仮想通貨の税制改正はいつから?申告分離課税20%・金商法改正を徹底解説【2026年最新】

仮想通貨の税制改正はいつから?申告分離課税20%・金商法改正を徹底解説【2026年最新】

仮想通貨の利益にかかる税金が最大55%から一律約20%へ。2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱では、暗号資産の課税方式を総合課税から申告分離課税へ見直す方針が正式に盛り込まれました。

あわせて、3年間の損失繰越控除制度の創設や、暗号資産ETFの国内解禁に向けた税制整備も明記されています。

この税制改正は、暗号資産を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ位置づけ直す法改正と連動する見通しです。2026年の通常国会に改正案が提出されるとみられており、新税制の適用は早ければ2028年1月が想定されています。

この記事では、税制改正大綱の具体的な内容に加え、金商法改正がもたらす影響、適用開始時期のロードマップ、海外との税率比較、投資家が今から進めたい準備まで、2026年時点の情報を踏まえて整理します。

目次

仮想通貨の税制改正2026年度の全体像

暗号資産×税金の画像

令和8年度税制改正大綱で何が決まったか

政府・与党(自民党・日本維新の会)は2025年12月19日、令和8年度税制改正大綱を公表しました。この大綱では、仮想通貨(暗号資産)取引の課税方式について、大きな見直し方針が示されています。

具体的には、「国民の資産形成に資する暗号資産」に限り、その現物取引・デリバティブ取引・ETF(上場投資信託)から生ずる所得を申告分離課税の対象とする方針が明記されました。加えて、分離課税対象の取引で生じた損失について3年間の繰越控除制度を創設する方針も盛り込まれています。

さらに、2025年12月26日には金融庁が大綱の主要項目を公表し、暗号資産ETFの国内組成を「投信法施行令の改正を前提に可能」と明記しました。税制と規制の両面から制度設計を進める姿勢が読み取れます。

なお、分離課税の対象となる暗号資産は「暗号資産交換業者が取り扱う銘柄」に限定される点が重要です。個人ウォレットで保有する銘柄であっても、国内取引所で取り扱いがある暗号資産であれば対象になる可能性があります。一方、取り扱いのないマイナートークンの扱いは、今後の政省令で詳細が定められる予定です。

現行制度(総合課税・最大55%)の問題点

現在の日本の税制では、暗号資産取引で得た利益は「雑所得」に区分され、給与所得などと合算する総合課税の対象です。所得税の累進税率(5%〜45%)に住民税10%を加えると、税率は最大55%に達します。

株式やFXの譲渡益が一律20.315%の申告分離課税で、損失繰越も可能であるのと比べると、暗号資産投資は税制面で不利な状況が続いてきました。損失が出た年の翌年以降に繰り越して利益と相殺することもできず、投資戦略の組み立てに制約が生じます。

こうした税制上の課題は、国内の投資家や事業者が海外市場へ移る一因としても指摘されてきました。日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)と日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は2025年7月に税制改正要望書を金融庁に提出し、申告分離課税20%の導入を最優先事項として求めていました。

申告分離課税20%の仕組みと変更点

申告分離課税とは何か

申告分離課税とは、特定の所得を給与や事業所得などの他の所得と分離して、一律の税率で課税する方式です。株式の譲渡益やFX取引の利益にはすでにこの方式が採用されており、所得金額に関係なく同じ税率が適用されます。

暗号資産に申告分離課税が導入されると、取引で得た利益は他の所得と合算されず、独立して税額が計算されます。その結果、年収が高い人でも暗号資産の利益にかかる税率は一定となり、累進課税による影響を受けにくくなります。

現行制度と改正後の比較

現行の総合課税と改正後の申告分離課税の主な違いを以下にまとめます。

項目 現行制度(総合課税) 改正後(申告分離課税)
課税方式 雑所得として総合課税 申告分離課税
税率 最大55%(所得税45%+住民税10%) 一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)
損失繰越控除 不可 最長3年間
暗号資産間の損益通算 雑所得内のみ 分離課税対象の暗号資産間で可能
株式・FXとの損益通算 不可 未定(今後の制度設計による)
対象取引 全ての暗号資産取引 暗号資産交換業者取扱銘柄の売買・デリバティブ・ETF

