ロシア中央銀行〜プーチンが最も恐れる男とビットコインを止められず〜
今月、ロシア中央銀行が、ヤンデックス(ロシア最大のIT企業)の決済アプリのあるアカウントを強制的に凍結しました。
ヤンデックスは世界第 4位のシェアを誇る検索エンジンであり、ロシア国内では常に Google などの他社サービスと首位争いを行なってきた企業です。
ヤンデックスが提供する決済アプリは、給料受け取り・買い物時の決済など、すでにロシア市民の大半が使用するアプリとなっています。
ロシア市民にとってここまで生活必需品となったアプリのたった 1つのアカウントをなぜロシア中央銀行は強制的に凍結したのでしょうか?
プーチンが最も恐れる男
現在ロシアは、2018年の大統領選に向けて国内が慌ただしくなっています。
その中で「アレクセイ・ナワルニー」という男性も大統領選に出馬を発表しました。
このナワルニー氏という男性、弁護士でありながら政治活動家としても活動をしており、過去数年間にわたり現大統領でロシアでは圧倒的な支持を誇るプーチン大統領の批判活動を行い続けてきた男性です。
彼はロシア政府反体制派の主要人物で、ロシアの汚職事件などの追求活動を自身の Youtube チャンネルで行なっていました。
以前、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル誌は彼のことを「ウラジーミル・プーチンが最も恐れる男」として紹介していました。
政治資金の凍結と没収
アレクセイ・ナワルニー氏の Youtube チャンネルには、32万人を超える登録者がおりプーチン大統領の対抗馬として最有力候補として名前が上がっています。
今回、ロシア中央銀行は彼が大統領選に出馬したことを懸念して、彼が政治資金を集めているヤンデックスの決済アプリのアカウントを凍結、集まった寄付金を強制的に没収しました。
それでもビットコインは没収されず
しかし、ロシア中央銀行が決済アプリを凍結したにもかかわらず彼の政治資金を集めているビットコインのアカウントだけは凍結と没収を逃れています。
凍結を免れた彼のビットコインアカウントは過去 30日で約 250万円政治資金をビットコインで集めています。
ロシア中央銀行も彼に集まるビットコインだけは止めることができなかったようです。
ロシア政府はビットコイン肯定派
2016年にロシア当局は「ビットコイン使用が法的に正当である」と、ビットコインを肯定する立場を取っています。
また当局は「ロシアなどの大国が、ビットコインに対して法的立場を明確にしてゴーサインを出すたびにビットコインが世界的に広まるための一票を与えている」と公言しています。
現状、プーチン大統領とその周りの政治家はビットコインに対して肯定も否定のスタンスも取っていないとされていますが、技術に関しては非常に注目していると公式に回答しています。
ビットコインはマネーロンダリングなどの不正使用される可能性が高く、政府が合法化することで市場に混乱を招くかもしれませんが、ロシア国民にとってそれ以上のメリットがあるとロシア当局は考えているのでしょう。
「ビットコイン肯定派」という立場から考えても、今回のナワルニー氏のビットコインアカウントの凍結はやはりできなかったものだと考えられます。
今回のような「ビットコインは止められなかった」というケースはロシアだけでなく、他の国でも起きる可能性は十分にあります。
ブロックチェーン技術を使用した仮想通貨は、国境を越えるだけでなく、政府の規制も越えるということを表してくれた重要な出来事だと考えて良いでしょう。