この記事の要点
- サスメド、ブロックチェーン治験で世界初の医薬品承認
- 治験工数「45.9%減」、製薬業界で導入拡大へ
まずはブロックチェーンを詳しく
世界初の快挙、ブロックチェーン治験で薬承認
サスメド株式会社は2026年9月16日、ブロックチェーン技術を活用した臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync(SUSMED SDS)」を用いた治験で、医薬品の製造販売承認を取得したと発表しました。
同社によると、ブロックチェーン技術を活用した企業治験の結果にもとづく医薬品の承認取得は、同社調べで世界初となります。
承認されたのは、ヴィアトリス製薬合同会社のヒスタミンH3受容体拮抗薬・逆作動薬「ウエキクス錠 5mg/20mg」(一般名:ピトリサント塩酸塩)で、ヴィアトリス製薬も承認取得を公表しています。
サスメドは、ブロックチェーンを用いた治験から医薬品の承認に至った今回の事例について、治験エコシステムの構築を加速させるものとして、今後の活用拡大に期待を示しています。
「ブロックチェーンで真贋証明」
SUSMED SDSの仕組みと治験コスト削減効果
ブロックチェーンで医療データを直接結合
今回の医薬品承認につながった治験では、医療機関で取得する医療データと症例報告書のデータをブロックチェーン技術で結合する「SUSMED SDS」が利用されました。
サスメドによると、SUSMED SDSは医療機関でのデータ入力業務や、法規制で求められるモニタリング業務を削減する仕組みとなっています。
同社はこうした治験効率化に取り組む背景として、医薬品の研究開発費が過去10年で年率8.5%程度のペースで増加していることを挙げました。
国内では臨床開発モニター1名が担当する治験実施医療機関数が米国の3分の1にとどまるとの報告もあり、開発コストの増加などに伴うドラッグ・ラグやドラッグ・ロスが課題になっていると説明しています。
サンドボックスから実用化への道のり
SUSMED SDSを実際の企業治験で利用するため、サスメドは内閣官房の「規制のサンドボックス制度」を活用した実証試験に取り組み、その成果を2020年6月に国際医学誌で発表しました。
その成果をもとに産業競争力強化法のグレーゾーン解消制度へ申請した結果、ブロックチェーン技術によるデータ照合を、従来の照合作業に代わる手段としてGCP省令上も認める旨の通知が、2020年12月4日付で厚生労働省から発出されています。
こうした制度上の手続きを経て、SUSMED SDSは2022年11月にアキュリスファーマのピトリサント国内第3相試験へ導入され、2023年1月には別の対象疾患を扱う第3相試験にも採用されています。
モニタリング工数「45.9%減」を実証
SUSMED SDSの効果については、AMED(日本医療研究開発機構)の研究開発推進ネットワーク事業で、従来の治験フローとの比較検証が行われました。
その結果、モニタリング工数は45.9%、医療機関の工数は32.0%、データ確認や修正依頼などを目的とするクエリ数は46.7%それぞれ減少したことが示されています。
医療機器・再生医療・レジストリにも拡大
SUSMED SDSの導入範囲は医薬品の企業治験にとどまらず、医療機器や再生医療等製品の企業治験にも広がっていると同社は説明しています。
治療用アプリの特定臨床研究や、国立精神・神経医療研究センターが実施する医師主導治験など、幅広い臨床試験での採用も進んでいます。
リアルワールドデータの利用を目的とした疾患レジストリにも導入されており、製造販売後データベース調査や使用成績調査、適正使用指針、適応拡大を見据えた申請などへの活用が期待されています。
公式統計の検証基盤にXRPL実証
国際基準にも採用、ブロックチェーン治験の今後
国内でSUSMED SDSの導入実績が積み重なるなか、ブロックチェーン技術は国際的なガイドラインでも扱われています。
国際製薬技術協会(ISPE)が2022年に発行した「GAMP5 2nd Edition」でも、データの信頼性を高める技術の一つとしてブロックチェーンが取り上げられています。
治験の国際基準であるICH-E6(R3)ではQuality by Design(QbD)の考え方が示されており、サスメドはブロックチェーンの活用が品質確保や工数削減に寄与することが期待されるとしています。
今回、ブロックチェーンを用いた企業治験から医薬品の承認に至ったことを受け、サスメドは今後、より多くの製薬企業へのSUSMED SDSの導入を進め、新薬開発の生産性向上や高品質化につなげる方針を示しています。
関連の注目記事はこちら
Source:サスメド公式発表
サムネイル:AIによる生成画像
ニュースを優先して表示します。





