2026年2月には金融庁が広報誌「アクセスFSA」で分離課税の詳細を解説しており、現物の売却益は「譲渡所得」、デリバティブは「雑所得」として区分される可能性が示されています。株式(譲渡所得)とFX(雑所得)が損益通算できない現行の証券税制と同様の構造になる可能性があり、この点は制度設計の進展とあわせて確認が必要です。

税率20.315%の内訳とシミュレーション

改正後の税率は所得税15%+住民税5%の合計20%に、復興特別所得税を含めた20.315%が適用されます。年収や仮想通貨の利益額が異なるケースで、税額がどう変わるか比較してみます。

ケース 給与年収 仮想通貨利益 現行の税額(概算) 改正後の税額(概算) 差額
A 500万円 100万円 約30万円 約20万円 ▲約10万円
B 800万円 300万円 約99万円 約61万円 ▲約38万円
C 1,500万円 500万円 約215万円 約102万円 ▲約113万円

上記はあくまで概算ですが、所得が高い人ほど改正の影響が大きくなりやすいことがわかります。現行制度では仮想通貨の利益が給与所得に上乗せされて累進税率が適用されるため、年収1,500万円の人が500万円の仮想通貨利益を得ると、その部分には約43%の税率がかかります。改正後は一律20.315%となるため、税負担の差は約113万円となります。

一方、年収が低く所得税率が10%〜15%程度の人の場合、現行制度でも仮想通貨の利益に対する実効税率が20%前後になるケースがあり、税率面での差は相対的に小さくなる可能性があります。ただし、損失繰越控除が使えるようになる点は、所得水準にかかわらず実務上のメリットです。

3年間の損失繰越控除の創設

今回の税制改正では、損失繰越控除の導入も大きな変更点です。暗号資産取引で損失が出た年の翌年以降3年間にわたり、その損失を翌年以降の利益と相殺できるようになります。

たとえば、2028年に100万円の損失を出し、2029年に150万円の利益を得た場合、損益通算により課税対象は50万円となります。現行制度ではこの相殺ができないため、2029年分の150万円全額が課税対象となります。

この仕組みは株式取引やFXですでに採用されており、暗号資産市場特有の価格変動を踏まえた制度として、長期的な資産形成を後押しする役割が期待されています。

金融商品取引法(金商法)改正の影響

暗号資産×税金の画像の画像

資金決済法から金商法への移行とは

暗号資産はこれまで「決済手段」として資金決済法で規制されてきました。しかし、投資目的での利用が主流となった現在、投資家保護機能がより充実した金融商品取引法(金商法)の枠組みへの移行が進められています。

2025年6月に金融庁は金融審議会で金商法移行の本格検討を開始し、同年12月には金融審議会ワーキング・グループが最終報告書を公表しました。この報告書では、暗号資産を有価証券とは異なる独自の金融商品として金商法の枠組みに位置づける方針が示されています。

金融庁のデータによれば、2025年10月時点で国内の暗号資産取引口座数は延べ1,300万口座を超え、預託金残高は5兆円以上に達しています。取引動機の86.6%が「長期的な値上がり期待」であり、投資商品としての位置づけを法制度でも明確にする必要性が高まっていました。

インサイダー取引規制・情報開示義務の新設

金商法への移行に伴い、暗号資産市場にもインサイダー取引規制が導入されます。取引所への上場決定や発行者の経営破綻など、投資判断に重要な影響を与える未公開情報をもとにした売買が禁止され、違反者には課徴金が科されます。

金融庁は2025年10月にインサイダー規制の導入方針を発表し、証券取引等監視委員会に犯則調査権限を付与する方針も示しています。これにより、暗号資産市場でも株式市場と同様の監視体制が整備される見通しです。

