仮想通貨法案3本を可決で規制が本格化
米国下院は2025年7月17日、仮想通貨規制に関する3本の重要法案である「CLARITY法案」「GENIUS法案」「CBDC反監視国家法案」を可決しました。
GENIUS法案はすでに上院で可決されており、現地時間18日に大統領の署名を経て正式に成立する見通しです。CLARITY法案とCBDC反監視国家法案については、引き続き上院での審議が予定されています。
CLARITY法案とGENIUS法案は、いずれも超党派からの強い支持を受けました。CLARITY法案は賛成294票・反対134票、GENIUS法案は賛成308票・反対122票と、いずれも大差での可決となっています。
また、FRB(連邦準備制度理事会)によるCBDC(中央銀行デジタル通貨)発行を禁止するCBDC反監視国家法案は、賛成219票・反対210票という僅差ながらも下院を通過しました。
今回の採決は、米国における仮想通貨規制の枠組み構築に向けた重要な転機とされ、複数の業界団体も画期的な進展として高く評価しています。
トランプ大統領、共和党内の混乱解消を示唆
「仮想通貨週間」で重要法案3本を可決、共和党主導で進展
今回下院で可決された3法案は、仮想通貨市場の制度整備、ステーブルコインの規制強化、CBDC発行の禁止措置など、異なる課題に対応する包括的な内容が盛り込まれています。
これらの法案はいずれも、与党・共和党が優先的に成立を進めてきた政策課題です。下院金融サービス委員会は、7月14日の週を「仮想通貨週間(Crypto Week)」と定め、集中的な審議を実施しました。
一方で民主党議員らは、これらの法案が消費者保護や国家安全保障に与える影響に懸念を示しており、特にトランプ大統領と仮想通貨関連事業との間に利益相反の可能性があるとして批判しました。
最終的に、共和党が多数を占める下院本会議で3法案すべてが可決されました。GENIUS法案はすでに上院を通過しており、大統領署名を控えています。CLARITY法案とCBDC反監視国家法案は、引き続き上院での審議に移される見通しです。
CLARITY法案:仮想通貨の市場構造を明確化
CLARITY法案(デジタル資産市場透明性法案)は、仮想通貨の証券・商品区分を整理し、監督機関の役割分担を明確にすることを目的とした市場構造整備の法案です。
証券性の低いトークンを商品(コモディティ)として明確に定義し、CFTC(米商品先物取引委員会)の監督対象とすることで、SEC(米国証券取引委員会)との管轄の重複を解消する方針が示されています。
本法案は、2024年のFIT21を基盤としてフレンチ・ヒル下院議員らが提出したもので、2025年5月に下院へ提出されました。今月の本会議で可決され、今後は上院での審議を経て、大統領署名に至る見通しです。
仮想通貨規制・監督機関の明確化
GENIUS法案:米ドル連動ステーブルコイン規制
GENIUS法案は、米ドル連動型ステーブルコインに対して初の連邦レベルの包括的な規制枠組みを導入するものです。1対1の準備金保有、月次の情報開示、外部監査の実施、ライセンス取得の義務化などが定められています。
同法案は2025年6月に上院で賛成68票を獲得し可決され、今月の下院採決(308対122)を経て米議会両院を通過しました。仮想通貨を対象とした法案としては初の成立例となります。
大統領による署名は現地時間18日に予定されており、業界では法整備の進展として歓迎されています。
ステーブルコイン発行者に明確な枠組み
CBDC反監視国家法案:中央銀行デジタル通貨を禁止
CBDC反監視国家法案は、FRBなどの米政府機関によるCBDC(中央銀行デジタル通貨)の試験実施、発行、提供を一切禁止することを定めた法案です。
本法案は、共和党のトム・エマー下院議員が再提出したもので、2024年4月に委員会を通過し、7月の下院本会議で賛成219票・反対210票という僅差で可決されました。
法案には、FRBが個人向けにCBDC口座を提供することを禁じる条項も盛り込まれています。今後は上院での審議が予定されており、可決されれば、米国において政府主導によるCBDC導入を明確に否定する初の法律となる見通しです。
国家が国民を監視するリスクを排除
米国の仮想通貨規制が世界市場に与える影響
今回可決された3法案は、米国における仮想通貨の法的整備を大きく前進させるものであり、グローバルなデジタル資産市場にも波及効果をもたらすと見られています。
特に、ステーブルコインやCBDCといった領域は各国で法制化が進む中、米国の動向が国際的な規範形成に影響を与える可能性があります。
今後は上院での審議および大統領署名を経て、これらの法案がどのように実施され、法制度や業界の実務に具体的に反映されていくのかが注目されています。
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Source:米下院公式サイト
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用































