ビットコインの将来性と市場拡大に必要な条件
著名オンチェーンアナリストのウィリー・ウー氏は2025年8月10日、ラトビア・リガで開催されたビットコインカンファレンス「Baltic Honeybadger 2025」に登壇し、ビットコイン（BTC）は「今後1000年にわたり理想的な資産」であるとの見解を示しました。
一方で同氏は、ビットコインが世界的な金融資産としての地位を確立するには、さらなる大規模な資本流入が不可欠だと指摘しました。そのうえで、十分な資金が流入すれば米ドルや金に匹敵する規模へ拡大し得るとの見方を示しています。
現在のビットコイン時価総額は約2.42兆ドル（約358兆円）で、金の約23兆ドルや米ドルの通貨供給量約21.9兆ドルと比べても大幅に小さい規模にとどまっています。
ウー氏は、潜在能力を発揮するためには市場規模をおよそ10倍に拡大させることが必要だと述べており、ビットコインの成長シナリオや、それを阻む要因にも言及しました。
1BTC＝2,000万ドルの可能性
ウー氏が示すビットコイン1000年資産論と成長条件
ビットコイン成長の鍵は大規模資本流入
ウー氏は、ビットコインの長期的成長シナリオにおいては「十分な資本流入」が最も重要な要素になると強調しました。
現在ビットコインの市場規模は金や米ドルに比べて小さいものの、供給上限が固定された分散型通貨であるため、インフレ耐性を備えた長期的な価値保存手段になり得ると説明しています。
この可能性を実現するには、機関投資家や政府レベルからの一層の資金流入によって市場規模を拡大し、世界経済での影響力を高めることが不可欠だと同氏は指摘しました。
同氏は特に現物ビットコインETFを通じた大口資金の流入が顕著であると述べており、この資金流入は従来の金融市場からビットコインへ資金が移っていることを裏付けています。
ビットコイン普及を支える企業と保管形態の進化
ウー氏が登壇したパネルディスカッションでは、ビットコイン普及に向けた具体的な展開についても議論が交わされました。
ブロックストリーム社CEOのアダム・バック氏は「企業が想定する将来リターンの基準にビットコインを用いるべきであり、もし自社の収益がビットコインに及ばないなら事業を畳んでビットコインを買うべきだ」と語っています。
この発言は、企業が財務資産としてビットコインを取り入れる動きが今後の成長シナリオにおいて重要な役割を果たす可能性を示唆しています。
さらにデジファイ（Debifi）社CEOのマックス・ケイ氏は、ビットコインの自己保管（セルフカストディ）が段階的に拡大していくとの見通しを示しました。
まずはCoinbase（コインベース）などのカストディ業者から大口企業へ、さらに最終的には個人へと自己保管の概念が浸透し、ビットコインの分散性が一層高まっていくというシナリオが語られています。
これらの見解からは、企業や機関投資家の参入によって資本が流入し、その先でビットコインの保有形態がより分散・自立的になることで、長期的な成長基盤が強固になる未来像が示されています。
「市場の熱狂はまだ始まっていない」
世界準備資産化へ進むビットコインの道筋
ウー氏の発言は、ビットコインが数世紀先まで価値を維持し得る資産だという確信を示すものであり、市場拡大に向けた現実的な課題も浮き彫りにしました。
世界準備資産としての地位を築くには、十分な資本流入と保有形態の分散化が不可欠であり、今後の市場動向はこうした条件の進展度合いに左右されます。
企業や機関投資家の参入拡大と自己保管の普及が進めば、ビットコインはより安定的かつ持続的な成長軌道に乗る可能性が高まるとみられています。
※価格は執筆時点でのレート換算（1ドル=147.82 円）
ビットコン価格予想関連の注目記事はこちら
Source：Baltic Honeybadger 2025
サムネイル：Shutterstockのライセンス許諾により使用