また、暗号資産の発行者に対しては、プロジェクトの事業計画や資金使途、利用しているブロックチェーン技術の特徴やリスクなどの情報開示が義務付けられます。現行の資金決済法ではこうした開示義務が十分ではなく、投資家が情報を踏まえて判断するうえで課題が残っていました。

暗号資産ETF解禁への道筋

金商法改正のもう一つの焦点は、暗号資産ETFの国内解禁です。税制改正大綱では「投信法施行令の改正を前提に、一定の暗号資産を投資対象とするETFについても分離課税の対象とする」と明記されました。

金融庁は2025年8月の税制改正要望で、暗号資産ETFの国内組成に向けた環境整備を盛り込んでいます。米国では2024年1月にビットコイン(BTC)の現物ETFが承認され、その後イーサリアム(ETH)のETFも続いたことから、日本でもETF解禁への期待が高まっています。

ただし、暗号資産ETFの解禁時期は分離課税の施行と同時期に揃える方針と報じられており、ETF解禁だけが先行することはない見通しです。ETFの利益のみ20%で現物が55%という「課税の不均衡」を避ける狙いがあるためです。

新税制はいつから適用されるか

税制改正ロードマップ

税制改正大綱から新税制の適用開始までには、複数の法改正プロセスが必要です。現時点で見込まれるロードマップを以下にまとめます。

時期 イベント 状況
2025年12月 令和8年度税制改正大綱の公表 完了
2026年2月 金融審議会が制度改正案を正式答申 完了
2026年通常国会 金商法改正案の提出・審議 今後
2026年中 金商法改正案の可決・成立 今後
2027年頃 改正金商法の施行・施行準備 今後
2028年1月 新税制(申告分離課税)の適用開始 有力視

2028年1月適用が有力な理由

税制改正大綱では、新税制の適用開始時期を「金融商品取引法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後」と規定しています。金融庁は2026年の通常国会に金商法改正案を提出する見通しであり、法改正の成立後に施行準備期間(約1年)を要することから、改正法の施行が2027年、新税制の適用が2028年1月というスケジュールが想定されています。

ただし、政令改正で対応できる部分は前倒しとなる可能性も示唆されており、最終的な時期は国会審議の進展によって前後します。一部の市場関係者からは「2028年では手遅れになりかねない」との声も上がっており、迅速な制度整備を求める意見も出ています。

それまでの間に投資家がやるべきこと

新税制の適用までは2年程度あるため、現行の税制ルールに基づいた確定申告が引き続き必要です。この間に投資家が準備しておくべきことは以下の通りです。

  1. 取引記録の整備:現在の取引履歴を正確に管理し、損益計算に備えましょう。分離課税への移行後も取引記録の保管は必要です。
  2. 損益計算ツールの導入:暗号資産の損益計算は複雑なため、CryptactやGtaxなどの計算ツールを活用して正確な申告を心がけることが重要です。
  3. 含み損銘柄の整理:現行制度では損失繰越ができないため、含み損のある銘柄を2027年までに売却して損失を確定させ、同年の雑所得と相殺するという戦略も検討に値します。
  4. 国内取引所の利用:分離課税の対象は暗号資産交換業者が取り扱う銘柄に限定されるため、国内の登録業者で取引を行うことが税制面でも有利になります。

海外の仮想通貨税制との比較

主要国の仮想通貨税率一覧

改正後の日本の税率が国際的にどの水準にあるか、主要国と比較します。

税率 損失繰越 特記事項
日本(現行) 最大55% 不可 雑所得・総合課税
日本(改正後) 20.315% 3年間 申告分離課税
米国 0〜20% 可能 1年超保有で長期税率適用
英国 10〜20% 可能 年間免税枠あり(3,000ポンド)
ドイツ 0〜45% 可能 1年超保有で非課税
シンガポール 0% キャピタルゲイン税なし

改正後の日本の国際競争力

現行の最大55%という税率は主要国の中でも高水準で、JCBAが引用した国際比較では日本の暗号資産税制は64カ国中55位という評価でした。税負担の重さが、投資家や事業者の海外流出につながっているとの指摘もあります。

