リップル、XRPL開発の日本新興企業に資金援助
国際送金ソリューションを提供するリップル(Ripple)社は2025年6月9日、日本のスタートアップ支援プロジェクト「Web3 Salon」と提携したことを発表しました。
同プロジェクトは日本貿易振興機構(JETRO)が支援しており、XRPL(XRP Ledger)上でサービス開発を行う国内スタートアップに、1件あたり最大20万ドル(約2,900万円)の助成金が提供されます。
この提携は日本と韓国におけるXRPL開発を目的とした「XRPL日本・韓国ファンド」の一環であり、リップル社が世界的に推進する総額10億XRP規模の「エコシステム支援プログラム」にも位置づけられています。
支援対象となるのは、日本に拠点を置き、XRPL上で分散型金融(DeFi)、現実資産(RWA)のトークン化、デジタル決済などのサービスを開発する有望な初期スタートアップです。選考は企業の成長性、技術力、事業計画の妥当性を基準に行うと説明されています。
リップル社が資金提供と選考プロセスの管理を直接担い、採択企業には資金支援に加え、世界的なネットワークや専門家との交流機会も提供され、事業拡大を包括的に後押しします。
XRPLの2025年開発項目を発表
リップル支援で加速する日本のWeb3市場
官民連携で日本のWeb3スタートアップを後押し
今回の提携は、日本のブロックチェーン業界発展に向けた官民連携の象徴ともいえます。
リップル社とWeb3 Salonは、スタートアップ企業が直面する日本特有の課題に対応すべく連携し、参入障壁の低減や複雑な規制環境への対応を支援すると説明されています。
具体的には、リップル社が資金面・技術面での支援やグローバルな繋がりを提供する一方で、Web3 Salon側は起業家に対するメンタリングやワークショップの実施、規制当局や投資家とのネットワーキング機会の提供など、現場支援を主導します。
単なる資金供与に留まらず、公的機関・企業・開発者コミュニティを巻き込んだ「マルチステークホルダー型」のプラットフォームとして機能し、従来の金融システムと新興ブロックチェーン分野との橋渡し役を担う狙いがあるとしています。
業界リーダーが語る日本市場への期待
アジアWeb3アライアンス日本代表のヒンザ・アシフ氏は次のようにコメントしています。
日本はWeb3とブロックチェーン普及において最も注目度が高く、同時に課題も多い市場の一つです。
この提携を通じてビジョンある創業者を支援し、世界のイノベーションと日本のテック分野をつなぐ架け橋を強化していきます。
また、Ripple X部門で開発者支援を統括するクリスティナ・チャン氏も次のようにコメントしています。
リップル社は日本の活気あるスタートアップエコシステムで新たな機会を切り拓くため、Web3 Salonと協力できることを誇りに思います。
共にイノベーションを促進し、次世代のリーダーを支援していきたいと考えています。
日本発のWeb3成長を支える共同イベント
さらに両者は支援プログラムの一環として、2026年3月までに計4回の大型コミュニティイベントを共同開催する計画です。
このイベントでは、有望スタートアップによるピッチコンテストや、専門家のパネルディスカッション、投資家との交流会のほか、トークン化や規制対応、国際展開をテーマにしたワークショップが予定されています。
Web3プラットフォーム「MUGENChain」
リップル社、アジア太平洋地域での投資戦略を強化
日本や韓国、シンガポールで教育・研究支援を拡大
リップル社による今回の取り組みは、アジア太平洋地域(APAC)でのブロックチェーン技術革新を支援する長期戦略の一環でもあります。
リップル社はAPAC地域において日本や韓国、シンガポールでパートナーシップを再強化し、次世代のブロックチェーン人材育成と先端研究支援に継続的にコミットしていることを明らかにしています。
日本国内では、京都大学や東京大学に対する寄付・研究助成(UBRIプログラム)を通じてブロックチェーン教育を支援しており、その支援総額は既に150万ドル(約2億1,700万円)を超えています。
日本政府も税制・規制面でWeb3産業を後押し
また、日本政府も国内のWeb3産業振興に向けた環境整備を積極的に進めています。
2024年4月には、自民党のWeb3プロジェクトチームが国内Web3推進の論点と提言をまとめた「Web3ホワイトペーパー2024」を公開し、規制や税制面での改善策を打ち出しました。
さらに2025年3月には、暗号資産(仮想通貨)の利益に対する課税ルールを大幅に見直す提案が与党から発表されています。
暗号資産の譲渡益課税を現行の最大55%から金融所得として一律20%に引き下げるほか、デジタル資産を証券とは別の新たな資産クラスに区分する案も示されています。
これは暗号資産の含み益に対する高額課税が原因で、有望な起業家の海外流出問題(通称「渡辺創太問題」)に歯止めをかけ、日本国内におけるスタートアップ育成を後押しする狙いがあります。
こうした取り組みによって日本の強みを生かしながら国内のイノベーションを加速させ、日本を再び世界有数のブロックチェーン先進地域に押し上げることが期待されています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.58 円)
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Source:Ripple公式発表
サムネイル:AIによる生成画像





























