この試算では、10億ポンド(約2,130億円)の投資に対して10年間で4,200万ポンド(約90億円)の利息削減が可能とされ、同様の仕組みは国債発行への応用も想定されています。
ただし、これらはいずれも一定の前提条件に基づく試算であり、実際の経済効果を保証するものではないと位置づけられています。
「国家でもXRPLは止められない」
構想段階にとどまるXRPL債券、課題は制度面
XRPレジャーをめぐっては、債券や現実資産(RWA)トークン化など、機関投資家向けの用途で活用を探る取り組みが続いてきました。今回の意見書では、その活用例が英国議会の調査に提出された公開文書のなかで示されています。
実現に向けては、財務省や規制当局に加え、英国国富ファンド(National Wealth Fund)やグレート・ブリティッシュ・エナジーなどが連携し、標準化を進める構想です。
その後は、私募による実証実験から開始し、検証結果を踏まえながら段階的に適用範囲を広げる手順が示されています。
一方で、規制下で実際に債券を発行できる体制の整備や、関係機関による共通ルールの策定など解決すべき課題も残されており、現時点では意見書で示された構想の段階にとどまっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ポンド=213.39 円)
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Source:英議会提出意見書
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用





