改正後の20.315%は、米国の長期保有税率(最大20%)や英国の税率(10〜20%)と近い水準です。シンガポールのようにキャピタルゲイン税がゼロの国には及びませんが、先進国の中では中位に位置する税率といえます。

業界関係者の間では、税率引き下げによって国内市場への資金流入が増え、分散型金融(DeFi)NFT(非代替性トークン)分野での事業展開が進むとの見方があります。その一方で、金商法への移行に伴う規制強化が過度な負担となり、市場が萎縮する可能性も指摘されており、規制と育成のバランスが論点となります。

>> 最新の仮想通貨関連記事はこちら

よくある質問(FAQ)

Q1. 仮想通貨の税金が20%になるのはいつからですか?

税制改正大綱では、新税制の適用開始時期を「金融商品取引法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後」と規定しています。金融庁は2026年の通常国会に金商法改正案を提出する見通しであり、法改正と施行準備に約1年を要するため、2028年1月の適用開始が有力と見られています。

ただし、政令改正で対応できる部分は前倒しの可能性もあり、最終的なスケジュールは国会審議の進展次第となります。

Q2. 全ての仮想通貨が分離課税の対象になりますか?

いいえ、全ての暗号資産が対象になるわけではありません。分離課税の対象は「暗号資産交換業者(仮称)が取り扱う暗号資産」に限定されます。2025年11月時点では国内交換業者が取り扱う約105銘柄が対象となる見通しです。

海外取引所でのみ取り扱われるマイナートークンなどは、現時点では対象外となる可能性があります。具体的な銘柄の範囲は今後の政令で明確化される予定です。

Q3. 損失繰越控除はどのように使えますか?

分離課税対象の暗号資産取引で損失が出た場合、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の利益と相殺できます。たとえば2028年に100万円の損失が出た場合、2029年・2030年・2031年までの利益から控除可能です。

この制度を利用するには、損失が出た年にも確定申告を行い、損失額を記録しておく必要があります。株式やFXでの損失繰越と同様の手続きになるとみられます。

Q4. ステーキングやレンディングの報酬も分離課税の対象ですか?

ステーキング報酬やレンディング報酬の取扱いについては、現時点で明確な規定はありません。税制改正大綱では「現物取引・デリバティブ取引・ETFから生ずる所得」を分離課税の対象としており、ステーキングやレンディングは別の所得区分となる可能性があります。

詳細は今後の政省令や金融庁のガイダンスで明確化される見通しですが、市場関係者の間では分離課税の対象に含まれる可能性が高いとの見方もあります。

Q5. 現行制度で確定申告が必要な場合はどうすればいいですか?

新税制が適用されるまでの間は、現行の税制ルールに基づいて確定申告を行う必要があります。給与所得者で暗号資産の利益が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。暗号資産の損益計算は取引ごとに行う必要があるため、損益計算ツールの活用が推奨されます。また、確定申告の具体的な手続きや計算方法については、BITTIMESの税金・確定申告ガイドで詳しく解説しています。

まとめ

2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱により、仮想通貨の課税方式が総合課税(最大55%)から申告分離課税(一律20.315%)へ移行する方向が正式に示されました。

3年間の損失繰越控除の創設や、暗号資産ETFの解禁に向けた税制整備も盛り込まれ、長年にわたる業界の要望が制度面で具体化しつつあります。

この税制改正は、暗号資産を資金決済法から金商法へ移行させる法改正と連動しており、インサイダー取引規制や情報開示義務の導入など、市場の健全性を高める枠組み整備も同時に進められています。

新税制の適用は2028年1月が有力ですが、国会審議の進展によって前後する可能性もあるため、引き続き動向を確認しておきたいところです。

新税制の適用までの間は現行ルールでの確定申告が必要です。取引記録の整備や損益計算ツールの導入など、今から進められる準備を重ねておくことで、制度移行時の対応もスムーズになります。

サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

  • URLをコピーしました!

Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

仮想通貨ニュース|新着

仮想通貨入門 - 基礎知識

市場分析・価格予想

目次