ブラックロックCEO、世界経済フォーラムの暫定共同議長に就任|ビットコイン普及に追い風か

ブラックロックCEO、世界経済フォーラムの暫定共同議長に就任|ビットコイン普及に追い風か(BlackRock CEO appointed interim co-chair of World Economic Forum, potential boost for Bitcoin adoption)
目次

ラリー・フィンク氏、WEF暫定共同議長に

世界経済フォーラム(WEF)は2025年8月15日、米資産運用大手BlackRock(ブラックロック)CEOのラリー・フィンク氏を同フォーラム理事会の暫定共同議長に任命したと発表しました。

新体制では、フィンク氏がスイス製薬大手ロシュの副会長アンドレ・ホフマン氏と共に、WEF理事会の暫定共同議長を務めることになります。

この人事は、創設者クラウス・シュワブ氏に関する内部調査の終了に伴う組織再編の一環として実施されました。

同日、WEFはその調査結果について「重大な不正行為の証拠は認められなかった」と発表しました。これに先立つ4月には、シュワブ氏がWEF理事長を突然辞任しています。

フィンク氏は世界最大の資産運用会社ブラックロックを率い、近年はビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨への積極姿勢で知られています。

かつて2017年にはビットコインを「マネーロンダリングの指標」と批判していましたが、現在は「ビットコインは国際的な基盤を持つ資産であり、地域的な通貨不安のヘッジとなり得る」と評価する立場へと転じました。

こうした姿勢の変化を背景に、今回のWEF暫定議長就任については仮想通貨業界からも注目が集まっています。「ビットコインが世界で最も影響力のある金融フォーラムで席を得る日も近い」との声が出ており、フィンク氏の起用はビットコイン普及の追い風になるとの見方も広がっています。

フィンク氏が主導する世界経済フォーラムの新章

シュワブ氏調査とWEF組織再編の経緯

今回の人事の背景には、長年WEFを率いてきたシュワブ氏に関する調査と、それに続く組織改革があります。

WEFは今年4月、シュワブ氏に対するガバナンス上の不正疑惑が内部告発されたことを受け、独立調査を開始していました。

その後、8月15日の発表で「シュワブ氏および夫人による重大な不正の証拠は確認されなかった」と結論づけました。加えて、指摘された事項については「個人的な貢献と業務の境界が曖昧になったことによる軽微な不規則性」にとどまると説明しています。

調査の終結に伴い、暫定議長を務めていたピーター・ブラベック=レトマット氏が退任し、理事会はフィンク氏とホフマン氏を新たな暫定共同議長に任命しました。WEFは「組織を制度的モデルへ進化させる必要がある」とし、今回の人事を移行措置として位置付けています。

フィンク氏とホフマン氏は共同声明で「フォーラムの揺るぎない使命に確信を持ち、この重要な時期にリーダーシップを担えることを光栄に思う」と述べました。

両名はいずれも以前から理事を務めており、ビジネスと社会の橋渡し役として国際的な協調を推進する姿勢を示しています。

フィンク氏議長就任がビットコイン市場に与える期待

とりわけ注目されるのは、フィンク氏が仮想通貨分野で果たしてきた役割です。

同氏は「仮想通貨は他の資産クラスにはない価値を持ち、極めて国際的であるがゆえに法定通貨を超越する」と指摘し、ドル安局面を克服する手段として仮想通貨に期待を寄せています。

ブラックロックは2023年にSECへ現物ビットコインETF「iShares Bitcoin Trust」を申請するなど、仮想通貨分野への取り組みを本格化させています。これに関連してフィンク氏は「私たちは投資を民主化する責任がある」と強調し、金融商品の革新に意欲を示してきました。

こうした積極姿勢は市場からも評価されており、業界関係者からは「フィンク氏のWEF共同議長就任は、仮想通貨が経済議題として取り上げられる追い風になる」とのもあります。

現時点で具体策は示されていないものの、官民対話の進展を通じてビットコイン導入の機運が高まる可能性も指摘されています。

ブラックロックのETF戦略と市場インパクト

現物ビットコインETF「IBIT」の急成長

フィンク氏が率いるブラックロックは、この1年半で仮想通貨分野において存在感を一段と高めてきました。

特に2024年1月に米SECが承認した現物ビットコインETFの中では、同社の「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」が資金流入で際立つ推移を示し、注目を集めています。

IBITは2024年1月にナスダック市場へ上場し、数ヶ月で急速に資金を集めました。2024年5月時点の運用資産残高は約200億ドル(約2.9兆円)に達し、グレイスケールのビットコイン投資信託を上回って世界最大規模となりました。

その後も資金流入は継続し、2025年初頭には運用資産が500億ドル(約7.3兆円)を超えたと報じられています。

大学基金や政府系ファンドによる投資拡大

こうした拡大は実需の広がりにも表れています。2025年8月には、ハーバード大学の基金運用会社がIBITを約190万株保有していることがSEC資料で判明しました。評価額は約1億2,000万ドル(約176億円)で、ポートフォリオの約8%を占める規模となっています。

この結果、ビットコインETFは同基金の上位5番目の資産に位置付けられ、規制承認済みの仮想通貨商品が伝統的大学基金に浸透した事例とされています。

さらに中東でも動きが加速し、アブダビの政府系ファンド「ムバダラ投資会社」は2025年5月時点でIBITを約872万株保有し、評価額は約4億800万ドル(約590億円)に達しました。

ムバダラ社のハルドゥーン・アル・ムバラクCEOは「仮想通貨は実在するアセットだ」と従来から強調しています。同ファンドの投資姿勢はUAEのブロックチェーン推進政策とも一致しており、湾岸地域の政府系ファンドが米国ETFを通じてビットコイン投資を拡大している点に注目に注目が集まっています。

マイニング業界にも及ぶブラックロックの影響力

ブラックロックはETFに加え、ビットコインマイニング大手4社の株式への投資も拡大してきました。

同社は米マラソン・デジタルやライオット・プラットフォームズなどの企業で大株主となり、価格下落局面でも株式を買い増して保有比率を高めています。

今後、フィンク氏がWEF暫定議長として国際経済の議論を主導することで、ビットコインを含む仮想通貨の位置づけがさらに明確となり、世界的な採用動向に注目が集まっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.85 円)

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Source:WEF公式声明
サムネイル:AIによる生成画像

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Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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