ビットコイン量子対策にSegWit保管戦略を提案
著名オンチェーンアナリストのウィリー・ウー氏は2025年11月11日、量子コンピューター攻撃への暫定策としてビットコイン(BTC)をSegWit(セグウィット)ウォレットに移し約7年間保管する戦略を提案しました。
SegWitとは、ビットコインの取引データの一部を分離して記録することで、処理効率を高めたアドレス形式のことです。2017年に導入され、送金手数料の削減やブロック容量の最適化にも寄与しています。
SegWitウォレットを使用することで、取引時に公開鍵を露出させずに済み、量子攻撃のリスク軽減につながると考えられています。
ウー氏は自身のX(旧Twitter)で、現在のTaproot形式(「bc1p」で始まる)のアドレスは取引時に公開鍵が露出するため、量子攻撃に対して脆弱であると指摘しました。
一方で、SegWit「bc1q」や従来型アドレス「1」や「3」では、公開鍵がハッシュ化されて秘匿されるため、相対的に安全であると説明しています。
この提案は、ネットワークが量子耐性を備えるまでの一時的な防御策であり、アップグレード完了までSegWitアドレスから送金を行わないことで、量子攻撃を回避できるとウー氏は述べています。
DUMMIES GUIDE TO BEING QUANTUM SAFE.
In the past it was about protecting your PRIVATE KEY (your seed phrase). In the age of big scary quantum computers (BSQC) that are coming, you need to protect your PUBLIC KEY also.
Basically a BSQC can figure out your private key from a…
— Willy Woo (@woonomic) November 11, 2025
ビットコインを量子コンピューターから守るための簡単ガイド
これまでビットコインの安全性は、秘密鍵(シードフレーズ)を守ることが重要でした。しかし、今後登場が予想される強力な量子コンピューターの時代では、公開鍵も守る必要があります。
現在の最新アドレス形式であるTaproot(bc1pで始まるアドレス)は、公開鍵をアドレスに直接埋め込んでいるため安全とは言えません。
一方、以前の形式のアドレス(1や3、bc1qで始まるもの)は、公開鍵をハッシュ化して隠しているため、量子コンピューターによる攻撃が難しくなっています。(後略)
量子リスク、SOL共同創設者が警鐘
ウー氏が示すビットコイン量子リスクへの暫定的防衛策
egWit保管戦略の6ステップ
ウー氏の投稿では、量子時代への備えとして具体的に以下の6ステップが示されています。
- 新たにSegWit対応のウォレットを作成(アドレスは「bc1q」で始まる形式。従来の「1」や「3」でも可)
- 保有する全BTCをこの新アドレスに送金
- そのアドレスに引き続きBTCを蓄積していく
- 決してこのアドレスから出金しない(一度出金すると公開鍵が露出するため)
- ビットコインが量子耐性プロトコルにアップグレードされるまで待機
- アップグレード後、ネットワーク混雑が少ない時に新しい量子耐性アドレスへBTCを移動
専門家が指摘する量子攻撃におけるリスクと実務的課題
元ビットコイン開発者のヨナス・シュネリ氏は、このガイドについてSegWit以前のP2PKHアドレスで「数年の安全猶予」が得られると認めつつ、「これを”量子安全”と呼ぶべきではない」とも述べています。
シュネリ氏は、トランザクション送信時に公開鍵がネットワーク上に晒されると、量子計算機によって秘密鍵が解読され、承認前にRBF(二重支払い)攻撃が仕掛けられる恐れがあると警告しました。
ビットコイン投資会社Capriole Investments(カプリオレ・インベストメンツ)の創業者兼CEOチャールズ・エドワーズ氏は「この方法ではユーザーに完璧な操作を要求する上、既に公開鍵が露出した初期コイン(全BTCの約30%)も保護できない」と指摘しました。
さらに同氏は「ビットコインが安全に存続するには2026年までに量子耐性アップグレードを合意する以外に道はない」と主張しています。
これに対しウー氏は、自身の提案はあくまで「中間措置」であり、量子コンピューターが本格的な脅威となるのは2030年以降と見ていると述べています。
同氏は「開発者コミュニティは”2年の短期プラン”と”7年の長期プラン”を検討中であり、ビットコインは最終的に量子技術に適応していく」と強調しました。
米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)社のマイケル・セイラー会長は、量子コンピューターによる脅威は「あと10〜20年先」との見解を示し、その時点ではビットコインもアップグレードにより対応可能になるだろうと楽観視しています。
BTCの暗号技術に迫る現実的リスク
量子終末時計が警告する2028年のビットコイン危機
新たに登場したオンラインツール「量子終末時計」は、現在の技術進歩のペースが続くと2028年3月にもビットコインの暗号が突破される可能性があると予測し、残り約2年4か月とカウントダウンしています。
量子脅威の到来予測には幅があり、専門家の一部は2028〜2035年頃を見込む一方、ビットコインの基礎技術「Hashcash」の開発者アダム・バック氏は「今後20年は重大なリスクはない」との見解を示しています。
米国政府も2035年までに連邦機関の暗号システムを量子耐性方式へ移行する計画を進めており、仮想通貨業界全体で量子時代に向けた備えが急務となっています。
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Source:ウィリー・ウー氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像





























