ブラックロック「ステーブルコインは金融決済の未来」米国規制がもたらす革新

ブラックロック「ステーブルコインは金融決済の未来」米国規制がもたらす革新(BlackRock: Stablecoins are the future of financial settlement, U.S. regulation brings innovation)
目次

「ステーブルコインの普及は加速」ブラックロック分析

世界最大の資産運用会社BlackRock(ブラックロック)は2025年7月28日、米国で成立したステーブルコイン規制法「GENIUS法」が、ステーブルコインを「未来の金融決済手段」として確固たる地位に押し上げるとの見解を示しました。

同社の最新レポートによると、ステーブルコインの市場規模は2020年以降に急拡大し、現在では仮想通貨市場全体の約7%に相当する2,500億ドル(約37兆円)に達しています。

ブラックロックは、こうした成長に加え、明確な規制整備の進展によって米ドルの基軸通貨としての優位性が一層強まり、ステーブルコインの本格的な普及がさらに加速すると指摘しています。

さらにレポートでは、ビットコイン(BTC)の価格が約25%上昇した点にも言及しており、ビットコインがリスク分散に貢献する「独自のリターンドライバー」として評価しています。

ブラックロックが示すステーブルコインの未来像

GENIUS法が定義するステーブルコインの新基準

ブラックロックは、GENIUS法について「決済型ステーブルコインに包括的な連邦規制を課す内容である」と説明しました。

同法は、ステーブルコインを投資商品ではなく、明確に決済手段として位置づけています。さらに発行体は、連邦規制下の金融機関や登録非銀行業者、州認可企業などに限定され、利息の支払いは禁止されています。

この新たな規制によって、米ドルを基盤としたトークン経済圏の構築が進むと同社は指摘しており、特に新興国では、自国通貨の不安定さを補う安定的な決済手段として、米ドル建てステーブルコインへのアクセスが容易になると分析しています。

一方で、利息が付かないという性質上、主要経済圏では銀行預金の代替手段としての広がりは限定的であり、既存金融との競合は抑制されるとの見解を示しました。

米国主導の枠組みで形成される新たな金融秩序

ブラックロックは、テザー(USDT)USDコイン(USDC)など主要なステーブルコイン発行体が、合計で1,200億ドル(約17.8兆円)にのぼる米国債を保有していることを明らかにしました。

これは米国債残高の約2%に相当しますが、市場拡大に伴う新たな国債需要は、他の短期資産からの資金シフトや財務省による発行増加により相殺されるため、利回りへの影響は限定的と同社は分析しています。

レポートでは、香港が新たなステーブルコイン規制を導入したほか、欧州連合(EU)がデジタルユーロを模索するなど、世界各国がステーブルコイン領域で競争していることにも言及しています。

こうした中、米国はGENIUS法により仮想通貨の法制度を先行的に整備し、イノベーションの主導権を握る姿勢を明確にしたとブラックロックは強調しています。

ステーブルコイン普及がもたらす仮想通貨市場の成長

ブラックロックはレポートの結論として「ステーブルコインは金融の未来の一部になる」と指摘し、制度的な整備の進展がビットコインを含む仮想通貨全体の普及を後押しすると分析しました。

こうした規制整備の進展は、投資ポートフォリオにおけるビットコインの役割にも影響を与えると予想され、今後の仮想通貨市場全体の成長動向にも注目が集まっています。

ステーブルコイン規制法成立で動き出す米金融界

コインベースCEO「金融革命の始まり」

7月18日に成立したステーブルコイン規制「GENIUS法」の署名式に出席した大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)のブライアン・アームストロングCEOは、X(旧Twitter)上で「米国における金融革命が正式に始まる」との見解を示しました。

アームストロングCEOは、今回の法整備が仮想通貨経済にとって「大きな前進」となるとし、業界全体に与える積極的な影響に言及しています。

米大手銀行がステーブルコイン事業に続々参入

シティグループのジェーン・フレーザーCEOは、7月16日の決算発表後に独自ステーブルコインの発行を検討していることを明らかにしました。

バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOも、ステーブルコイン導入に前向きな姿勢を示しており、大手金融機関の動きが加速しています。

さらにJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOも「当社もステーブルコインに関与する」と明言しました。伝統的な金融機関によるステーブルコインへの関与は、着実に広がりを見せています。

リップルのRLUSDが信頼性で最高評価

米Ripple(リップル)社が発行した企業向けステーブルコイン「RLUSD」は、非営利評価機関Bluechipから7月に最高評価である「A」の格付けを獲得しました。

これは、USDTの「D」評価や、USDCの「B+」評価を上回る評価であり「最も信頼できるステーブルコイン」としての地位を確立しました。

ステーブルコインを巡る制度整備と企業の動きが加速するなかで、金融とテクノロジーが融合する新たな通貨インフラの構築にも関心が高まっています。

世界標準を目指す米国のステーブルコイン政策

米国では明確な規制枠組みの整備を進めることで、仮想通貨と伝統的金融の融合を加速させようとしています。ステーブルコインの基盤構築においても、主導的な役割を果たす姿勢を示しています。

政府主導の法整備と大手企業の実装意欲が相乗効果を生み出し、ステーブルコインは決済手段として急速な普及が進む見通しです。

今後は市場の信頼性や透明性、そして国際的な相互運用性が問われる中、米国発のステーブルコインエコシステムがグローバルスタンダードとなるかが注目されます。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.34 円)

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Source:BlackRock週次レポート
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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