2025年版仮想通貨採用ランキング、インドが首位を維持・米国は2位に|Chainalysisレポート

2025年版仮想通貨採用ランキング、インドが首位に浮上・米国は2位に|Chainalysisレポート(India tops 2025 global crypto adoption index, US ranks second|Chainalysis report)
目次

Chainalysisが発表、仮想通貨普及で新興国が躍進

ブロックチェーン分析企業のChainalysis(チェイナリシス)は2025年9月2日、仮想通貨(暗号資産)の浸透度を評価した最新レポート「2025年版:世界仮想通貨採用指数」を公開しました。

同レポートでは、インドが個人投資家、DeFi(分散型金融)、機関投資家の各カテゴリでいずれも世界首位となったと報告されています。

米国ビットコインETF(上場投資信託)の承認を受けて機関投資家の参入が急増し、総合2位に浮上しました。また、トップ5にはパキスタン、ベトナム、ブラジルがランクインしました。

Chainalysisは、個人と機関の双方の参加拡大が市場の形成を押し上げている点を強調しています。

Chainalysisレポートが示す世界の仮想通貨採用動向

新興国台頭が目立つ世界ランキング結果

Chainalysisによるこの採用指数は、各国のオンチェーン取引データなどを基に総合スコアを算出する仕組みであり、各国の利用状況を比較できる指標となっています。

2025年版ではインドが総合1位となり(前年から首位を維持)、小口取引、DeFi、機関投資のすべてで1位を占めました。

米国は昨年の4位から総合2位へ上昇しました。個人(小口)分野は10位にとどまったものの、ビットコイン現物ETFの承認や規制明確化を背景に機関投資が拡大し、総合順位を押し上げました。

さらに、上位にはパキスタン(3位)、ベトナム(4位)、ブラジル(5位)が続き、新興国の台頭が一層鮮明になっています。

アジア太平洋地域が取引量拡大で世界首位

の画像画像:Chainalysisレポート

地域別ではアジア太平洋(APAC)が前年同期比69%増と伸び率で世界首位となり、年間取引額は総額2.36兆ドル(約350兆円)に達したことが報告されています。

APACではインド、ベトナム、パキスタンが成長をけん引しました。続くラテンアメリカは前年同期比63%増、アフリカも52%増と、他地域でも取引拡大の傾向が見られます。

北米と欧州はそれぞれ年間取引額が2.2兆ドル、2.6兆ドルと絶対額で最大です。特に北米では現物ETFの開始や規制整備により機関投資家の参入が進み、取引量は前年比49%増となり、先進国でも資金流入が再加速しています。

ステーブルコインがグローバル金融の基盤に

さらに、ステーブルコインが世界的な普及拡大を支える主要インフラとしての役割を担っている点も指摘されています。

テザー(USDT)USDコイン(USDC)は2024年6月から2025年6月まで、月次で約1兆ドル(約148兆円)の取引高を維持し、市場インフラの中核として機能しています。

欧州のMiCA規制下で導入されたユーロ連動型「EURC」は、月次取引高が2024年6月の約4,700万ドル(約69.7億円)から2025年6月には約75億ドル(約1兆円)へ急増しました。併せて、PayPalの米ドル連動型「PYUSD」も同期間に約7億8,300万ドル(約1,160億円)から39億5,000万ドル(約5,860億円)へ拡大しています。

一方、ビットコイン(BTC)は依然として法定通貨から仮想通貨への主要なオンランプであり、2024年7月〜2025年6月の1年間で計4.6兆ドル(約680兆円)の資金が流入したことが確認されています。

この流入額は、BTC・ETHを除くレイヤー1トークン全体の合計の2倍超に相当するもので、BTCの信頼性と市場での存在感の大きさを示しました。

米国の法定通貨オンランプ額は4.2兆ドル(約620兆円)で世界最大となり、2位の韓国に対して約4倍の規模です。また、Chainalysisは高所得国から低所得国まで普及が広がる一方、経済基盤の脆弱な国では影響がより大きいと指摘しています。

厳格な承認プロセスが日本の普及を阻害

その一方で、日本は今回の採用指数で総合19位にとどまり、主要国の中では下位に位置しています(前年は23位でトップ20圏外)

小口取引やDeFi利用では一定の順位に入った一方、機関投資家の利用は27位と大きく出遅れ、総合順位を押し下げる要因となりました。

日本の出遅れ要因については、承認プロセスの厳格さが普及の障壁になっているとの見方が業界関係者から示されています。

分散型オンチェーン銀行WeFiのCEO、マクシム・サハロフ氏は「金融庁とJVCEA(日本暗号資産取引業協会)による事前承認制度が新規参入を抑制し、国内流動性の海外流出を招いている」と述べています。

同氏は「新規トークンの上場やIEOの実施に6〜12カ月の審査期間を要し、当局との往復で度重なる修正が生じる」と説明しました。こうした状況の結果、プロセスはイノベーションではなくリスク回避を重視した設計になっているとの見解です。

さらに同氏は「シンガポールは明確な道筋を示し、UAEは対応が速い。韓国も外部の事前承認はなく迅速だ」と言及し、日本の承認文化が相対的に遅いと強調しました。

日本では仮想通貨の利益課税を累進課税から一律20%へ見直す案が検討されていますが、同氏は「承認文化が変わらない限り、状況は改善しない」と警鐘を鳴らしています。

そのうえで、サハロフ氏は「文化は減税策すらも台無しにする」と述べ、日本の遅れの根本原因は”制度設計にある”との見方を示しました。

暗号資産規制の一本化、金融庁が方向性提示

資金決済法から金商法へ

金融庁は2025年9月2日、金融審議会ワーキンググループで、暗号資産規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ一本化する方向性を提示し、具体化に向けた論点を協議しました。

現状の二重規制が事業者の負担増につながっており、これを解消する狙いがあります。

金融庁は「暗号資産は原則として金商法で規制するのが適当」との見解を示し、2027年施行を視野に入れた一本化案を提示しました。加えて、有価証券とは異なる特性を踏まえ、金商法内に独自の枠組みを設ける案も検討しています。

IEOリスク浮き彫り、十分な開示と保護を要求

会合では、京都大学の岩下直行教授が、IEO(取引所経由のトークン販売)の相当数が公募価格を大きく下回り、なかには「90%以上下落」した例もあると指摘しました。

岩下氏は、こうした高リスク商品を一般投資家に提供する際には一層の慎重さが必要だと警鐘を鳴らしています。

また、他の委員からは「十分な情報開示」や「詐欺的勧誘の防止」など、投資家保護の徹底を求める意見が相次ぎました。こうした中、暗号資産を投資商品として明確に位置付ける今回の議論は、規制方針の転換点と評価されています。

2027年施行目標に暗号資産規制改革を推進

金融庁は今後も業界団体や有識者の意見を踏まえ、2027年の法改正に向けて具体的な制度設計を進めていく見通しです。

こうした取り組みが実現すれば、複雑だった国内ルールの簡素化や透明性向上につながり、停滞し続けている日本の暗号資産普及にも変化をもたらす可能性があるとの見方も出ています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.40 円)

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:Chainalysisレポート
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

  • URLをコピーしました!

Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

仮想通貨ニュース|新着

仮想通貨入門 - 基礎知識

市場分析・価格予想

目次