バンク・オブ・アメリカ、仮想通貨インフラ構築に向け独自ステーブルコイン発行を検討

バンク・オブ・アメリカ、仮想通貨インフラ構築に向け独自ステーブルコイン発行を検討(Bank of America considers issuing proprietary stablecoin to build crypto infrastructure)
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BofA、規制下でのステーブルコイン導入に前向き

米国の大手銀行バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハンCEOは2025年6月12日、ニューヨークで開催されたモルガン・スタンレー主催の金融カンファレンスで、米ドルの価値と1対1で連動するステーブルコインの導入について検討を進めていることを明らかにしました。

モイニハン氏は、単独の取り組みだけでなく、他の金融機関との連携も視野に入れてステーブルコイン事業への参入を検討していると述べており「市場規模は未知数だが、参入に向けた準備は必要だ」と語っています。

さらに、現在米上院で審議中のステーブルコイン規制法案(GENIUS法案)の成立によって「実際にビジネスとして成立するかを見極めることが可能になるだろう」とも付け加え、法整備の行方が参入判断の鍵になるとの認識を示しました。

米大手テックがステーブルコイン導入を検討

モイニハンCEO、独自ステーブルコインに意欲

モイニハン氏は、ステーブルコインや仮想通貨決済に対して以前から前向きな姿勢を示してきました。

2月にワシントンD.C.で開催された経済団体のイベントでは「米ドルに完全に裏付けられたステーブルコインが登場することはほぼ確実であり、それが合法化されれば当行は速やかに事業への参入を目指す方針だ」と発言しており、独自のステーブルコイン発行に意欲を見せていました。

また、ステーブルコインについて「本質的には小切手機能付きのマネーマーケットファンドや銀行預金口座と同様の仕組み」という見解を示し、その利便性に注目しています。

一方で同氏は「ステーブルコインが具体的にどのような用途で利用されるかについては、今後検討すべき重要なポイントだろう」と述べ、具体的な活用方法については今後の検討課題だとの考えも示しました。

モイニハン氏は1月に公開されたCNBCとのインタビューで「規制当局の許可さえ得られれば金融業界は仮想通貨決済を受け入れるだろう」と語っており、同銀行がブロックチェーン関連技術の特許を数百件保有していることも明かしています。

こうした発言から、同氏が自社の決済ビジネスにおいてブロックチェーン技術やステーブルコインの活用を模索している姿勢がうかがえます。

米金融業界に広がるステーブルコイン参入の動き

JPモルガンら、共同発行に向け動き出す

他の米大手銀行でも仮想通貨分野への参入検討が進んでいます。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなど、米国の大手銀行が共同で米ドル連動型ステーブルコインの発行を検討していると報じられています。

この計画はまだ初期の検討段階で変更される可能性もありますが、伝統的な金融機関がステーブルコイン市場への本格的な参入を検討し始めていることを示しています。

主要銀行初の米ドル建てステーブルコイン発行へ

海外ではすでに銀行によるステーブルコイン発行の事例も出始めています。

フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルは6月10日、デジタル資産子会社を通じて米ドル連動型の新しいステーブルコイン「USDコインバーティブル(USD CoinVertible)」を発行する計画を明らかにしました。

このステーブルコインはイーサリアム(ETH)ソラナ(SOL)など、複数のブロックチェーン上で発行され、2025年7月にも一般向け取引が開始される見通しです。

ソシエテ・ジェネラルによる発行は主要銀行として世界初の米ドル建てステーブルコイン事例であり、規制下での安全なステーブルコインへの需要に応える狙いがあります。

一方、米国の決済大手PayPalも明確な連邦規制が整う前の2023年8月に独自の米ドル連動型ステーブルコイン「PYUSD」をリリースしており、2025年内に2,000万店を超える加盟店での利用拡大を目指すと表明しています。

大手銀行が注目するステーブルコイン市場の収益性

このように、フィンテック企業や海外銀行が先行してステーブルコイン市場に乗り出す中、伝統的銀行であるバンク・オブ・アメリカも顧客ニーズへの対応や競争力維持のために動きを急いでいると見られます。

業界専門家からは、大手銀行がステーブルコイン市場への参入を検討する背景には、既存の発行企業が上げる巨額の収益に注目しているとの指摘があります。

最大手ステーブルコインUSDTを発行するテザー社は、2024年通年で130億ドル(約1.9兆円)超の純利益を計上し、グループ資本が200億ドル(約2.9兆円)以上に達したことを公表しています。

利益の大半は準備金として保有する米国債から得られる利息収入であり、テザー社は発行規模が1,400億ドル(約20.7兆円)に達したUSDTにより巨額の収益を獲得しています。

こうした現状により「テザー社の圧倒的な収益性が、銀行各社のステーブルコイン事業への関心を高める一因になっている」と指摘する見方もあります。

今後、米国でステーブルコイン規制が整備され、大手銀行の市場参入が実現すれば、ステーブルコイン市場の拡大と競争環境の大幅な変化が予想されます。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.03 円)

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Source:Yahoo Finance
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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