米CFTC、仮想通貨規制強化を目指す新施策を開始
CFTC(米商品先物取引委員会)のキャロライン・ファム委員長代行は2025年8月1日、SEC(米証券取引委員会)と連携し「プロジェクト・クリプト」を推進するため、新たな施策「クリプト・スプリント」を開始すると発表しました。
この「クリプト・スプリント」は、トランプ大統領直属の仮想通貨タスクフォースが示した勧告を迅速に実行へ移す施策で、仮想通貨市場における規制の明確化と透明性の向上を目的としています。
ファム委員長代行は「アメリカを世界有数の仮想通貨拠点にする」というトランプ大統領のビジョン実現に向け、SECのポール・アトキンス委員長やヘスター・ピアース委員と連携しながら「プロジェクト・クリプト」を推進していく意向を明らかにしています。
さらにファム氏は「今こそ規制の明確化を進め、仮想通貨市場でのイノベーションを後押しすることで、仮想通貨の“黄金時代”を切り開く」と述べ、政府が掲げる業界育成と市場の透明性確保に向けた意志を示しました。
SEC新構想「プロジェクト・クリプト」
CFTC「クリプト・スプリント」業界の透明性向上へ
CFTCが開始した「クリプト・スプリント」は、米国の証券・商品規制当局が連携して仮想通貨分野の健全な成長を促進する包括的な政策と位置付けられています。
この戦略の中心にあるのが、SECが発表した新方針「プロジェクト・クリプト」であり、今後の規制体系を左右する重要な施策とされています。
プロジェクト・クリプトの目的とCFTCの役割
SECの公式声明では、プロジェクト・クリプトはブロックチェーン時代に即した証券規制の近代化を目的としており、特に仮想通貨保有者が自らのウォレットで資産を管理するセルフカストディ(自己管理)の権利を法的に保護する点が中核に据えられています。
このプロジェクトはSEC内部の複数部門によって横断的に推進されており、規制の見直しと情報開示の充実を通じて、仮想通貨領域における技術革新の促進を目指しています
CFTCのファム委員長代行は、SECが掲げるこうしたビジョンに賛同を示し「アトキンス委員長やピアース委員と連携してプロジェクト・クリプトの具体的な施策を着実に実行していく」との方針を示しました。
CFTCによる仮想通貨市場イノベーション支援
今回CFTCが開始した「クリプト・スプリント」は、大統領直轄の仮想通貨タスクフォースが提示した勧告を制度化へと進め、市場の不透明性を解消する重要なステップと位置付けられています。
ファム委員長代行は声明の中で「CFTCは仮想通貨で米国を世界の頂点に押し上げる大統領のビジョンを実現するために一刻も無駄にしない」と強調しました。
また、規制の明確化と技術革新の両立により、米国を仮想通貨の“黄金時代”へ導く方針を打ち出しています。
2025年以降、CFTCは活発な取り組みを展開しており、1月には初の「仮想通貨企業CEOフォーラム」を開催したほか、時代遅れとなった職員向けアドバイザリーの撤廃と、新たなガイダンスの発出に着手しました。
CFTCが推進する「永久先物」取引と24時間市場
CFTCは、仮想通貨市場におけるパイロットプログラムの創設に向けた検討を進めると同時に、証券などのトークン化を推進する民間イニシアチブにもオブザーバーとして関与を開始しました。
こうした一連の動きは、仮想通貨業界が長年求めてきた明確なルール形成への対応とされており、CFTCは規制とイノベーションの両立を図る施策を段階的に打ち出しています。
さらにCFTCは、「24時間365日取引」や「永久先物(パーペチュアル・デリバティブ)」といった新たな市場慣行についても議論を重ねており、制度としての導入に向けた動きが加速しています。
実際、CFTCが指定する一部のデリバティブ取引所では、2025年4月からビットコインなどの永久先物のライブ取引が可能となり、5月以降には仮想通貨市場の24時間取引も本格的にスタートしました。
こうした革新的な試みを現行法の範囲内で積極的に受け入れてきた結果、米国の仮想通貨市場では透明性と競争力が徐々に高まりを見せています。
ファム委員長代行とアトキンスSEC委員長が主導する今回の協調イニシアチブは、曖昧だった証券型トークンと商品型トークンの規制範囲を明確にし、市場に対して新たなガイドラインを提示する重要な契機とされています。
SEC・CFTCの役割と用語を初定義
規制当局の協力強化で仮想通貨業界の成長加速
現在、政権・議会・規制当局が一体となり、仮想通貨業界のルール整備とイノベーション支援に注力しています。米国では、規制強化から制度構築への方向転換が進み、官民による産業再興への取り組みが着実に現実化しています。
今回の政策転換については、業界団体や投資家からも評価の声が広がっています。今後数ヶ月以内に、SECとCFTCが具体的なルール案やパイロットプログラムを提示する見通しです。
政府高官も「イノベーションの促進と投資家保護は両立可能である」との立場を示しており、米国発の“クリプト新時代”に向けた取り組みは着実に進展しています。
CFTC・SEC関連の注目記事はこちら
Source:CFTC公式声明
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用



























